goo blog サービス終了のお知らせ 

森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

ため池の存在

2006-01-22 18:31:58 | 森林モノローグ

山歩きをした。
すると、なぜかため池ばかりにぶつかる。まだ現役のものから、ほとんど堆積物で埋もれ、水も涸れているものまで。

いうまでもないが、ため池は、人が作ったものだ。それも山の中のものは、谷をせき止めたものが多い。おそらく作った時は、自然破壊だったのだろうな、と思う。谷の生態系を激変させたのだ。しかも貯まった水は、濁ってしまった。流れ出る水も堆積した泥と腐食した落葉などの有機物が溶け込み、清流とは言えなくなっただろう。
その結果、命を断たれた生物も少なくないはずだ。

それがいつのまにか、周囲の生態系になじみ、今や貴重な水辺になっている。ため池なしでは生きられない動植物も多いはずだ。止水域だから産卵できる昆虫類とか水棲昆虫もいるだろうし、最初は人が放したのかもしれない淡水魚も増えてくる。もちろん、貝類や水草もある。
大型動物だって、水場に欠かせないかもしれない。鳥類の餌場になる可能性もある。つまり、里山の生態系の中にため池は組み込まれている。

…とまあ、そんなことを考えながら山の中を彷徨していた。自然破壊と生態系の創成は紙一重の差かも。

さて、今では農業が廃れ、ため池も管理されずに消えつつある。それは自然破壊か、それとも自然の復元か。

 


ソロモンの木材

2006-01-18 15:15:34 | 森林モノローグ

昨日の続き。

ふと気がついたのだが、ソロモン諸島の木材と言っても、植林木だとすると樹種はアカシアとかユーカリになるのではなかろうか。もしかしたら針葉樹の可能性だってある。少なくても現地の種類を植林することはないと想像できる。

となると、分類上は南洋材扱いでも、内容的には熱帯木ではないのではないか。
今後、統計などにも影響を与えそうだ。

それと、FSC認証をとっている熱帯林が増えている(というよりこちらの方が面積的には多いのかも)が、それも植林木の森林なら熱帯林保護にはつながらない気がする。だいたい天然の熱帯雨林は管理を必要とせず、FSCのような森林認証に納まらないだろう。もともとFSCは、熱帯林の保全を目的に作られたはずだが、森林認証制度が熱帯林にどんな意味を持つのかよくわからない。

ちなみに双日は、たしか日商岩井とニチメン?が合併した商社ではなかったっけ。

日商岩井は、ニューギニアで伐採していた企業だ。ダカタウア湖のあるウィルメッツ半島を切り開いたのもこの会社。


ソロモン諸島

2006-01-17 23:53:08 | 森林モノローグ

先日、パプア・ニューギニアの林業に関する思い出に触れたが、今度は、お隣のソロモン諸島。

というのは、総合商社の双日(株)が、ソロモン諸島のKFPL社の植林地から出されるFSC認証材を日本、中国、韓国などの合板メーカー向けに供給すると発表したからだ。KFPL社は、ソロモン諸島のコロンバンガラ島で20年以上植林事業を行っており、保有森林面積は約1万2,000haあるという。

実は、私はソロモン諸島を旅した時にこの植林地を見かけている。といっても、飛行機で上空から見た程度だが。
当時は伐採全盛期。結構乱暴な伐採をしていると聞いていた。
日本の企業はボルネオの次はソロモンだと言っていたが、ヨーロッパ系企業はどんどん入っていた。この会社は、たしかイギリス系だった。ただソロモンの人々は、土地に関する権利意識が高い。しかし契約意識が低い(^^;)。契約しようとすまいと、気に食わなかったらごねる。それで殺し合いも起こる。一方で、樹種が非常に多くて使える木は少ないという。

私たちも、シンボ島で土地をめぐる争いに巻き込まれて往生した。ちなみにこの時に世話になって、また争いにも巻き込まれた国会議員ルーベン・リロが、今はコロンバンガラ島を含む西部州の知事である。この点については、「ナンバワン、ソロモン!」を参照のこと。

そんなソロモンの森林がFSCを取っていたとは。そして日本が関わることになるとは。時代の流れを感じる。


パプア・ニューギニアの森林

2006-01-12 16:18:09 | 森林モノローグ

民主党の機関紙「民主」が届いたので、パラパラ読んでいると、「森林の違法伐採を考えるシンポジウム」の記事があった。

シンポそのものは昨年12月6日に、パプア・ニューギニアとインドネシアの森林保全関係の活動家を招聘して開いたものである。加えてグリーン・ピース・ジャパンやらFoEJapanからもパネラーが参加している。

パプア・ニューギニアの森林については思い出がある。実は、私も伐採現場にいたからだ。20年ほど前にラバウルの木材商社の人と知り合い、伐採キャンプでお世話になっていたのだ。ジャングルを歩いて伐採する様子も見学させてもらった。

さらに訪ねた町で、当時の林業大臣と知り合い、彼の家に泊めてもらった。それどころか彼の運転で町の戦跡など案内してもらったり、畑で芋堀りもした。家で現地の新聞を読んでいると、当の本人が写真付きで記事になっており、「未来の世代のために、森林資源の保護を…」とかなんとかコメントしていた。

それから舟で海をわたってたどりついた村から秘境の湖を訪れた。ダカタウア湖といって、未知の怪獣がいると言われていたので、ポートで探検して回ったのだ。事実、まさに秘境の雰囲気で、断崖絶壁に囲まれた湖にはワニがわんさかおり、空にはオオコウモリが舞っている。ゴジラが現れても違和感ない雰囲気だった。
ノブタを仕留めると、解体して臓物を焚き火で焼いて食った。

あの湖の周辺の自然はぜひ保護すべきだ、と大臣に送った礼状に記したことを覚えている。

それから数年後、湖まで林道が延びたという情報がもたらされた……。


日本焚き火学会

2005-11-04 18:18:35 | 森林モノローグ

庭で焚き火をした。剪定した庭木を燃やしたのである。

一応我が家は住宅地にあるから、気をつかう。炎は小さめにするが、煙は如何ともしがたい。そこで黄昏どきなら目立たないとか、最近は窓を開けている人は少ないだろうと考えながらおそるおそる行う。炎の上げ方によっては煙を減らす方法もある。いずれにしても文句が来る前に、30分くらいで終了させないといけない。

日本焚き火協会というのをご存じだろうか。広島に本部があり、焚き火文化について研究している。火の起こし方はもちろん、炎を出さずに煙だけ上げる方法とか、香りのよい薪、はぜる音が聞こえる薪……など報告される。以前私が参加したときは、アルプスの家の薪の積み方が、スライドで紹介されていた。

先日、ちょうど2005年大会を開催する案内が来ていた。
○日時:11月6日(日)午後2時頃から
○場所:本部焚き場(広島市佐伯区湯来町麦谷968)
○日本焚火学会      松波 龍一
  http://www.realize.ne.jp/~nami/takibi

まあ、学会とはいえ遊びなのだが、一応ちゃんと研究され発表するところがミソだ。かつては国の補助金も取り、報告書も作ったという。

焚き火文化も森林文化の一部に入るだろうか。精神的領域にも踏み込めれば、癒しを与える「ファイヤー・セラピー」なんて立ち上げられるかもしれない。そしてうまい焚き火を行える資格「焚き火師」を儲けて資格認定制度にする(笑)。

ちなみに「国際焚き火学会」というのもあるが、こちらはアウトドア文化人の遊びの場(同じだけど)。今はやってるかな?

 


1本の木に4つの果実

2005-10-30 19:22:12 | 森林モノローグ

キンカンの木にミカン、ネーブル、ポンカンの実がなる。父の作品である。

写真ではわかりにくいかと思うが、本当のこと。父がキンカンにほかの柑橘類を接ぎ木して育てたら、それぞれの実が実った。

「次はレモンをしようか」なんて言っている。

ま、植物にはいろいろな可能性があるということで。

 


奈良の森林と大仏殿

2005-10-22 23:59:04 | 森林モノローグ

大仏殿を訪れた。やはり大仏様は大きいなあ、と観光客のような感想を持った

実は写真を撮りに行ったのである。大仏、ではなく、大仏殿。とくに柱だ。
次に行う講演で使うためだ。世界最大の木造建築といいつつ、その柱は寄木であること、そして天井には鉄骨が入っていることを示そうというわけ。明治の大修理の際に、痛んだ梁を取り替える巨木がなくて鉄骨を使ったのだ。この点は森コロの前書きにも書いた話である。
実は東大寺の裏手には、春日山原始林がある。その名のとおり原始林で世界遺産にも指定されている。都市に隣接して原始林があることは、世界的にも珍しい。一方で吉野林業の人工林もあるわけだし、生駒山という典型的な里山もある。
これらをセットにして講演の材料にしようというわけ。奈良の素材ばかりで日本の森を論じるという壮大?手抜き?な計画である。

ついでにシカの写真も撮った。奈良といえば、大仏とシカ。これもセットである。奈良観光も売り込んでこようかな。

ところで、シカの写真を撮るときに気がついたのだが、大仏殿前にはマツの巨木が並木を作っている。これを伐って大仏殿の梁にできないかな、と考えてしまった。