80年代Cafe

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NHKスペシャル 新・電子立国〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防・日本放送出版協会&パーソナルコンピュータ博物史/京都コンピュータ学院KCG資料館・講談社

2019-03-02 01:33:01 | 書籍・漫画

 こちらは、1997年に日本放送出版協会より出版されたNHKスペシャル 新・電子立国〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防。1995~96年にNHKで放送されたNHKスペシャル 新・電子立国の書籍版になります。ゲーム関連の本が出版される際に、それは「ポン」から始まったに次いで参考文献として多く使われている一冊になると思います。


 ちなみに放送された新・電子立国自体は、さがせば動画サイト等で見ることもできます。その書籍版であるこれはブックオフなんかの100円コーナーなんかにおいてあることも多いのですが、狙って探せるものでもないということで入手して置きたかった。


 バブル崩壊後の長期不況で、日本の産業が曲がり角になって、次に来るのはコンピュータや半導体関連だという機運が高まっていた頃に放送されたシリーズで、全6巻出版されている。その中でも特にビデオゲームに焦点を当てた巻が、第4巻ビデオゲーム・巨万の攻防ということになる。


 テレビ放映されたものの書籍版なので、専門書のように詳しいというわけではない。おそらくテレビ栄えするように脚色も加えられていると思います。でも、詳しくない人にも基本から順にテレビゲームビジネスの成り立ちについて解説をしてくれている。


 電子立国のDVDも欲しいけれど、ばら売りはしてない模様。6巻セットだと結構な金額となる。


 それでも公共放送という信用と機動力を生かして、アタリ社のノーラン・ブッシュネル氏、任天堂USAのハワード・リンカーン氏、スペースインベーダーの西角友宏氏、任天堂の宮本茂氏など、そうそうたるメンバーが登場し、ゲームの偉人たちのインタビューが納められていますので、やっぱり資料としても一級品であるし超貴重。


 この当時としては、ビジネス書の一種として読まれたのでしょうけれど、今となってはコンピュータ史、ゲーム史をより詳しく知るために必携と言える一冊なっているでしょう。ゲーム好きなら資料として抑えておきたい一冊。


 パーソナルコンピュータ博物史/京都コンピュータ学院KCG資料館(コンピュータミュージアム)は、70年代から90年代にかけての日本のコンピュータ史を簡単に紹介したハンドブック。京都コンピュータ学院のKCG資料館に保存されている実機の写真を元に、名機と呼ばれる数々のコンピュータがカラーの写真とともに紹介されている。
 

 京都コンピュータ学院KCG資料館や京都情報大学院大学が著者、監修ということからもわかるように技術寄りのお堅い本であり、コンピュータを学ぶ学生が、コンピュータの歴史を知るために書かれた教科書(ハンドブック)のような作りになっている。よって、懐古成分は薄め。まさに今これからコンピュータを学ぼうとする、今の学生に向けたような内容になっている。


 レトロパソコン資料館として、京都コンピュータ学院のKCG資料館に保存されている実機の数々がカラー写真で紹介されており、レトロパソコン情報館として、8ビットの代表的な機種が取り上げられている。それだけではなく、周辺機器や発展の歴史、代表的なCPUまでが取り上げられ紹介されている。


 学生のためのハンドブックと書きましたが、それほど理系の学生でないとわからないような専門的なことが書かれているわけではない。ごく初歩的な、コンピュータに最初に触れる学生のための入り口みたいな感じで、素人にもわかりやすい。


 マイナーハードなどを集めた書籍とは異なりますので、それほどマニアックな内容というわけではない。ただ、教科書のような作りということで、懐古本とは切り口が異なっていて面白い。まさに今これからコンピュータを学ぼうとするひとのための、さわやかな青春の書というような感じがします。


 さりげなくMZ-1500なんかが掲載されており、これはファミコンのディスクシステムと同じクイックディスクを使用して販売価格を下げていた名機でした。ああこれも歴史のひとつとなったのだななんて思わされます。


 日本が電子立国なんて呼ばれていた時代の遺産が残されている。


 ということで、懐古本ではないレトロコンピュータの書籍ということでコンピュータの歴史、成り立ちを知りたいという方にお勧め。価格も手ごろですし、レトロや懐古趣味というフィルターを外して見ると、また違ったものが見えてくるような気がします。

参考:NHKスペシャル 新・電子立国〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防・日本放送出版協会、パーソナルコンピュータ博物史/京都コンピュータ学院KCG資料館(コンピュータミュージアム)、京都情報大学院大学(監修)・講談社

任天堂コンプリートガイド -玩具編-・主婦の友社&横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力・フイルムアート社

2019-03-02 01:21:36 | 書籍・漫画

 任天堂コンプリートガイド -玩具編-は、主婦の友社より2014年に発売されたソフトカバー本。任天堂博士としても知られる任天堂コレクターの山崎功氏の著書。


 ファミコン登場までの任天堂の歴史を、その商品を紐解いてゆくことで紹介している。本の冒頭で書かれているが、その製品まで含めたビジネス本ではない任天堂の歴史本はこれまで書かれた事がなく、任天堂本社にも資料が残されていないとのこと。この本は氏のコレクションと膨大な資料を元にして書かれており、そのため前代未聞の任天堂の歴史本になっている。


 花札やトランプ、カルタなどを作っていた京都の小さな玩具メーカーだった頃の商品から、歴史を紐解いてゆく。この頃、いったい誰がこんな世界的な企業になると想像できたでしょうか。


 任天堂躍進のきっかけとなった横井軍平氏の初期の作品、ウルトラハンド、ウルトラマシン、ラブテスター、光線銃など、有名どころはしっかり抑えてある。それらよりも重要なのは、見たことのないボードゲームやらラジコンやら、ペーパークラフト、ブロックなど、膨大な製品群が収められている点。それらの数々の玩具の中であっても、フィギュアとかキャラクター玩具は少なめというかほとんど見当たらず、生粋のゲーム会社だったことがわかる。


 任天堂が飛躍する土台となった、横井軍平氏のゲーム&ウォッチもしっかり収録。ゲーム&ウォッチは、今でもほかの媒体でいくらでも見ることができますが、これがないと任天堂の歴史本にはならない。


 ウルトラマンのボードゲーム。トミーのポケットメイトみたいな、ミニゲームも作っていたことは知らなかった。任天堂の歴史というと、カルタ、花札を作っていて、横井軍平氏がアイデア玩具を発明して、レジャー施設経営で失敗して、ゲームウォッチのヒットで土台を作り、ファミコンでの大成功と簡略化して語られることがほとんどですが、語られない膨大な商品郡がその試行錯誤の歴史を伝えてくれる。


 ベビーカーやファックス、わた飴製造機など、玩具ではない商品も作っていたなんて知りませんでした。


 これら以外にも、任天堂製品のテレビコマーシャル、レジャー施設やタクシー会社等の多角経営など、任天堂に関することがらが多岐にわたって紹介されている。


 分厚い高価格本ではなく、安価なソフトカバー本なのですが、その内容は実に濃厚です。横井軍平氏の横井軍平のゲーム館と並んで、任天堂について知るためには必携の一冊だと思います。すべての世代の任天堂好きにお勧め。


 横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力は、ゲームウォッチやゲームボーイの生みの親である、元任天堂開発者の横井軍平氏が生前に唯一書かれた本。1997年にアスキーより発売された横井軍平ゲーム館の復刻版で、この本が出るまではプレミアの付いた価格で取引されていた。現在では、ちくま書房より文庫本も出ている。


 いわゆるレトロゲーム本としては、超有名で名著のひとつといって良いでしょう。


 横井軍平氏。横井軍平氏の開発した玩具を一章ごとに分けて、ひとつひとつ解説してある。


 横井軍平氏の唯一の著書といっても、インタビューを起こしたもので牧野武文氏と共著という感じになっている。牧野氏は、横井氏の評伝や任天堂の分析本なども書かれている。


 偉大な発明のひとつといわれる、十字キー。それまでのゲーム機は、大概ジョイスティック式だった。横井氏自身は、そうたいしたものだとは思っていなかった模様で、単にコストと耐久性の問題でこれをファミコンに使用したと述べられている。


 ブルボン小林氏の帯の推薦文に尊敬すべきリア充とありますが、横井氏はお洒落で遊びの上手な方だった模様。イメージだと地味で頑固な技術畑の方という感じですが、超遊び人でスマートな方だった。ゲームウォッチにしても、ファミコンロボットにしても、バーチャルホーイにしても、横井氏の作品はどれも機能だけではなくデザインがずば抜けて良いと感じますが、そこにはやはり氏の美学が表れていたのだと思います。


 レトロゲーム好き、ファミコン好き、任天堂好きな方なら、ぜひ本棚に置いておきたい必携の一冊だと思います。

参考:任天堂コンプリートガイド -玩具編-・主婦の友社、横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力・フイルムアート社

20世紀 2016年5月号・クレタパブリッシング&DOS/V POWER REPORT 2018年4月号・インプレス

2019-03-02 01:14:59 | 書籍・漫画

 20世紀 2016年5月号は、クレタパブリッシング社発行のムック本。同社より出ているタンデムスタイル増刊号。タンデムスタイルは中高年向けのバイク雑誌だが、クレタパブリッシングは昭和40年男という雑誌も出版しており、どちらかというとそちらの増刊といったほうが近い。発売時700円ほどだったが買い逃しており、すぐに売り切れて早々にプレミア値が付いていた。なんとか、発売時の価格に近いものを見つけたため購入した。


 20世紀に起こった出来事について詳細に特集をするといった内容。今号はアーケードゲーム(ゲームセンター周りでの出来事、トピックス)を取り上げている。発売時に評判となり、すぐに売り切れたムック本なのだけど、その評判通り内容はなかなか深い。


 インベーダーの西角友宏氏、ぜビウスの遠藤雅伸氏、ハイスコアガールの押切蓮介氏のインタビューが収録。


 中でも目を引くのが、この特集の最大の売りとも言えるインストラクションカードの紹介。前述のようにアメリカではカラフルなアップライト筐体が主流だったが、日本では汎用のテーブル筐体がメインだった。そのためゲームを思い出させるアイテムとして、日本人的にはテーブル筐体に挟んであったこちらの方が大きいのかも。これのみ書籍として出版したら、そこそこいけると思う。


 代表的なゲーム、ゲーム機類はしっかりと紹介されている。ほとんどのレトロゲーム特集ではここまでだと思いますが、この本の他との違いは、ゲームセンターにまつわる周辺事情、当時の風俗などもしっかり収録されている点。


 ゲームセンターやゲームコーナーには欠かせないアイテムのひとつだったジュークボックス。


 こちらもゲームセンターには欠かせないピンボール。


 アタリ社のブッシュネル氏とアタリ社のグラフィカルな広告、ちらし類。


 当時もののシャープの広告や、もぐら叩き(トーゴー)のちらし?なども収録。


 これまた外せない10円ゲーム。


 直接ゲームセンターとは関係ないけど、レトロなうどん、らーめん類の自動販売機ネタも。この雑誌が発売された頃、ちょうど書籍が発売されたり、マスコミで取り上げられたりと、この懐かし自販機ネタが注目され始めていた。


 ということで、クレタパブリッシング社の20世紀 2016年5月号でした。プレミア的な価格で買うのはどうかと思いますが、定価に近い価格で見つけられたらお勧め。昭和40年男もそうですが、このクレタパブリッシング社の取材力、素晴らしい特集を組まれてなかなかあなどれません。


 [特集 レトロゲーム、進化中。] DOS/V POWER REPORT 2018年4月号は、DOS/V POWER REPORTという雑誌の4月号。前半の半分ほどが、レトロゲームの特集記事になっています。今年の3月に発売されて、その時にはちょっとした話題となっていました。発売と同時に手に入れているのですが、やっと今頃になって紹介します。


 このDOS/V POWER REPORTという雑誌はこれまで読んだことはなかったのですが、自作パソコンとかパソコンのパーツとかそういった関連の雑誌のよう。そのため、この特集は従来の読者からは不満も出たようです。レトロゲーム専門誌というわけではなさそうですが、実に丁寧に特集を組まれています。まずはコンシューマの歴史。


 ファミコン、スーパーファミコン、PCエンジン、メガドライブ、ゲームボーイなどのゲーム紹介。代表的なものが選ばれているというよりは、記事を書いたライターさんの選択により思い入れの深いものが選ばれているという感じ。どちらにしても90ページ足らずでは入りきるわけもないので、思い切った取捨選択がされてます。


 元がパソコン雑誌のため、レトロパソコンの記事も充実している。個人的にはこちらが目当て。


 NEC、富士通、シャープなどの代表的な機種やMSX、ぴゅう太などのホビーパソコン。MSXには松下、ソニー、三洋、東芝、日立などが参加していましたので、日本の家電メーカーが一番輝いていて良かった時期なのかも知れません。


 数は多くないですが、パソコンゲームも紹介している。


 ザナドゥ、ハイドライド、ウルティマ、ウィザードリィ、信長の野望、ダンジョンマスター、太陽の神殿など。今見ると、目が痛くなりそうな原色のMSXのゲームも紹介。この当時は、これが綺麗に思えて感激した。


 その他、アーケードゲーム。


 基盤など。


 1ページほどですが、アダルトゲームも。


 レトロハードの販売業者ということでBeep秋葉原店、レトロゲームが現役で遊べるゲームセンター、自宅をゲームセンターにされた方、駄菓子屋ゲーム、ピンボール、ゲーム音楽と盛りだくさん。


 レトロゲーム関連のイベントやイベントでのインタビュー記事なども、3本掲載されている。


 ムック本ではなく雑誌の特集記事なので90ページほどとそれほど多くはありません。深くマニアックな記事というよりは、広く浅く万遍なくレトロゲームの現在を取り上げているといった印象。よく出来た特集記事なので、バックナンバーやKindle版で現在も入手可能なようですから、まだ読んでいない方にはお勧めします。

参考:20世紀 2016年5月号・クレタパブリッシング、DOS/V POWER REPORT 2018年4月号・インプレス

マイコンBASICマガジンヒストリーブック・スタジオベントスタッフ/ベーマガⅡ実行委員会&バトル・オブ・ベーマガライターズ・山下章

2018-11-29 22:41:31 | 書籍・漫画

 マイコンBASICマガジンヒストリーブックは、2018年1月に開催されたイベントALL ABOUT マイコンBASICマガジンⅡ用のパンフレット。このイベントは2015年に第一回目が開かれて、今回はその第二弾ということらしい。残念ながらイベントには行けなかったが、貴重なマイコンBASICマガジンがらみの書籍のため購入。


 表紙には、歴代のBASICマガジンの表紙のマイコンボーイが掲載されている。同じものと思っていたのだけれど、初期の頃は毎年変わっている。この子の正式名称はあるんでしょうかね。


 パンフレットなので薄い冊子。中身は歴代のマイコンBASICマガジンの表紙を年代別にすべて掲載したもの。初期の頃は、市販ゲームの記事などもなく、ちょっと地味で技術寄りの専門誌という感じ。


 1983年にゲームに特化したスーパーソフトマガジンという別冊付録が付くようになり、これが好評だったみたいで14冊続いた。書店などでこの冊子だけが抜き取られてしまうということが起きたため、後に紙面に吸収されて一コーナーとして独立した。この辺りから紙面が一挙に華やかになった。


 この辺りは、リアルタイムで読んでいて記憶にある。ナムコ提供のラジオはアメリカンとかやってた頃ですね。ゲームのBGMを使ったラジオCMなどが記憶に残っています。


 90年代に入ってくると、プログラムやゲームよりハードを前面に持って来るように徐々に変化していく。個人的には、チャレアベやパソコンサンデーのあった80年代後半頃が全盛期だったような感じがするのだが、実際には96年に最高部数を記録していたらしい。この頃だとウィンドウズやインターネットの記事がメインで、すっかり普通のパソコン誌になっている。


 惜しまれつつも2003年4月をもって休刊となった。ここまで来るには何度か紙面の刷新などがあり、紆余曲折があったよう。むしろマイコンとかBASICとかのタイトルを持つ雑誌が、よくここまで続いたというべきか。


 巻末には83年より別冊付録として付いたスーパーソフトマガジンの表紙も掲載されている。これが攻略本のはしりであり、ゲーム記事のはしりでもあった。マイコンBASICマガジン復刻版やって欲しいですね。


 ということで、イベントのパンフレットなので薄い冊子ですが、1,000円ほどと安いのでマイコンBASICマガジンに思い出のある方にはお勧め。イベントもYoutubeで一部その様子は見られますが、実際に会場に行ってみたいですね。


 バトル・オブ・ベーマガライターズ(通常判)は、2018年に発売された山下章氏の新刊。元はマイコンBASICマガジン誌上で連載されていたものを書籍としてまとめたものになります。通常版とあるのは、こちらも秋葉原Beepさんのみで発売されていて、店舗でのみ山下章氏のサインの入った特別版が売られているため。当時、未完だったものが25年ぶりに加筆されて完成したということらしい。


 私がベーマガを読んでいたのは80年代の中盤頃で、山下章氏といえばチャレアベとパソコンサンデーで、この連載は読んでいなかった。ということで、この作品に思い入れはないのですが、久々のマイコンBASICマガジンがらみの山下章氏の新作ということで、これもどうしても入手しておきたかった。


 マイコンBASICマガジンのライターが参加したゲーム大会のドキュメントということみたい。ぷよぷよ、F-ZERO、ストリートファイターⅡですから、時期的には90年代になりますね。


 個人的には、プレ値が付いているチャレンジAVG&RPGやオールアバウトナムコを再販して欲しいのですけれどね。あるいは、マイコンBASICマガジン復刻版なども売れると思うのですけど。時おりラジオの製作の後継誌の電子工作マガジンで、コーナーとして復活はしているようですが、電波新聞社はあんまり商売っ気ないというか、過去の作品の復刻版商売には熱心ではないようです。そこは非常に惜しいところですね。

参考:マイコンBASICマガジンヒストリーブック・スタジオベントスタッフ/ベーマガⅡ実行委員会・バトル・オブ・ベーマガライターズ/山下章、ALL ABOUT マイコンBASICマガジンⅡ公式HP、Beepスタッフブログ

みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001/PC-6001・アスキー書籍編集部

2018-11-23 21:22:59 | 書籍・漫画

 みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001は、2005年にアスキー書籍編集部より発売されていたムック本。80年代のNEC製の8ビットパソコン PC-8001・PC-6001に焦点を当てて、当時のゲームを収録したレトロパソコンのエミュレータ本。15年くらい前にMSXマガジンの復活という形をとってこのような書籍が少しだけ話題となり、アスキーよりMSX本が3冊、PC-98本が2冊、PC-88本が1冊発売された。これで、当時のアスキーレトロコンピュータエミュレータ本はすべて揃った。


 当時思い入れがあるパソコンはPC-88、FM-7、X1の新御三家の頃なので、PC-8001とPC-6001には触れたことがなく、それほど思い入れはなかった。そのため定価が3,000円ほどと高価だったこともあり、当時迷って買わずにスルーしてしまっていた。後から探したのだけれど、プレ値が付いていてなかなか手が届かなかった。ここ最近になりようやく手に入れることができた。


 PC-8001は1979年とMZ-80Cと同世代のパソコン。PC-8001の頃はパソコンゲーム市場も未発達で、どちらかというとビジネス機という売られ方だった。友達の持っていたPC-8801mkIISRにはV1モードという互換モードがあり、そこで幾つかのPC-8001のゲームを遊ぶことができた。PC-6001は88シリーズより安めの10万円を切るような価格帯で発売されたホビーパソコンの元祖みたいな機種であり、これは欲しかったけれど当時触れる機会はありませんでした。


 PC-8001やPC-6001の当時の開発者のインタビュー記事が収録されている。コンピュータに個性があり、夢があった時代。今は、道具として必要不可欠だとは思うけれど、こんな楽しさはないかな。
 

 こんにちはマイコンでPC-6001を取り上げた、キーマンのひとりすがやみつる先生にもインタビューがなされている。あらしの新作も収録されている。


 チュンソフトの中村光一氏、芸夢狂人氏、Bug太郎氏、五代響氏など、当時の有名プログラマーのインタビュー記事も収録。これらは、今となってはそうとう貴重な記事だと思う。アマチュアとプロとの垣根がまだ曖昧だった、ゲームにとってもプレイヤーにとっても幸福な時期。


 PC-8001やPC-6001のゲームが31本も収録されている。残念ながら1本を除いてすべて知らない。


 PC-6601添付用ソフトウェアとして、日本電気ホームエレクトロニクスが制作したコロニーオデッセイ。チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲームでも紹介されていた。個人的に知っているのは本作のみ。これがこの本の一番の売りのようで、大研究と称して攻略記事が掲載されている。


 チャレアベみながら、遊んでみてえと思ったものです。


 この頃だと、そもそもアドベンチャーゲームというもの自体が未知の領域。高価なパソコンを所有していなければ遊ぶことができなかった。後にファミコンにもアドベンチャーゲームが移植されて広く一般的に遊べるようになった。


 ゲームの収録されたCD-ROM。単に古いパソコンの紹介記事ならば、ああ懐かしいねで終わってしまうところを、この本では当時のゲームを付ける事により追体験できるようになっている。この1点において、このアスキーのシリーズは他の解説本を寄せ付けない。当時1本5,000円~8,000円ほどしたゲームが何十本も収録されているというお買い得感も大きい。今ではダウンロード販売が主流だけれども、このようなレトロゲーム本をまた企画して欲しい。


 他にもおまけとして袋とじになった月刊アスキー・パロディ版のAhSKI 1984年版、2005年度版や、PC-8001やPC-6001のペーパクラフトなどが付いている。


 ということで、PC-8001やPC-6001自体に思い入れがないため後回しになり、買いそびれてしまっていたムック本だったのですが、記事としては一番充実しており、インタビューなど読み物として面白いと感じる。このアスキーの書籍+当時のゲームCD-ROMのシリーズ内では最も良く当時の空気感を伝えてくれる。PC-8001やPC-6001自体に思い入れがない方でもベーマガなどを読んでいた方であったなら楽しめる一冊だと思います。

参考:みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001/PC-6001・アスキー書籍編集部