ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

登山禁止の星穴新道は荒廃が進むにつれ面白さも増す 2/3

2014年12月01日 | ハードハイク/妙義

2014/11/8  どうやらP1はさっきの鎖場の岩登りで通過したようです。そして、目の前の岩峰がおそらくP2なのでしょう。これは巻くしかないようですね。


▲この木ではありませんが、すぐ右、1mくらいにある木に残置の懸垂支点がありました。セルフビレイを取って、これから懸垂下降です。9:15ころ。


▲20mくらい懸垂下降します。下の場所が安全に立てるような傾斜地なのかどうか、心配です。
残置のロープも下へ向かっています。9:23ころ。


▲U田君に続いて僕も降り立ちました。残置のロープにセルフビレイを取ります。
セルフビレイは当然とりますけれど、思ったよりも安定した場所でした。
U田君は回収したザイルをザックにしまいます。9:29ころ。


▲降りて来たのと反対側の斜面がこれ。残置のロープも上がって行っています。ザイルなしでも大丈夫と判断して、U田君はザイルをしまったわけです。これから登ります。9:29ころ。


▲真上を見上げると、こんな岩壁が広がっています。最初はこの中央部分などに弱点があれば、トラバース出来るのではとも考え、ルートを探して見たのですが、無理そうでした。9:29ころ。

この場所がどうやら「コップ状岩壁」と呼ばれているところのようですね。谷川岳の一ノ倉沢コップ状岩壁にちょっとだけ似ているからこの名前で呼んでいるのでしょう。P2の東側を巻いています。P2もやっぱりその頂上は踏みません。

これが星穴新道・第2の核心部ですが、通過してしまえば、そんなに困難だったという印象は抱かなくてもすむ箇所です。懸垂下降をし、普通に登り返すだけですから。
でも、ネットなどで見ると、昔の鎖をつなげて岩場をトラバースしたり、振り子トラバースをしたり、大変だったようです。
僕たちも最初、鎖や鉄杭の残置を探したのですが、見つかりませんでした。懸垂下降がいちばん易しくて安全だと思いますね。
ただし、これは結果論。ネットである程度の予備知識を仕入れて行っていても、現場に着くと、予備知識はどこかに吹っ飛んでしまいます。ネットの知識と、眼前の情報とはほとんど一致しないものです。まあ、不安感を抱きながら、ひとつひとつを解決していく、それが快感なんですけれどね。

今こうやってブログに書いているのも、帰って来てから自分の写真と他の方のネットの記録を照らし合わせて、だんだんと整理され理解が進んで書けているのです。
歩いているときは、どこがP1だか、P2だか分かりませんでした。P3だけは姿もそのトラバースも特徴的なので、通過したことが理解できたのですが・・・・


▲斜面を慎重に登り詰め、来た方角を振り返って写したのがこれです。中央に右向きの顔のような岩がありますが、その開いた口の少し左の木が懸垂下降の支点です。この写真の下へはみ出すように懸垂下降したわけです。9:33ころ。


▲P2を巻いて通過して後、休憩したと思います。すでに10:00ころ。
P3の基部に到着する手前です。


▲これがP3! これまでのピークはどれがどれだかよく分かりませんでしたけれど、P3は一目瞭然!
天気も穏やかな快晴で、文句のつけようもありません! 10:09ころ。
写真左に、灌木に透けてU田君の姿も見えています。


▲枯れ木の間から左を望むと、表妙義の峨々たる岩峰が連なっています。どれがどの山なのか、僕にはさっぱり分かりません。この尾根をいつか歩いてみたい気持ちにはなりますね。10:12ころ。


▲なんとなく踏み跡らしきところを辿って行くと、残置のロープや鎖が垂れている場所に出ました。ロープや鎖もあることですし、クライムダウンできないこともないでしょうが、U田君は懸垂下降することに決定。
足場が落ち葉などで見えにくいので、その方が良かったですね。10:17ころ。


▲懸垂下降で降りた場所から、U田君がリードして行きました。写真は僕がフォロウしている際に、振り返って写したもの。鎖の鉄杭に頼るしかないトラバースです。10:39ころ。
鉄杭に足を置いて進む箇所もありました。小柄な女性には大変な箇所だと思います。目いっぱい左足を伸ばさないと届きませんから。


▲U田君が確保してくれています。10:47ころ。


P3大トラバースの2ピッチ目です。U田君は写真中央コル状のところで、顔をのぞかせ確保してくれています。10:57ころ。


▲振り返って写した写真。鎖の錆はどれくらいの深さまで鉄を苛んでいるのでしょう? 右下は星穴沢まで落ち込んでいます。11:06ころ。


▲P3と星穴岳とのコルを過ぎ、尾根筋通しに、あるいは緩いルンゼ状の場所だったり、とにかく弱点を選びながら星穴岳へ向かいます。11:22ころ。


▲山頂到着です。振り返って見える、顕著な岩峰がP3。その右下をいまトラバースしたわけです。11:26ころ。


▲U田君、快心の笑み! 11:26ころ。

でも、すぐ隣りにもほぼ同じ高さの山頂があります。あちらの方が星穴岳なのかもしれません。


▲という訳で、隣りの頂きへ。岩峰の北側の下部を巻いています。11:33ころ。

尾根に出ると、男女の二人パーティーがいました。金洞山の方から来たようです。そして、そちらへ帰って行きました。


▲隣りの山頂の基部に到着しました。どうやらこちらの方が本当の星穴岳のようです。
その証拠に、ほぼ垂直の岩場が出て来ました(ネットにそう出ていましたから)。残置のロープもぶら下がっていますが、利用するまでもないくらいです。3級レベルですね。11:37ころ。


▲U田君が登っているのを待っている場所からはこんな風景が見晴らせました。岩峰も紅葉も見事です。11:37ころ。


▲U田君もほぼ登り切りました。11:39ころ。
僕は残置ロープの2本を末端で結び合わせておき、ハーネスの安環に念のため通しておきました。万が一、滑落しても途中で止まるように・・・・


▲お隣りの金洞山です。西岳なのでしょうか? 山頂に登山者が二人見えます。先ほどの二人ではないようです。11:49ころ。

星穴岳山頂に立って、それなりの充実感は当然ありました。でも、もっと大変なのではと想像していましたから、ほんの少し拍子抜けの気持ちがあることも確かです。
もちろん、すべてU田君がトップで歩き、ルートファインディングをし、ザイルをセットし、リードしましたから、僕自身の出る幕が、二人で協力するような、よりシビアな場面がなかったことも影響しているでしょう。
「U田君に美味しいところを任せ過ぎたかなぁ?」とも思いますが、この星穴新道はU田君思い入れのルートですから、仕方ないですよね。
ひとつだけ確実に言えることは、U田君のルートファインディングやザイルを出す出さないの判断がとても的確で、すべて不安感なく順調に対処できたからだということ。それに尽きますね。