お客さんと雑談していると彼女が帰って来た。「中に入って冷やしとき」って空いてる部屋に招いてあげるが「帰る、うちわ貸して」
「ほいよ」渡して、話しているとお客さんが煙草を取り出す仕草をされたので灰皿を差し出す。
「いや、これですわ」「うん?」煙草の代わりに吸うパイポと同種のものを出されている。
突然、彼女が入って来て二人の間にしゃがみこみ「どんなん?」って手にとって「これええやん」
帰ったんと違うのん?なんで突然お前が参加するのん?煙草に関係した話題に反応しよったな。
「オレにも此れにさせようと図っとおるな」お客さんもちょっと引きぎみに「これで止まってますねん」「此れにしい」
まあ、ここは合わせて「うんうん、いいみたいやね」銘柄などメモしてその気を演出しとこ。
しかし、この娘(こ)は空気のような自然体になれる技を心得ておるね。海外へホームスティに行く話に振ってやる。
「何処へ?」「オーストラリア」「気候は冬や云うんですが、そうですか?」「オーストラリアの何処かな?」
「何処や解れへん。メルボルン云うとこ」「メルボルン言うたら何処に位置しますかな?地図広げんと解りまへんな。常夏とちゃいまんのん?」
客さんも自信がないから答えながら笑っておられる。
「そうでしょ、オーストラリアっていつも暑いってイメージですよね」「オーストリアってのがありまんな」
「そう、オーストリア言うたらドイツの近くでんがぁ」「この二つが子供の頃ややこしかったですなぁ」話がバラバラやねぇ。
「昼はそうかも知れんけど夜は寒いんとちゃうのん?」お前が行くとこやんけ。よぉう調べとけよ。「カンガルーがいつも飛んどーるやん」
「なんでっここでカンガルーやねんな?コアラが居るわ」「そうやね、コアラが有名やね」何処ぞの秘境の土着民らの会話みたいやね。
お客さんがお暇されてから「大学の教授宅やねん。奥さんと子供の三人やねん」とお世話になる相手さんからのメールを見せてくれる。
と云っても横文字なのでさっぱり解らんけどね。お土産を何にしようか迷ってる。
けん玉とかコマとか日本古来の玩具なんか、あちらの人は喜ぶんじゃないのかね。
「此れ送ってん」写真を刷り込んだ自己紹介のメール「すべきことはちゃんと遣っとおるね」
子供の皮を被った大人か、はたまた其の逆か、変化(へんげ)自在をこなしてその場を持たせるには、
何事に対しても読みの深い熟練と回転の速い能力の為せる技なんだろうと思うよ。
「此の娘(こ)ちょっとオレと似てるな」って感じるときがある。
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