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ピクセル Pixels・ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

2016-07-23 22:02:26 | 映画・DVD・CD

 ピクセル Pixelsは、2015年9月に公開されたアメリカ映画。80年代のゲームキャラが現実化して、街を襲ってくるという奇想天外な話を、ハリウッドが約100億円という金額をかけて実現してしまった作品。


 物語は、1982年にNASAが宇宙に送った友好のメッセージには82年の全米のゲーム大会の記録が収められていた。2015年になって突然、その友好のメッセージを誤解した宇宙人が、メッセージに収められていたゲームキャラを再現して地球に来襲してくる。未知の宇宙人から挑まれたゲーム勝負には、米軍もまるで歯が立たない。そこでゲーム大会の元世界チャンピオンで、現在ではさえないオタクおやじとなった主人公たちが救世主として召集される…。元ネタは、2010年に映像作家のパトリック・ジャン氏が作った2分半ほどの短編映像が原作。古いテレビから登場したゲームキャラが町へと襲来し、やがて世界をゲームのようなキューブ状のドットで作られた世界へと変えてしまう。


 ゲームに興味のない人、あるいはこの時期のゲームについて知らない人にとっては、なにがなんだかという映画ですが、80年代のゲーム好き、映画好きな層にとっては、中学生の妄想をそのまま実写映画化したような夢のような作品。世界的にも大変な反響を呼んで243,700,000ドル(約260億円)という大ヒットとなった。


 主演は、全米の最も稼いだ男優ランキング常連のアダム・サンドラー氏。よくこんな映画に出演してくれたなと思いきや、自身が製作も務めている。1966年生まれなので、世代的にもドンピシャなのでしょう。監督は、グレムリン、グーニーズの脚本、ホームアローン、ハリーポッターシリーズの監督を務めたクリス・コロンバス氏。ということで、B級映画っぽい設定ですが、実は超豪華な布陣で作られたハリウッドA級の作品ということになります。


 登場してくるゲームキャラも架空のものではなく、実際にゲームメーカーに許諾を得て実在する有名作品が使われている。代表的なところでは、米国のATARI社からセンチピード、ミサイルコマンド、ペーパーボーイ、ナムコからパックマン、ギャラガ、ディグダグ、タイトーからスペースインベーダー、アルカノイド、任天堂からドンキーコング、ダックハント、コナミからフロッガー、その他にもQバート(パーカー・ブラザーズ)、テトリス(アレクセイ・パジトノフ)、ディフェンダー(ウィリアムス)、ロボトロン2084(ウィリアムス)、ジャウスト(ウィリアムス/バルーン・ファイトの元ネタ)、バーガータイム(データイースト)などが登場している。以下ネタばれがあります。


 友好のメッセージを誤解した宇宙人は、メッセージに収められていたゲームキャラに姿を変え、ネタ元となったゲームのルールに則ったゲーム勝負を地球人に仕掛けてきます。一本目は、米軍グアム基地を襲ったギャラガ勝負。これは、何がなんだか分からないうちに一方的に負けてしまう。二本目は、インドの宮殿を襲ったアルカノイド。ここまできて、ようやく地球人側にも事態が飲み込めてきます。三本目は、当時のゲームを良く知るゲームオタクに救援を頼んだセンチピード勝負。元ネタは、1980年製作の米ATARI社のきのこ畑をあらすムカデ退治のシューティングゲーム。


 アメリカ映画なので、ATARI社やウイリアムス社などの日本人には馴染みのないゲームも数多く登場する。アメリカ市場向けに作られているので仕方がないが、ある程度マニアな人でないと分かりにくい部分。逆にナムコのパックマンやコナミのフロッガー、データイーストのハンバーガーなどは、日本以上にアメリカで人気が出たため、アメリカ人に受けるポイントとしてしっかりと入っている。


 四本目は、市街地で車を使ったパックマン勝負。パックマンの生みの親である元ナムコの岩谷徹氏が岩谷教授として登場。岩谷徹氏本人もオープニングにちらっとカメオ出演している。


 アメリカではパックマンは、テレビアニメ化されるほどの有名なキャラクターで、日本よりも圧倒的な人気を誇っている。そのため、劇中のパックマンも敵役として登場するが人は襲わないとか色々と配慮して作られているそう。


 パックマン勝負に勝った景品としてQバートが登場。味方側のキャラとしてマスコット的な扱いになる。ここで、ひとつのエピソードとして、オタクの一人が子供の頃に惚れ込んだドージョークエストという架空のゲーム内のキャラとのバトルが入る。ここは、ちょっと惜しいところで、ワルキューレとかワンダーモモとか、アテナとか、麻宮アテナ(サイコソルジャー)とか幾らでもいそうな気がするけど。一応82年縛りがあるし、これらはアメリカでは人気、知名度ともないため仕方のないところでしょうか。


 ラスボスはこの方。堂々の登場。ドンキーコング版のマリオも市街地を襲来するシーンでちょこっと写っている。すべてCGで作られていると思いきや、メイキングを見ると俳優が演技するステージの方は実物大のセットが作られている。日本だと予算の問題ですべてCGでやると思いますが、リアリティを重視するハリウッド映画ではCGを使うシーンでも実際のセットも併用することが多いよう。


 ということで、ゲームオタクの友人の一人が大統領になっているなど、脚本はかなりご都合主義で、オタクを戦場に立たせるためだけに無茶な設定になっている部分も多い。映画を見た人からの不評の原因も、それらの脚本や物語の流れによるもの。ただ、元々がゲームキャラに扮した宇宙人が攻めて来るという荒唐無稽な話なので、スムーズに物語が進んでくれれば、脚本の矛盾点などはそれほど気になりません。それよりも惜しいのが、登場するゲームキャラが少ないということ。一応82年のゲーム大会からのメッセージを元にしているという縛りがありますが、テトリス(84年)、ペーパーボーイ(84年)、アルカノイド(86年)と例外があって、矛盾が見られます。それならば、いっそスーパーマリオやゼルダの伝説、グラディウス、ラリーX、ボスコニアンなどもっと詰め込んで欲しかったところ。ディグダグが万里の長城を侵食するというネタが中国への配慮で削られてしまったため、余計にそう感じてしまうのでしょう。


 そうはいっても、小中学生の頃に誰しも抱いた妄想を100億もかけて具現化してくれた遊び心に対して個人的評価は星★★★★。Queenを初めとする80年代の楽曲が散りばめられている点、82年縛りでゲームキャラを出し渋ったのも、続編のためかもという期待をこめて星★★★★★とします。この頃のゲームに思い出がある人、ファミコン好き、ATARI好き、任天堂好きな人にはお勧め。

参考:Wiki ピクセル(映画)、アダム・サンドラー、クリス・コロンバス、ATARI、ウイリアムス、センチピード、ドンキーコング、ペーパーボーイ、ロボトロン2084、ジャウスト、Qバートの項、パトリック・ジャン氏の公式サイト、OLD GAMERS HISTORY Vol.5 アクションゲーム黎明期編・メディア・パル


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