80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

ロールプレイングゲームサイド Vol.1(GAMESIDE BOOKS)・マイクロマガジン

2019-03-03 22:40:00 | 書籍・漫画

 ロールプレイングゲームサイド Vol.1は、2014年にマイクロマガジン社より発売された雑誌。ユーゲー、ゲームサイドときて、2010年よりジャンル別ゲーム専門誌になった時に出た一冊。ユーゲー、ゲームサイド誌は、レトロゲームをメインで取り上げていましたが、今回は特にレトロゲームに拘らず、現行の作品、レトロゲーム、同人、ゲームブックなど、RPGというジャンルそのものに特化している。


 この号の特集はメタルマックス。データーイーストより1991年に発売されたゲームということですが、メタルスラッグとごっちゃになるくらい、個人的には思い入れがない。


 ではなぜ、この号を入手したかというとRPG専門誌ということで、国産RPGの歴史が取り上げられていたから。レトロゲームが得意な出版社ということもあって、ドラクエからではなくきちんと国産8ビットパソコンのRPGから追っている。国産初のRPGがいったい何かという問題があって、本格的なRPGは1984年発表のBPSのザ・ブラックオニキスといわれることも多いけれど、83年の時点でRPGの要素を含んだ作品は、光栄のものを初めとして数多く発売されていた。そこら辺りを詳しく掘り下げて解説している。


 国産RPGの大きな流れを示しているだけなので、ひとつひとつの作品の紹介や解説はそれほど多くはない。なので細部はチャレアベ等の当時の資料を参照する必要があります。


 その上で日本では長らくウィザードリィ、ウルティマ、ローグがRPGの源流だという言われ方がされていた。それはドラクエが発売された時に、堀井さんがウィザードリィ、ウルティマを参考にしたと言われていたことの影響が大きいよう思う。海外から日本へとRPGが入って来る際の様子を知るには、当時ログイン等で掲載されていた海外最新RPG事情等を参考にするしかなく、ある意味当時も今も詳しく知る術は無かった。


 第二特集としては、その世界的なコンピュータRPGの源流は何かということを解説している。日本語の記事としては、Wikiであってもウルティマ、ウィザードリィ、ローグ以外のものはほとんど書かれていない。なおかつ当時の状況をあわせて解説した記事は本当に少ないため、これらの記事は資料として貴重だと思います。アメリカでのCPRGの起こりは、教育機関(大学)においてあったネットワーク端末システムPLATOからであったことが詳しく紹介されています。この辺りの事情は、日本ではすっぽりと抜け落ちていることがほとんど。またCPRGが生まれてくるもうひとつの基盤として、TRPGがかなり若者に浸透していたという事情があった。


 日本でのイメージだと、1974年にDungeons & DragonsによりRPGが生み出され、AppleⅡの普及とともにウルティマ、ウィザードリィが登場して、コンピュータRPGの流れが始まったと思いがちですが、電源を使わないボードゲームであるDungeons & Dragonsと、その頃は高価で珍しい機械だったAppleⅡ上で動いていたウィザードリィとでは、2桁くらい売れた数((AD&D1stのみで)700万本と2万4千本)が違っていたそう。それほど圧倒的にD&Dがメジャーだったため、その再現を目指したコンピュータRPGは、想像するより多かったようです。日本ではコンピュータRPGやゲームブックが先に入ってきて、D&Dは85年からと逆だった。しかもTRPGを遊ぶ層は限られていたため、状況がまったく異なります。


 1985年に新和より発売された日本で最初のDungeons & Dragons。そのBOXの色から、通称赤箱と呼ばれている。コンピュータ誌やゲーム雑誌でRPGの元祖という時には、必ずといってよいほどこの赤箱が登場するが、1974年に発売されたOriginal Dungeons & Dragonsは、白い箱に入っていた。日本に初めて登場したのは1983年発売の第4板。つまりDungeons & Dragonsの元祖が赤箱のイメージなのは日本だけということになります。当時は大変なRPGブームであったため20万部~30万部と良く売れたらしい。それでも売れた数が二桁ほどは違うなど、アメリカとは状況が全く異なる。


 Dungeons & Dragonsと並んで有名なホラータイプのRPGクトゥルフの呼び声。最初の版だけBOXタイプで発売されて、以後は書籍タイプとなった。この当時のコンピュータRPGにも様々な影響を与えていた。根強い人気を誇り、現在でも新版が売られている。またSFタイプのTRPGとしてはトラベラー(ホビージャパン/GDW)が有名だった。


 最初期のRPGは高価なBOXタイプがほとんどだったが、ゲームブックからの流れで文庫版として出版されたトンネルズ&トロールズ。価格が1/10程度と手頃だったため普及した。近年でも新たにBOX版が出たり、新装のソロアドベンチャーが発売されるなど根強い支持を受けている。


 こちらは、コンピュータRPGとして大人気だったウィザードリィを、日本でTRPGへと仕立て直したという変り種のウィザードリィRPG。本国以上に受け入れられた、日本でのウィザードリィ人気の凄さを知る貴重な資料のひとつ。


 ということで、日本でも受け入れられたRPGですが、その受け入れられ方やスケールは本国とは全く異なっていた。またコンピュータRPGのウィザードリィやウルティマにしても、唯一それらが先行していた訳ではなく、いくつも発表されていた作品の中のひとつであったというのが正確な様です。その辺りの当時の事情や空気感はもはや知る余地はありませんが、その辺りの事情をほんの少しだけ垣間見せてくれる貴重な資料とは言えそうです。



参考:ロールプレイングゲームサイド Vol.1(GAMESIDE BOOKS)・マイクロマガジン社、Wiki TRPG、Dungeons & Dragons、ウルティマ、ウィザードリィの項、Koダイヤモンドは砕けない(エコーズAct2)RPG Reference

懐かしファミコン物語 思い出ピコピコ (懐マン)・少年画報社&RYU-TMRのレゲー解体劇場 (ガムコミックス)・ワニブックス

2019-03-03 10:50:33 | 書籍・漫画

 懐かしファミコン物語 思い出ピコピコ (懐マン)は、2016年に少年画報社より発売されたファミコンを題材としたアンソロジー形式の漫画本。カバーの付いていないペーパーバック、日本ではいわゆるコンビニ本です。


 前作は、ファミコンの思い出と言う大きなくくりでしたが、今回は個々のゲームソフトに焦点が当たっている。具体的なゲーム作品を題材にして、それぞれの作家さんが思い思いの作品を発表しています。


 特にゲーム系の作家さんという感じではなく、一般の(特に少女マンガ的な)作風の作品が並んでいる。それが、逆に一般の素人の子供の頃の思い出という感じで良い味を出している。


 以前に紹介した、同じ少年画報社による僕らのファミコン日記の第二段ということになります。こちらは、その後カバー付きの一般のコミックとしても売られており、好評だったんでしょうか。


 それで、前回と同じですが、個人的にツボだったのは漫画のほうではなく、いかにもコンビニコミックらしい広告のほう。コンビニでわざわざ漫画を買わずとも、食べ歩きとかB級グルメだとか、youtubeでいくらでも見らてしまう時代になっていますから、逆に妙に懐かしい。ネットがない時代では、ブックオフ散策とかコンビ二本が楽しみだった。


 価格的にも安く入手できますので、ほのぼのとノスタルジっくな気分に浸りたい時にお勧め。こういうほんわかしたものも、味があっていいものです。


 RYU-TMRのレゲー解体劇場 (ガムコミックス)は、2013年にワニブックスより発売されたレゲー漫画。元々は、ワニブックスより刊行されていた月刊コミックガムという雑誌に連載されていたもの。レトロ関係の本を探しているとAmazonのこんなものも買っています欄にいつも表示されていたため気になる作品だった。


 コミックガムという雑誌は読んだことはないのですが、ゲーム誌ではなく一般誌らしい。漫画のほうは、見開き2ページという短い読みきり形式になっており、その中で懐かしいレトロゲーム一作品をテーマとして取り上げて、漫画化しています。一般誌というよりもゲーム誌に連載されてたといってもおかしくない作品になっています。


 選ばれるゲームがファミコン時代の有名作品というところがポイント。ボコスカウォーズや魔界村、ボンジャック、アトランティスの謎、Rタイプなど、8ビット世代にはどストライクのものが選ばれています。この作家さんは絵も上手いため、懐かしのレトロゲームが実に魅力的なキャラに変換されている。


 惜しむらくは2ページしかないため、あまりストーリー性がないこと、コマ割りも含めて肝心の絵が小さいこと。もっとシンプルな構成にして、レトロゲームあるあるを2ページで展開してくれたら面白くなったのにという気がします。


 この作品には続編があり、RYU-TMRのレゲー解体劇場 セガハード編、昭和アーケード編とこちらも惹かれる題材を扱っている。いずれ続編も手に入れたいと思います。どこかしらファミ通などに連載されていたゲーム漫画を思い出させるような、懐かしい雰囲気もありますので、レゲー漫画でほっこりしてみたい人にはお勧め。

参考:懐かしファミコン物語 思い出ピコピコ (懐マン)・少年画報社、RYU-TMRのレゲー解体劇場 (ガムコミックス)・ワニブックス

コロコロ創刊伝説 1(てんとう虫コミックススペシャル)&コロコロアニキ 2019冬号・小学館

2019-03-02 17:45:00 | 書籍・漫画

 コロコロ創刊伝説 1は、小学館の雑誌コロコロアニキに2014年より連載されているのむらしんぼ氏の漫画作品。コロコロアニキとは、かってコロコロコミックの読者だった層に向けた大人向けの漫画誌であり、かってのヒット漫画の続編や特別編などが掲載されている。のむらしんぼ氏は、とどろけ一番やつるピカハゲ丸で80年代に一世を風靡したコロコロコミックを代表する漫画家のひとり。


 のむらしんぼ氏の名前は、とどろけ一番やつるピカハゲ丸以来久しぶりに聞く名前で、氏は昨年辺りからテレビ番組や動画配信等メディアに露出することが多くなっていた。取り上げられ方としては、落ちぶれてしまい借金を抱えたかっての人気漫画家みたいな扱いで、ゲームセンターあらしのすがや先生(現在は大学で教えている)と比較されたりすることも。しくじり先生にも登場して、自分の身の上をさらけだしていた。


 コロコロ創刊伝説は、そののむらしんぼ先生の現在の身の上と、コロコロコミック創刊時(のむらしんぼ氏のデビュー時)とが、リンクしながら物語が展開してゆくことになる。とどろけ一番やゲームセンターあらしの誕生秘話や若き作家、編集者たちの青春群像が描かれている。


 テレビやメディアに急に露出が増えたのは、小学館の広告戦略のひとつだったと思うのですが、これが上手くはまったように思います。のむらしんぼ先生自身が、漫画よりも本人の方が面白いと思うくらいキャラが立っています。結果、漫画の方にも脚光が当たることになり、コロコロアニキの看板作品として好評なようです。


 漫画は、もう基本的に読まないのですが、扱っている時代が漫画を読んでいた時期と重なっているため読みやすかった。かってのコロコロコミックの読者だった方へお勧め。


 コロコロアニキ 2019冬号は、今年の12月15日に発売された現時点での最新号。コロコロアニキは、2014年10月15日に小学館より発刊された青年漫画雑誌。コロコロコミックを卒業した、かっての読者である大人を対象にしており、キャッチフレーズは「小学生お断り」。こちらもTwitter上で大変な話題となっていた。久々に実店舗の書店にて購入。


 話題となっていたのは、ゲームセンターあらしが久々に復活するということと、あらし復活記念としてあらしのトレードマークであるインベーダーのマーク付きの帽子を商品化して、それを応募者全員に購入プレゼントという企画が発表されたから。それ以外にもビックリマンシールが付録として付いたり、ミニ4駆の購入プレゼント企画があったりと盛りだくさん。


 中でも一番の話題はこちら。タイトー、すがや先生公認で、コロコロコミックが製作するというプレミア必至のインベーダーキャップ。プレゼントではなくお金を払って購入する権利なのですが、応募者のみという懸賞ものなので本誌を買わなければ手に入らない。


 オールパソコンで書かれたというあらしの新作も、まったくそれを感じさせない自然な仕上がり。絵柄も変わっていなくて、80年代連載当時を思い起こさせる。


 今はどちらかというと断捨離が課題となっておりレトログッズ等を買うのは止めているのですが、応募の締め切りは4月末までなので悩みどころです。Twitter上で話題となったお祭りに参加するといった意味からも、これはなかなか楽しい企画だったと思います。

参考:コロコロ創刊伝説 1(てんとう虫コミックススペシャル)、コロコロアニキ 2019冬号・小学館

NHKスペシャル 新・電子立国〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防・日本放送出版協会&パーソナルコンピュータ博物史/京都コンピュータ学院KCG資料館・講談社

2019-03-02 01:33:01 | 書籍・漫画

 こちらは、1997年に日本放送出版協会より出版されたNHKスペシャル 新・電子立国〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防。1995~96年にNHKで放送されたNHKスペシャル 新・電子立国の書籍版になります。ゲーム関連の本が出版される際に、それは「ポン」から始まったに次いで参考文献として多く使われている一冊になると思います。


 ちなみに放送された新・電子立国自体は、さがせば動画サイト等で見ることもできます。その書籍版であるこれはブックオフなんかの100円コーナーなんかにおいてあることも多いのですが、狙って探せるものでもないということで入手して置きたかった。


 バブル崩壊後の長期不況で、日本の産業が曲がり角になって、次に来るのはコンピュータや半導体関連だという機運が高まっていた頃に放送されたシリーズで、全6巻出版されている。その中でも特にビデオゲームに焦点を当てた巻が、第4巻ビデオゲーム・巨万の攻防ということになる。


 テレビ放映されたものの書籍版なので、専門書のように詳しいというわけではない。おそらくテレビ栄えするように脚色も加えられていると思います。でも、詳しくない人にも基本から順にテレビゲームビジネスの成り立ちについて解説をしてくれている。


 電子立国のDVDも欲しいけれど、ばら売りはしてない模様。6巻セットだと結構な金額となる。


 それでも公共放送という信用と機動力を生かして、アタリ社のノーラン・ブッシュネル氏、任天堂USAのハワード・リンカーン氏、スペースインベーダーの西角友宏氏、任天堂の宮本茂氏など、そうそうたるメンバーが登場し、ゲームの偉人たちのインタビューが納められていますので、やっぱり資料としても一級品であるし超貴重。


 この当時としては、ビジネス書の一種として読まれたのでしょうけれど、今となってはコンピュータ史、ゲーム史をより詳しく知るために必携と言える一冊なっているでしょう。ゲーム好きなら資料として抑えておきたい一冊。


 パーソナルコンピュータ博物史/京都コンピュータ学院KCG資料館(コンピュータミュージアム)は、70年代から90年代にかけての日本のコンピュータ史を簡単に紹介したハンドブック。京都コンピュータ学院のKCG資料館に保存されている実機の写真を元に、名機と呼ばれる数々のコンピュータがカラーの写真とともに紹介されている。
 

 京都コンピュータ学院KCG資料館や京都情報大学院大学が著者、監修ということからもわかるように技術寄りのお堅い本であり、コンピュータを学ぶ学生が、コンピュータの歴史を知るために書かれた教科書(ハンドブック)のような作りになっている。よって、懐古成分は薄め。まさに今これからコンピュータを学ぼうとする、今の学生に向けたような内容になっている。


 レトロパソコン資料館として、京都コンピュータ学院のKCG資料館に保存されている実機の数々がカラー写真で紹介されており、レトロパソコン情報館として、8ビットの代表的な機種が取り上げられている。それだけではなく、周辺機器や発展の歴史、代表的なCPUまでが取り上げられ紹介されている。


 学生のためのハンドブックと書きましたが、それほど理系の学生でないとわからないような専門的なことが書かれているわけではない。ごく初歩的な、コンピュータに最初に触れる学生のための入り口みたいな感じで、素人にもわかりやすい。


 マイナーハードなどを集めた書籍とは異なりますので、それほどマニアックな内容というわけではない。ただ、教科書のような作りということで、懐古本とは切り口が異なっていて面白い。まさに今これからコンピュータを学ぼうとするひとのための、さわやかな青春の書というような感じがします。


 さりげなくMZ-1500なんかが掲載されており、これはファミコンのディスクシステムと同じクイックディスクを使用して販売価格を下げていた名機でした。ああこれも歴史のひとつとなったのだななんて思わされます。


 日本が電子立国なんて呼ばれていた時代の遺産が残されている。


 ということで、懐古本ではないレトロコンピュータの書籍ということでコンピュータの歴史、成り立ちを知りたいという方にお勧め。価格も手ごろですし、レトロや懐古趣味というフィルターを外して見ると、また違ったものが見えてくるような気がします。

参考:NHKスペシャル 新・電子立国〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防・日本放送出版協会、パーソナルコンピュータ博物史/京都コンピュータ学院KCG資料館(コンピュータミュージアム)、京都情報大学院大学(監修)・講談社

任天堂コンプリートガイド -玩具編-・主婦の友社&横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力・フイルムアート社

2019-03-02 01:21:36 | 書籍・漫画

 任天堂コンプリートガイド -玩具編-は、主婦の友社より2014年に発売されたソフトカバー本。任天堂博士としても知られる任天堂コレクターの山崎功氏の著書。


 ファミコン登場までの任天堂の歴史を、その商品を紐解いてゆくことで紹介している。本の冒頭で書かれているが、その製品まで含めたビジネス本ではない任天堂の歴史本はこれまで書かれた事がなく、任天堂本社にも資料が残されていないとのこと。この本は氏のコレクションと膨大な資料を元にして書かれており、そのため前代未聞の任天堂の歴史本になっている。


 花札やトランプ、カルタなどを作っていた京都の小さな玩具メーカーだった頃の商品から、歴史を紐解いてゆく。この頃、いったい誰がこんな世界的な企業になると想像できたでしょうか。


 任天堂躍進のきっかけとなった横井軍平氏の初期の作品、ウルトラハンド、ウルトラマシン、ラブテスター、光線銃など、有名どころはしっかり抑えてある。それらよりも重要なのは、見たことのないボードゲームやらラジコンやら、ペーパークラフト、ブロックなど、膨大な製品群が収められている点。それらの数々の玩具の中であっても、フィギュアとかキャラクター玩具は少なめというかほとんど見当たらず、生粋のゲーム会社だったことがわかる。


 任天堂が飛躍する土台となった、横井軍平氏のゲーム&ウォッチもしっかり収録。ゲーム&ウォッチは、今でもほかの媒体でいくらでも見ることができますが、これがないと任天堂の歴史本にはならない。


 ウルトラマンのボードゲーム。トミーのポケットメイトみたいな、ミニゲームも作っていたことは知らなかった。任天堂の歴史というと、カルタ、花札を作っていて、横井軍平氏がアイデア玩具を発明して、レジャー施設経営で失敗して、ゲームウォッチのヒットで土台を作り、ファミコンでの大成功と簡略化して語られることがほとんどですが、語られない膨大な商品郡がその試行錯誤の歴史を伝えてくれる。


 ベビーカーやファックス、わた飴製造機など、玩具ではない商品も作っていたなんて知りませんでした。


 これら以外にも、任天堂製品のテレビコマーシャル、レジャー施設やタクシー会社等の多角経営など、任天堂に関することがらが多岐にわたって紹介されている。


 分厚い高価格本ではなく、安価なソフトカバー本なのですが、その内容は実に濃厚です。横井軍平氏の横井軍平のゲーム館と並んで、任天堂について知るためには必携の一冊だと思います。すべての世代の任天堂好きにお勧め。


 横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力は、ゲームウォッチやゲームボーイの生みの親である、元任天堂開発者の横井軍平氏が生前に唯一書かれた本。1997年にアスキーより発売された横井軍平ゲーム館の復刻版で、この本が出るまではプレミアの付いた価格で取引されていた。現在では、ちくま書房より文庫本も出ている。


 いわゆるレトロゲーム本としては、超有名で名著のひとつといって良いでしょう。


 横井軍平氏。横井軍平氏の開発した玩具を一章ごとに分けて、ひとつひとつ解説してある。


 横井軍平氏の唯一の著書といっても、インタビューを起こしたもので牧野武文氏と共著という感じになっている。牧野氏は、横井氏の評伝や任天堂の分析本なども書かれている。


 偉大な発明のひとつといわれる、十字キー。それまでのゲーム機は、大概ジョイスティック式だった。横井氏自身は、そうたいしたものだとは思っていなかった模様で、単にコストと耐久性の問題でこれをファミコンに使用したと述べられている。


 ブルボン小林氏の帯の推薦文に尊敬すべきリア充とありますが、横井氏はお洒落で遊びの上手な方だった模様。イメージだと地味で頑固な技術畑の方という感じですが、超遊び人でスマートな方だった。ゲームウォッチにしても、ファミコンロボットにしても、バーチャルホーイにしても、横井氏の作品はどれも機能だけではなくデザインがずば抜けて良いと感じますが、そこにはやはり氏の美学が表れていたのだと思います。


 レトロゲーム好き、ファミコン好き、任天堂好きな方なら、ぜひ本棚に置いておきたい必携の一冊だと思います。

参考:任天堂コンプリートガイド -玩具編-・主婦の友社、横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力・フイルムアート社