80年代Cafe

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火垂るの墓・(88/日本)

2007-08-12 23:59:13 | 映画・DVD・CD

 火垂るの墓(The Grave of the Fireflies/88)は、スタジオジブリ製作のアニメーション映画。


監督・脚本は高畑勲氏、原作は野坂昭如氏で、原作は昭和42年に文藝春秋社オール讀物にて発表された直木賞受賞作です。劇場公開時には、宮崎駿監督のとなりのトトロと同時上映されました。毎年この時期になると、TV放送される定番ともいえる作品です。そのため80年代映画の枠をこえた普遍的な作品といえますが、時期的にもふさわしいですので紹介してみます。


 物語は、太平洋戦争末期の日本が舞台。空襲で母を失った4歳の節子とその兄である14歳の清太は、おばの家に預けられることになる。働きもせずに遊んでばかりいる清太は、しだいにおばに疎んじられることとなり、節子をつれておばの家を飛び出してしまう。2人は防空壕内で暮らし始めるが、配給をうけられないため、節子の体は栄養失調でしだいに弱っていくことになる・・。毎年この時期になるとTV放映されるため、内容を知らないと文部省推薦の反戦映画というイメージで捉えがちなのですが、(反戦映画の側面もありますが)実際には少し異なっています。原作の小説は、野坂昭如氏の実体験をもとにしたものであり、亡くなってしまった妹に対する鎮魂歌ともいえるような作品です。イメージとは裏腹に実はかなり強烈な作品で、公開当時はトトロを見ようと映画館を訪れ、火垂るの墓に衝撃を受けて、茫然自失で席から立ち上がれない観客が続出したのだとか。現在でも、某掲示板でしょっちゅうネタにされていて、この映画をみた当時の子供たちの衝撃の度合いがよくわかります。


 映画は、清太が駅で餓死寸前になっているエピローグより始まっています。駅員が、清太のポケットより落ちたドロップ缶を草むらに放り投げると、そこから蛍が飛び立ち中から白い粉がこぼれ落ちます。最後になってこのシーンの意味がわかるのですが、非常に美しく幻想的で(そして悲しい)、アニメ映画史上に残るオープニングだと思います(原作も同じような導入部になっている)。ここから先は涙なくしては見られない展開で、海外のサイトに書かれている感想などをみると、海外の方も同じように衝撃を受ける人が多いようです。また節子は4歳という設定なのですが、実際には野坂氏の妹は1歳半の乳幼児だったそうです。腹をすかせた妹をなだめるため、おぶったり、蛍を蚊帳の中に放って気を紛らわせてやったりと、懸命に世話をしたそうですが、実は疎ましく感じる部分もあったと後に述べられています。そしてどうしても空腹にだけは勝てず、結局栄養失調で死なせてしまったのだそうです。現実は映画のようには美しいものではなかったのかもしれませんが、その後悔の念が氏にこの作品を書かせたのでしょうか。


 ということで有名な映画ですし、ほとんどの方がごらんになっているとは思いますが、見たことのない方にはお勧めの一本です。野坂氏は、この映画を見て『アニメ恐るべし』という感想をもらされたのだとか。ちょうど今の時期(終戦記念日、お盆)にぴったりの作品ですし、いろんなことを考えさせられる映画でもありますので、お盆休みにご覧になってみてはいかがでしょうか。火垂るの墓 - goo 映画




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