非常に懐かしい人から電話があった。雑誌の編集者なのだけど、今はフリーでライター稼業もやっている。
その人からの質問。
「スギ林でも楽しく遊ぶ方法はあるか」
森遊びをする場合、たいてい対象は雑木林になる。しかし、山林を購入するなり借りるなりしようと思うと、すでに植林地の場合が多い。しかも手入れ不足だろう。そんな森で楽しめるのか、楽しむ方法はあるか、という質問である。
私が、とっさに応えたのは、「美しい森林づくり」である。まるで安部内閣のスローガンみたい(笑)。ともあれ荒れた植林地を美しくすることが、もっとも楽しい森遊びじゃないか、というわけである。だから下刈り、間伐をするのだ。
とは言っても、一般人を納得させるには理論武装が必要だ。
そこで私が授けたのは、「そもそも日本人にとっての美林は、針葉樹林である」という理論だ。日本三大美林と言って、木曽檜林、秋田杉林、吉野杉林、ほかに青森のヒバ林とか高知の魚梁瀬杉林などを入れることもあるが、いずれも針葉樹の森林である。また写真などで美しい森林を選ばせると、見る前には原生林がよいと言っている人も、人工林を選ぶことが多い。
植林針葉樹林は、まっすぐな幹が林立し、下部の枝は払われているし、下草も刈られている。適度な間伐は見通しもよくする。そうした光景を美しいと感じるのだ。
さらに理論武装としては、適切に管理された人工林ほど、天然林よりも生物多様性が高いという調査結果(たとえば速水林業の森)を示す。
美しくない森林を、自らの手で美しくする。これこそ夢ある森遊びだし、汗を流して作業すれば、達成感はあるし、その思い出が、森を美しく感じさせる。
これで納得して、荒れた杉林を購入して、美しくする森遊びが広がればいいんだけどね。
今その林が田圃や家の邪魔になって困ってます。
伐るにも伐採価格が高いので、材価格でまかないきれません。
さてどうする?
廃村や放棄棚田にスギがヒョロヒョロ生えているのを見ると、何やら切ない。
スギもスキズキ、植えスギはよくないか。
これは全国に、適地でなくてもスギ、ヒノキ造林を、
各地の施業の内容も考慮せず多くは3000本植を、
提唱し実施させてしまった国の責任もあると思います。
何かあったら共倒れの危険があると思わなかったのかな。
ただ植えただけでは美林にはならない。
だからこそ、美林に仕立てる技と工夫と苦労に、
楽しみはあると思います。
まあ、3000本植えると生長が早くなるのは事実です。上へ上へと伸びるから。でも、その代わり手入れの必要性が増してしまった。
逆に吉野のように8000本植える地域でも、国有林は3000本なんですよ。こちらでは疎植扱い。
スギなんて植わってなかったとこにスギ。ヒノキが育ちにくいとこにヒノキ。
基準は基準として、地域にあったやり方を指導させたほうがよかったのではと思う。
だから今は少しずつ、地方での自由度が増しているけど
自主性の失われた山にいまさら自分で工夫しろというのも、無責任な気がするし…
それでも育ったんだから、あんまり間伐推進しなくても…と考えてしまう。「美しい森林づくり」には、反しているか?