ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

素晴らしい癒し系の沢でした。が、……最後に……

2012年06月26日 | 沢登り/多摩川小菅川水系

2012/6/24  この土日はO橋君とどこかそれなりのルートへ行く予定だったのですが、彼に仕事が入り中止。その代わりS子とまたまたのんびりな沢へ行くことに。

僕自身はハードでもイージーでもどちらでも楽しく遊べるので全然構いません。そののんびり山行も最初は沢中一泊とかを考えていたのです。でも、一泊するとなると何かとパワーが必要。結局、日帰りの沢登りに落ち着いてしまいました。

僕のホームグラウンドは奥多摩です。沢登りとしての奥多摩とは多摩川水系全域と考えていますから、山域としては奥秩父や大菩薩として扱われることが多い沢もあります。多摩川支流の小菅川本谷は大菩薩峠へと突き上げる沢ですから、大菩薩山域の沢でもあります。今回の沢はその小菅川の支流・白沢川のさらに支流になります。大白沢と言いますが、鶴寝山や松姫峠へ突き上げるわけですから微妙に大菩薩山域寄りですね。

でも心配ご無用(何が無用なのやら?)! 僕にとってはこの沢は奥多摩なのです。

それはさておき、僕はいつも地形図を眺めながら「いい沢はないかなぁ?」と探しているのですが、この小菅川白沢川大白沢は以前からこのようにして目をつけていた沢だったのです。流水域がまずまず広く、ほとんどが広葉樹に覆われた山域なのです。傾斜はさほどありませんから、穏やかな沢だろうと想像できます。

ただ、ちょっと遠いのが難点で、バスに40分ほど揺られ、さらに1時間ほど出合まで車道を歩かなくてはなりません。そうまでして出かけて行って「つまらない沢だった」では申し訳ありませんから、S子と2人だけの時に実行することになった次第です。

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▲歩いていると川向こうに竪穴式住居のような家が並んでいました。「原始村」です。宿泊やらバーベキューやらが出来る施設のようです。8:40ころ。

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▲廃校になった小学校に「多摩川源流大学」と看板が掛かっていました。名前だけは知っていたので「ああここなんだ」と思いましたが、詳しい内容は全く知りません。8:50ころ。

下山して家で調べたら、「大学」という名前は単なる遊び心のネーミングではなく、本格的なものだと分かりました。東京農業大学の実習やセミナーを小菅村というフィールドを活かして実践する施設なのだそうです。当然、単位も取得できるのだとか。

しかも、村民講師が80人もいるのだそうです。山や森や川での仕事、文化などを体験を通じて教えているようです。

ところで、本当に驚くべきことはこの多摩川源流大学は小菅村のイニシアチブで出来たということ。村興しの一環として、まずは村を「源流の村」と位置づけ、村役場に「源流振興課」まで設置して実践しているというのですから、その本気度も良く分かります。

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▲蕎麦の花です。小菅村の蕎麦は美味しいそうです。9:00ころ。

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▲大白沢の入渓点はすぐそこです。この観光案内地図の看板が目印。9:07ころ。

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▲看板脇のスペースで遡行前の腹ごしらえと沢支度をしました。いよいよ遡行開始です。9:46ころ。

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▲大白沢の初印象は予想通りの好印象! 癒し系です。9:47ころ。

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▲入渓してすぐに釣り師と遭遇しました。穏やかな紳士風の方でしたのでホッとしましたが、変な奴だと大変です。以前、文句を言われ、追いかけられ、石を投げつけられそうになったこともありました。同じフィールドで遊ぶ者同士、理解しあい、遠慮しあわねばと考えています。釣り師の方には申し訳ないと思いながら、せめて見えている間は水の中を歩かないようにして遠く上流へと離れました。

釣り師の方が見えなくなって、水の中へと戻りしばらくすると、堰堤が出現。堰堤は沢屋の敵(大袈裟ですね)ですから、出現するとちょっと警戒します。その上流は大丈夫だろうかと心配してしまうのです。9:54ころ。

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▲続いてこんな倒木まで出て来ました。ますますもって心配ですね。10:02ころ。

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▲堰堤とか倒木とかの心配を吹き飛ばしてくれる2段の滝が出て来ました。10:12ころ。

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▲この週は台風やらで雨が多く降りました。大白沢もいつもより水量があるのではと想像します。水が嫌いなS子にはこの程度浸かるのも嫌なようです。10:18ころ。

水の中の方が楽な場合も多いのですけれどね。

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▲「いい沢だなあ」と安心していたら、川砂利採取場のような場所が突然現れました。林道の延伸工事でもしているのでしょうか? 沢の流れは右端に追いやられています。10:23ころ。

13分後のこと、右岸に林道終点が現れました。こことは関係あるのですかね?

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▲その後は美しい流れに戻りました。ひと安心です。写真に見える大きくて高い木はカツラの樹でしょう。丸っこい葉っぱが特徴です。なんとも心なごむ情景ですよね。10:29ころ。

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▲ときおり、小滝やらナメが現われます。水の色も綺麗です。10:47ころ。

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▲標高775m付近の支沢出合で10分ほど休憩。そこからも見えていた滝がこの滝です。遠目にはザイルが必要かなと見えましたが、近づいて見ると傾斜の緩いナメ滝でした。長さは10mほどでしょうか。11:06ころ。

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▲もっと写真を撮る技術があれば、もっと美しく撮ることができるのに! 11:11ころ。

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▲ナメが続きます。沢床の岩の色が明るいので、水も透明感のある明るい色に見えます。11:15ころ。

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▲まだまだナメが続きます。11:21ころ。

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▲水を怖がるS子はこの程度でもビビってしまいます。いま丸太に乗っているのですが、丸太が動かないかと心配しているのです。丸太に乗らなくてもそんなに深くはないのですがね。11:24ころ。

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▲大白沢のちょうど中間点あたりからワサビ田跡が出て来るようになりました。11:38ころ。

整地された面も消えていますし、こぼれワサビも一切ありませんから、相当前に廃田となったのでしょう。

この石垣は適当に積んでいるだけですから、崩れやすいので要注意です。

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▲強い日差しが沢の中へ届くようになりました。やっぱり気分も高揚しますね。11:50ころ。

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▲まだまだ豊富な水量が続きます。もちろん、小さな沢にしては、ですが。11:54ころ。

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▲標高915mあたりの支流との出合です。左が本流。11:57ころ。ここで、10分ちょっと休憩しました。

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▲美しい流れが続きます。12:11ころ。

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▲ワサビ田跡の石垣が続くことが多くなりました。12:17ころ。

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▲大きな岩を大きな木の根が包むように囲んで掴まえています。12:20ころ。

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▲明るく見えるあたりが標高950mあたりの二俣です。通過後に振り返って眺めています。どうやらここには作業小屋があったようですね。錆びて朽ちたトタンがありました。12:22ころ。

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▲ほんの少しだけ沢全体の傾斜が増して来ています。まだ小滝も時々出て来ます。12:25ころ。

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▲標高1035m付近です。左の水の流れている支沢は松姫峠へ詰め上げています。右が本流で鶴寝山方面へ行くのですが、伏流しているのか、水流が乏しいのです。12:37ころ。

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▲相変わらず美しい森は続いています。もはや水の流れは消えましたけれど。12:47ころ。

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▲12:55~13:10ころでした。沢の様子が悲しいことになっています。ゴミ、ゴミ、ゴミ。すぐ上方の道路から誰かが不法投棄したのでしょう。

せっかく美しく、心癒される大白沢が悲しい沢になってしまいました。

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▲ラストの詰めです。上方の白線は道路のガードレール。終了点です。最後の急登を喘ぐS子。13:13ころ。

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▲先週は柵を今週はガードレールを乗り越えての終了点です。13:19ころ。

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▲道路脇の水路に山の水が流れていたので、最後の急登で泥に汚れた渓流シューズを洗いながら歩きました。13:38ころ。

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▲時間次第では小菅の湯に入ろうと思っていたのですが、15:50の奥多摩駅行きバスにちょうど間に合う時間だったので、入れませんでした。田元橋バス停。15:27ころ。

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小菅から臨時バスも出て2台でしたが、すぐに2台とも満員となり、駅近くのバス停ではたくさんの登山者を積み残す有り様。ただ、途中のバス停でハイカー10人弱を見送っていた山野井妙子さんの姿を久し振りに見ました。僕の勝手な想像ですが、日本女性のアルパインクライマーの中では最強の方だと思っています。もちろん現在は指も凍傷で失っていますから、昔とは比べようもありませんが。もっともっともっと一般の方からも評価されるべき女性でしょう。

奥多摩駅ではまたまた天益です。当然天益です。ここのところ満席で入れないことが続いたのですが、今日は二人だけですし、入ることができました。カウンターに折り畳み椅子を入れてくれて、お客さんに少し詰めていただいての着席です。

僕の左隣りでは雲取の小屋のK岡さんが可愛らしい“罵詈雑言”を吐いています。しばらくすると山岳救助隊のH本さんも来られて、ときおり渋い発言をされます。

山屋の社交場としての「天益」は奥多摩では最高の舞台です。ベテランの山屋、最近登山を始めた山ガールたち、地元の住民の方々、多様な顔ぶれが集う場所。

この日も7月に初めて富士山に登るのだと、ご夫婦と息子さんが来られていましたが、周りの皆さんでアドバイスや情報を与えてあげていました。

そして、今年初めてのサクランボをお裾分けして頂きました。ご馳走様でした。


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