この前、偶然にテレビで確か
2チャネルを見た。
すると、落合恵子が
質問 老いることはいやですか?
なんて、しゃべっていた。
詳しいことはメモを取れなかった
ので、覚えていないが、ネットで
調べると、その時の内容と関係す
ると思われる文章があった。
老いてから、見えること
女性の自立や環境・社会問題などを
テーマに執筆している落合恵子は、
人はいくつになっても成長し、変わ
り得る存在であると思えると述べた。
「質問 老いることはいやですか?」
を執筆している間、同じ質問を自分
にしていたという。エッセイ集には、
山田洋次さん、谷川俊太郎さん、な
かにし礼さん、黒井千次さん、笹本
恒子さんらとの対談が入っている。
人生を山形のカーブで描き、その下
降の線を老いと呼んできた。気力と
体力は比例するものだと痛感させら
れることも多いし、記憶力も落ちる。
1960年代の米国の編集者・作家・文
芸評論家であったマルカム・カウリ
ーは「何かを探すのにかかる時間の
方が、探した何かを使うよりも長く
なった時あなたの老いは始まってい
る」としている。しかし老いの中に
は、欲望の鎖から自分が気持良く自
由になっていく実感があるという。
年齢を重ねることでよりデリケート
で果敢な、体験者、実験者、伴走者
になれると考えているという。老い
は捨てたもんじゃなく、深まるもの、
広がるものがあると話した。そして
健康を損ねた場合にも、そのまま支
え合えるような社会や政治、福祉を
大事にし、声を上げる責任と権利を
果たしたいとした。米国の小説家メ
イ・サートンの「私から年齢を奪わ
ないでください。働いて手にしたも
のです」という言葉が改めて心に響
くと述べた。
以上。
その上の文章で、
老いは捨てたもんじゃなく、深まる
もの、広がるものがあると話した。
というのがあるが、そのようなことを
落合恵子もしゃべっていたような気が
して、同感するものがあったので、本
を買ってよんだ。
本をそのものは、日常のエッセイに
思えた。特段変わった内容ではない。
その本の中で、
「老いることはいやですか?」。本書
タイトルに対するわたしの答えは┄。
「いやではありません」。
と記している。
このようなことを語っている彼女の
本を読んで気づいたことは、彼女は、
作家という職業がら、定年という言
葉も退職という言葉も関係ない身分
であるという羨望の身分である。
それに、彼女の私生活の豊かなこと。
このような恵まれた老年では、老いる
ことが、いやであるはずはない。
余談だが、老年について、蘊蓄を述べ
る方々は、定年も退職も関係ない人々
が殆どで、国民大多数の定年・退職と
いうものがついてまわる人々にも、該
当する話であるかは、割り引いて受け
止める必要があろう。
そうはいうものの、件の私も、病院で
寝たきり父親がいて、家では老いた母
と共同生活をしており、身動きの取
れない思いはするものの、現実とし
て、父親の財産を管理していることも
あって、隠れ貸家業で若干の余祿に与
っている。
そのようなこともあって、完全に定年
退職して、年金生活にある人と同じ生
活ぶりで、心情的にも同じあるかは、
疑問である。
「老いることはいやですか?」。
と自問自答した場合、それほどでもな
い。
なんて、言葉出てきて,若干落合恵子
に同調ぎみである。
退職して、10年近く経つのに、退職
しているという場面設定なのに、職場
で、アラーム設定をどうしようなんて
うろたえている夢を見る。
退職前の20年のうち、そのうち14年
は、毎晩居残りで残業ばかりして、職
場の戸締りかかりだった。
わたしが、定時に帰ったりすると、
同僚が大慌てで、帰宅の準備をして
いたのを思いだす。
本当は、私が無能だったはずだ。その
分、時間と体力と注げるだけの金で
必死に追いついていたのだろう。
そのような生活から、今解放されて
いる。
24時間営業、年中無休なんて、嘯い
て生活していた。
無理をしても追いつけたのは、
幸運だったかもしれない。
いや、職場がそのような無理を許容
してくれたのが、幸運だったかもし
れない。
そうでなければ、仕事についてゆけ
ないわたしは、きっと「引きこもり」
になっていたのかもしれない。
世知辛い話だが、とりあえず年金生活
を享受することができた。
これは、きっと、自分の人生は幸運
だったというべきかもしれない。
今の生活は、かなりだらけて、休む
合間に仕事をしている。
信じられない生活をしている。
「老いることはいやですか?」。
と自問自答した場合、それほど
でもない。という言葉が出てくる。
○背伸びする必要がなくなった。
○楽しいことを探す時間と精神的
ゆとりがでた。
○多くの不条理から解放された。
○風景を愛でる基準が若いころと
全く逆になった。
○驚いているのは、鉄やステンレ
スが匂うようになった。
○若い女子に気軽に話しかけられる
ようになった。
○今、身動きが取れないという焦燥
感はあるものの、もしかして、人生
で今が一番幸せな時ではないかと
思えていること。
○20代や30代の自分が嫌いになっ
たこと。なんと愚かな人間だった
こと。
○身の丈にあった贅沢で楽しく
あろうと思えるようになったこと。
○建前で、ものを考えなくてすむ
ようになったこと。
○本を読むにも自分の興味を最優先
してよくなったこと。
○やはり、親を思うゆとりが持てる
ようになったこと。
○老年になって、味覚、視覚、嗅覚
触覚等繊細になってきたように思え
ること。
○定年退職で、どこか、苛立つもの
があることは、否定できないが、そ
れでも、昔に比べれば、自分の我が
儘最優先し、精神的に贅沢な生活を
している。
「老いることはいやですか?」。
と自問自答した場合、それほどでもな
い。いいこともけっこうあるものだ。
である。
わたしが、現役時代、You Tubeは無かった?
今、ネットで気ままに音楽を聴いて過ごしている。
これも、想像だにしなかった贅沢なことだ。
老いるのも、わるくはない。