人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

茂木さんのツイートから

2010-09-05 14:51:20 | Weblog
 下に掲載したものは、かの有名な脳科学者の茂木さんが連続ツイート
したものをそっくりそのまま掲載させて頂いたものである。

 私も随分前から「ロッキード事件」を初めとする田中角栄氏の政治資金
に関する一連の事件とは何だったのかを考えていたところであった。当時
としては正に晴天の霹靂のような早業で日中国交正常化という誰もなし
得なかった偉業を成し遂げた。

 当時、世界は共産主義と自由主義が東西に分かれ対峙していた時代で
あった。時代の背景が今とまるで異なっていた。しかも日本は、太平洋
戦争前に於いては侵略者としての加害者的な立場の国であった。その国と
国交を正常化したのである。

 アメリカがニクソン大統領時代に中国と国交回復すると間髪をおかずに
日本も中国と国交正常化を行った。戦後一貫して日本を属国扱いにしていた
アメリカがこころよく思うはずもなかった。

 間もなくロッキード事件はアメリカから始まった。その当時、小沢一郎さん
は将来を嘱望された若きエースとして田中角栄氏の元にいた。同じく若手
には早く亡くなってしまった橋本龍太郎氏もいた。

 共に田中学校の優等生だったのであろう。当然のことながら田中角栄氏
の強い影響力を受けていたに違いない。

以下は茂木さんのツイートである。

田中角栄氏に関しての連続ツイート
昨日深夜の田中角栄氏についての連続ツイートを、ここにまとめて掲載
します。


茂木健一郎

 金曜またぎの深夜でもあるし、帰って来ながらいろいろ考えたので
いつもは朝やる連続ツイートを、もう少ししたらやりたいと思います。

角栄(1)あれは数年前だったか、学生たちとカラオケをしている時に
「まあ、その〜国民のみなさまにはですね、まあ、その〜」と田中角栄の
ものまねをしたら、誰もわからなかった。昭和を象徴するあの人のダミ声
を知らない世代が生まれてきているのだと知り、ショックだった。

角栄(2)その頃から、なぜか、田中角栄さんのことが気になった。
最近になって、いろいろな意味で田中さんと比較される小沢一郎さんに
ついての、マスコミの報道ぶりを見ていて、なぜ角栄さんのことが気に
なっていたのか、わかった気がする。角栄さんは、私たち日本人にとって
一つの「宿題」なのだ。

角栄(3)田中角栄さんは、高等小学校と中央工学校を卒業という
決してエリートとは言えない出自の中、持ち前の強靱な知性と驚くべき
バイタリティで、ついには総理大臣まで上り詰めた。支持率も高く
マスコミは「今太閤」と褒め称えた。

角栄(4)「コンピュータ付きブルドーザー」と評された頭の回転の
速さと、エネルギー。人心を掌握する術にもたけていた田中角栄さんが
卓越した人物であったことを疑う人はいないだろう。

角栄(5)田中角栄さんの最大の功績は、日中国交正常化を成し遂げた
ことだった。ニクソンの電撃的訪中によって、日本が「ジャパン・ナッシ
ング」になる危険を察知した角栄さんは、総理大臣として驚くべき
スピードで調整し、いろいろと障害のあった日中の国交正常化を成し
遂げた。

角栄(6)その驚異的な頭の回転は、幾つもの伝説を読んでいる。
大蔵大臣に就任した時、大臣室に来た官僚たち一人ひとりの名前を
フルネームで呼んで、居並ぶ人たちを感激させたという。

角栄(7)政治家にとって、他人の名前を覚えるのは大事な能力うっかり
誰かの名前を忘れてしまうと、角栄さんは、握手をしながら、「君の名前
はなんだっけ?」と聞き、「鈴木です」と答えると、「名字はわかって
いるよ。下の名前はなんだっけ?」と相手を傷つけずに聞き出したのだと
いう。

角栄(8)「日本列島改造論」などで、狂乱物価を引き起こしたと批判
された田中角栄さんだが、その旺盛な活動の背後には、故郷の新潟の
貧しさに対する深い思いがあった。何とか、冬は豪雪に覆われる地域の
人々の生活を向上させたいと願ったのである。

角栄(9)「今太閤」とたたえられた田中角栄さんの運命が暗転したのは
マスコミが「田中金脈」批判のキャンペーンを張ったことだった。集中
豪雨的な批判記事の圧力の下、角栄さんは総理大臣を辞した。

角栄(10)辞任の翌年、米国の上院における証言から、「ロッキード
事件」が発覚する。「総理の犯罪」を追求するマスコミの嵐のような記事。
角栄さんは、逮捕され、一審で実刑判決を受ける。

角栄(11)逮捕、起訴後も、角栄さんは自民党内で力を持ち続けた。
そんな角栄さんに、マスコミは「闇将軍」というレッテルを張った。
やがて、角栄さんは病に倒れ、その影響力は次第に低下していく。

角栄(12)最高裁に上告中、角栄さんは帰らぬ人となる。その刑事
責任は、結局確定しないまま、公訴は消滅することとなった。

角栄(13)田中金脈追及からロッキード事件発覚にかけて、私は小学生
から中学生だった。当時の私は、マスコミの記事、報道をそのまま信じて
田中角栄という人は悪いひとだ、「よっしゃ、よっしゃ」といって賄賂を
受け取った、その後も「闇将軍」として居残り続けていると思っていた。

角栄(14)その一方で、人間としての田中角栄という人を、どうしても
憎む気にはなれなかった。その頃、『わたくしの少年時代』という自伝を
読んだことがある。そこから伝わってくるのは、あくまでも真っ直ぐな
情熱に満ちた人柄だった。

角栄(15)それでも、長い間、「総理の犯罪」「田中金脈」「闇将軍」
というレッテルから、私の思考は自由にならなかった。田中角栄さんの
ことが気になり始めたのは、今年になって、日本の良識ある人々の中で
検察や、マスコミの「正義」に対する不信感が本格的に頭をもたげてから
のことである。

角栄(16)マスコミは「政治とカネ」と一つ覚えのように言う。統計的
に考えて、その悪弊はさまざまな政党のさまざまな人たちにポアソン分布
で生じるだろう。それなのに、なぜ、政権交代を果たしたばかりの政党の
代表と幹事長だけが狙い撃ちされるのか、まずここでおかしいと思った。

角栄(17)マスコミや検察の「正義」が絶対的なものではないという
ことは、成熟した民主主義の下では当たり前のことだろう。ところが
「有罪率が100%近い」という近代国家ではあり得ない事態の下
日本人は、長らく、マスコミと検察は絶対正義であるという「幻想」
の魔法の下にあった。

角栄(18)魔法がとけて見ると、田中角栄さんのことが気になり始めた。
あの一連の出来事は、一体何だったのだろう? あの一切の異論、反論を
許さないような報道の嵐の中で、本当に「正義」はなされたのか? 田中
角栄さんは、マスコミが描こうとしたような、極悪人だったのか?

角栄(19)田中角栄さんの問題は、日本人が未解決のまま抱えている
宿題だと思う。あれほど功績のあった人、卓越した人を、マスコミが
ヒステリーじみたキャンペーンで、葬りさった。その狂乱の本質は何だった
のか、私たちは振り返り、整理すべき時期が来ている。

角栄(20)中国の人たちは、日本のマスコミのキャンペーンに踊らされ
なかった。日中関係の井戸を掘った偉人として、首脳が日本を訪れる度に
田中角栄氏を訪問した、今考えると、角栄という人物の本質を見ていたのは
マスコミだったのか、それとも中国の人たちだったのか?

角栄(21)自分たちに絶対的な正義があると思っている人たちは
うさんくさい。「闇将軍」などと揶揄する記事を匿名で書き飛ばしていた
新聞記者たちと、田中角栄さんと、どちらが人間として興味深く、また
誠実に生きていたのか、今となっては答えは明かであるように私には
思える。

角栄(22)ニーチェは、人間の最悪の罪の一つとして「ルサンチマン」
を挙げた。田中角栄氏をめぐる一方的な報道ぶりを振り返ると、そこには
新聞記者たちの、角栄さんに対するルサンチマンがあったと思えてならない。

角栄(23)そもそも、権力者を次々と犯罪者に仕立てるのは、未成熟な
国の特徴である。すばらしい点の多々あるお隣の国、韓国はまた、元大統領
が次々と刑事被告人に貶められる国でもある。一方、成熟した民主主義の
国では、そのような極端な変動は、絶えて久しい。

角栄(24)成熟した英国流のカモン・センスから言えば、田中角栄氏の
「犯罪」は、果たして、あれほどのヒステリックな断罪が行われるべき
ことだったのか、大いにあやしい。少なくとも、その功績とのバランスに

おいて総合的に判断する、そのような知的態度は有り得たはずである。
角栄(25)私は、過去に遡って、田中角栄氏にあやまりたい。小学校か
ら中学校という、世間知らずの年代だったとは言え、自らの正義を信じて
疑わないマスコミのヒステリックな報道によって、「闇将軍」であり
「悪人」であるとたとえ一時期でも思ってしまったことに対して、心から
謝罪したい。

角栄(26)今、こうやって振り返って思い出すのは、ロッキード事件の
渦中にあった頃の田中角栄氏が時折見せていた、孤独でさびしそうな横顔
である。あそこには、人間の真実があった。一方、居丈高に正義を振り
かざしていたマスコミの様子を思い出すと、浅薄さといやしさの印象だけ
が強まってくる。

角栄(27)ロッキード事件が明るみに出たあとも、田中角栄氏は、新潟
でトップ当選し続けた。マスコミは、新潟の選挙民の意識が低いなどと
揶揄し続けた。今考えれば、人間としてまともだったのは、一体どちら
だったのだろう。

角栄(28)人間は、過去を振り返り、反省することで、未来への指針を
得ることができる。日本の国の将来を、小学生の学級会のような幼稚な
「正義」で危うくしてはならない。今こそ、田中角栄さんをめぐる一連の
事態は一体何だったのか、真剣に検討すべき時期が来ているのではないか。

以上、田中角栄氏に関しての連続ツイートでした。深夜、大変お騒がせ
しました。おやすみなさい。

 以上で茂木さんのツイートは終わっている。私はこの飾らない脳科学者
らしいツイートに少なからず感動してしまった。それは私自身の心の中に
わだかまりとして長く居続けた疑問を解き明かすキーワードに思えたので
ある。

 鳩山氏や小沢氏の一連の政治資金問題は何だったのか、妻とも話しながら
歪められた一方的な報道が私達国民の利益を大きく損ねていること、そして
それを信じ同じ立場でものを考え、思考を停止してしまった私達国民にも
その責任はあるのではないかと思うのである。

 かつて太平洋戦争やそれまでの戦争に於いても公器と呼ばれた新聞が
同じような報道を行い多くの人々を不幸に追いやったことを考えるとき
同じ事を性懲りもなくくり返しているのではないかと思えてならない。 

コメント
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