ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

サス沢右岸尾根を登り、清八新道下降 2/2 ――― 雷に追いつかれないように

2015年05月06日 | ハイキング/奥多摩

2015/4/25  サス沢右岸尾根(仮称)を登り終え、大ブナ尾根の一般登山道へ出ました。
今日は関東地方の山沿いの地域には雷注意報が発令されています。奥多摩町も同様です。サス沢右岸尾根を登っている最中もそうだったのですが、「雷鳴が聞こえたら、即下山しよう」とS子と確認し合っていました。予報では午後に大気の状態が不安定になるとのことでしたから、まだ大丈夫だとは思っていましたが、晴れ間は出ているのに、思いのほか空気が冷たいので、心配だったのです。

一般登山道へ出ると、下山は楽になります。その点は少し安心できます。


▲一般登山道です。新緑はちょうど芽吹き始めたばかりのよう。12:14ころ。


▲大ブナ尾根の上部から惣岳山~御前山に至る尾根筋はカタクリが多いことで有名です。この日もたくさんの登山者がカタクリ観賞に来ていました。
登山道に合流してから、なかなかカタクリが目に入ってこないので「おかしいなぁ」と思い始めたころにあったのがこの写真のカタクリたち。左のひとつはともかく他は皆枯れ始めています。「来る時期が遅かったかな~ぁ?」と感じていました。12:23ころ。


▲スミレは種類が多いので、名前の同定は諦めているのですが、N澤さんからの指摘もあり、シコクスミレかなぁと思っています。カタクリが枯れているので、スミレを撮ってみました。12:26ころ。


▲と思っていたら、綺麗に咲いているカタクリに出会うことができました。12:27ころ。


▲この大ブナ尾根は急登続く尾根なのですが、ときにはなだらかな箇所もあります。芽吹き始めの茫とした柔らかな色合いが大好きです。12:32ころ。


▲スミレ(シコクスミレ?)は小さい花ですが、拡大すると豪華な花ですね。12:43ころ。


▲昔から何故かここにはこの草が群生しています。この草は尾瀬などでも広く見られ、高山植物としても知られているコバイケイソウ。毒草ですから、シカも食べません。ですからなおさら増えるのでしょうね。12:50ころ。

他にもこのあたりではトリカブトやハシリドコロがたくさん生えていました。みんな毒草です。奥多摩ではシカの食べない毒草がどこでも増えています。


▲カタクリの花を低いアングルから覗きこんで写しました。花の奥に模様が見えて来ました。12:53ころ。


▲ニリンソウに似ています。でも、見慣れているニリンソウとは少し違うようです。キンポウゲ科イチリンソウ属であることは間違いないと思うのですが・・・・ 12:54ころ。


▲カタクリを観賞するのならここまでキチンと見てあげなくては! 花の中にもうひとつ花が咲いているのです! 12:56ころ。


▲惣岳山1348.5mです。13:08ころ。

そろそろゆっくりと昼食にしたいころです。まあ、ここまでも時々小休止はしてきていますが。
でも、この山頂では休憩は取りませんでした。山頂に人が大人数いたのも理由のひとつですが、それ以上に天候の心配をしていたからです。まだ雨は降っていませんが、空模様が下降気味なのは明らかです。ただの雨なら構わないのです。ですが、今日は雷注意報が出ています。午後から山地では要注意なのです。
ここまでも、雷が鳴ったら即下山、と考えてここまで来ました。でも、ここから小河内峠までは稜線ですから途中で下山と言うわけにはいきません。
それで、小河内峠まで急いで進むことにしたのです。


▲惣岳山の西側もまだカタクリが咲いていました。あの白い花と一緒に。13:14ころ。


▲ヤマエンゴサクだと思います。実物を見ると、写真以上に森の妖精のような可愛らしく繊細な花です。13:18ころ。


▲ミツバツツジです。この時季、楽しみにしている花のひとつ。登山道沿いには虫食いの花しかありませんでした。悪しからず。13:32ころ。


▲何を写した写真か分かりますか? 僕自身も最初は分かりませんでした。写真の中央部がわずかに窪んでいるようなので、その窪んだ部分の湿気が強いんだろうと考えていました。
でも、違いました。写真中央地面が緑色なのが分かるでしょうか? 他の部分は枯葉で覆われていますよね。その緑色の部分は柵で囲まれていました。
つまりこうです。山ではときおり見かけるのですが、シカの食害の影響を見るために、シカが入れない土地を作ってあるのです。
シカが春になって伸びてきた木や草の芽を食べていることが分かります。13:51ころ。


▲小河内峠へ急ぎます。針葉樹の植林と広葉樹の自然林とのコントラスト! 13:53ころ。


▲小河内峠到着! 峠では山桜が満開でした。13:58ころ。

心配していた雷を聞くことなくここまで来ました。ひと安心です。ここからは清八新道を下降しますから、ここでゆっくり食事しながらの休憩。


▲清八新道は僕がよく利用するルートのひとつ。14:23ころ。

小河内峠をスタートしてすぐ、南の方の空で雷が鳴りました。次第に大きな音で鳴るようになりました。ゴロゴロ、ガラガラ、バチバチ、鳴り続けています。
助かりました。清八新道にいるから安全と言うことはありませんが、さっきまでいた稜線にいるよりはずっと安全です。いろんな登山者と行き交いました。あまり山慣れていないような登山者もいました。いちばん心配したのは、僕たちよりもずっと高齢な夫婦(多分)です。小河内峠から惣岳山へ向かっていました。13時台の遅い時間にまだ惣岳山に着いていないのです。しかも、その歩みはとても遅い。S子よりももっと遅いんです。
雷の轟く中、稜線を数多くの登山者が歩いています。登山者めがけて雷が落ちないことを祈るだけです。


▲ほぼ尾根沿いに下ります。14:34ころ。


▲下るに連れて新緑がだんだんに濃くなっていきます。14:41ころ。


▲奥多摩湖南岸の遊歩道へ出て来ました。15:06ころ。

実はこの直前でS子が滑りました。お尻をつく程度の軽いものだったのですが、その弾みで足が攣ったのです。僕にも経験がありますが、滑りそうになった際に、ウッと足の筋肉に尋常ではない力を入れて踏ん張りますよね。その影響で足が攣ってしまうんです。僕にも経験があります。
しばし足を休め、立って足を動かすことができるようになると、とりあえず歩き始めます。筋肉がほぐれてくるといいのですが、なかなか思い通りにはいきません。この日も、なかなか痛みは引かなかったようです。でも、ゆっくりですが普通には歩けるように。


▲雷が鳴り始めてからずうっと小雨は降り続いていました。林の中を歩いていると、木の下では傘を差す必要のない程度でした。でも、この時間は少し本降りに近い。傘を差して歩きます。右に見える湖面にも雨の輪がたくさん拡がっていました。15:23ころ。


▲水窪沢を渡る橋が現われました。S子の前には清八新道から降りてきたもう1本の山道が見えています。15:34ころ。


▲ヤマブキに雨粒が転がっていますね。15:42ころ。


▲広々とした奥多摩湖畔の林道に出て来ました。15:53ころ。

雷はしばし休む時間帯もありましたが、だいたいずうっと轟き続けていました。
山での雷は恐怖そのもの、自らの命は運任せとなってしまいます。


▲小雨にけぶる奥多摩湖。15:56ころ。


▲小河内ダムの上を通って、バス停に急ぎます。16:07ころ。


▲小河内ダムの上から多摩川下流を眺めました。今日登ったサス沢右岸尾根(仮称)が見えています。稜線はうっすらとしか判別できませんが、白い矢印で示した尾根がそれです。16:10ころ。

バスの時間は16:22です。S子の足には攣った後遺症の痛みが残っていましたが、余裕で間に合いました。
『天益』へ行くと、お客さんでいっぱいです。朝のあの多さを見ていますから、予想していたこととは言え、残念! 他の店に入る気はしません。『みやき』だけ覗いてみましたが、やっぱり満員。諦めて電車に乗り、地元で打ち上げました。