アレックスキッドのミラクルワールド(Alex kidd in Miracle World)は、1986年11月1日に発売されたSEGA・MARKⅢ用のアクションゲームです。前年に発売されて大ブームになっていた“スーパーマリオ”のように売れるゲームをという目的で企画されており、セガのスーパーマリオとでもいうべき位置を担った作品でした。また同時期に声が出るボードゲーム ミラクルワールド大冒険も発売されていました。
ストーリーは、ブロッ拳の使い手アレクが、山での7年間の修行を終え故郷に帰る途中で、男の人が倒れているのを発見します。彼は『ラダクシャンが危ない・・・』というと息を引き取り、1枚の地図と、太陽のかざりのついたメダル(太陽石のメダル)を残します。アレクはラダクシャンの都を目指すことにしました・・・というものです。スーパーマリオ型の横スクロールのアクションゲームで、スーパーマリオと差別化を計るために様々な新要素が加えられていました。まず上に攻撃をするマリオに対して横にパンチを出す、コントローラーの操作ボタン(ジャンプ、攻撃)がマリオと逆、お店や乗り物が登場する、ボス戦がじゃんけん勝負などなど・・・。どこか能天気な明るい世界観で作られており、全体的に難易度も低く調整されているなど、(子供向けに)かなり遊びやすい作品に仕上がっていました。またBGMには能天気な歌詞も付いていたりします。
様々なメーカーが参加したファミコンとは異なり、基本的にセガ一社よりソフトが発売されていたSEGA・MARKⅢでは、(例外はあるが)パッケージも統一された仕様になっていました。ファミコンの様にプラスチックのトレーはなく、箱の内部に仕切りが設けられて、ソフトと説明書をそれぞれ固定するようになっていました。当時MARKⅢユーザーだった層には、懐かしいと感じる人も多いかもしれません。
ボス敵もじゃんけん大魔王などと、ほのぼのとしてます。お姫様や国王などお約束の要素もしっかり入っています。アレクは企画段階では如意棒を武器としており、孫悟空の要素も入ったキャラだったのかも。このゲーム一番の特徴は、乗り物が使える(スコパコサイクル、プチコプター、スイスイボート)ということと、ボス戦がじゃんけん勝負だったということ。あるアイテムを入手すると、敵の頭上にふきだしが表示され、相手が何を出すか相手の手の内が読めるようになるのですが、後半では直前でフェイントが入ったりも。
Beep誌の87年1月号では、セガマークⅢVSファミコン紅白ゲーム合戦という企画でマリオと共に宣誓する姿も。セガを代表するキャラクターだったことがわかります。ただ当時のセガ社内では、セガのコーポレートキャラになるという話はなかったようです。それにしても、年末にセガVSファミコン紅白ゲーム合戦とは、わくわくさせる良い企画だと思います。
主人公アレックスは、その後もアレックスキッド ザ・ロストスターズ(86/アーケード・マスターシステム)、BMXトライアル アレックスキッド(87/マスターシステム)、アレックスキッド 天空魔城(89/メガドライブ)とセガのゲームに登場することになります。ただしメガドライブの時代になると“ソニック”が登場しセガを代表する看板キャラクターになるため、アレックスはあくまでも80年代のSEGA・MARKⅢ時代を代表するキャラに留まる事になります。
Beep復刻版でのアレクの広告。セガガガ時のゾルゲ市蔵氏によるものと思われます。セガガガでは第一線を退いたゲーム販売店店長として登場しており、いまひとつブレイクできなかった、どこか悲哀を感じさせる姿が当時のSEGA・MARKⅢとも重なります。その姿は、ファミコンに対してSEGAを擁護した当時のセガマニアとも重なり、そういった意味でも当時のSEGAを象徴する裏ヒーローと言えるのかもしれません。
参考:Wiki アレックスキッドの項、アレックスキッド説明書、SEGA名作アルバムVol.4 アレックスキッドのミラクルワールド、Beep復刻版/ソフトバンク
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