ちょっと親元に帰ったところで床の間を見た。
まあ、安普請の代物で、たいしたものではないが、改めて眺めて気がついたのは、磨き丸太や床框などの材が丸いことだ。
もちろん、そのことは知識としては知っているが、家のその他の柱など木材はみんな角材なのに、床の間だけが丸太であることに違和感を持ったのだ。
考えてみれば、床の間は数寄屋造の中で生まれた洋式だが、数寄屋造そのものは当時の大径木建築から小径木、それもヒノキからスギへの転換に当たる。それに加えて、角材から丸みを帯びた材を使うという特徴もあったのだ。
現在主流になっている洋風建築も、角材である。丸いまま使うのは、ログハウスぐらいだろう。
実は日本の建築史で丸材を使うのはこれが初めてではない。寝殿造と言われる平安時代の建物も丸柱だ。今では神社などに残っている。それが書院造で角材になり、数寄屋造で丸材になる。
この調子だと、次は丸柱が流行らないだろうか。ログハウスのような横組ではなく、縦組の在来工法やポストアンドビームの中に丸柱、丸梁を使う全体にまるっこいデザインはウケそうな気がするが。
丸太のまま建築材にすれば、切って木の繊維を傷つけない。それに製材の手間も省ける。端材も出ない……そんなことを考えてしまった。