ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

二人でのんびりマイペーストレーニング

2012年10月29日 | 岩登りトレーニング

2012/10/27  S子と二人で日和田へ行きました。土曜日の朝食をいつも通り自宅で食し、8時過ぎて家を出て、高麗駅に9:30ころに着きます。高麗駅でやたら多くの人々が下車しましたが、クライマーらしき姿は見えません。「空いていればいいな~ぁ」との期待が高まります。
今日の目的のひとつは半年振り以上のS子のクライミング感覚を取り戻すこと。易しい3級から登って、4級+程度までのクライミングが出来ればいいと思っています。

岩場への山道もいつもよりゆっくりと歩みを進めました。岩場からの声が聞こえ始め、岩場の様子が見え始めると、あわわわわ~~~ってなもんです! 人が多い。多~い! 中高年の大パーティーが来ている感じです。どこもかしこもトップロープのザイルが下がっています。

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▲男岩南面の右端の外にあるルートが空いていました。傾斜の緩い3級ルート。人気のないルートですから、いつも空いています。S子がフォロウで登って来ます。今日はリードはすべて僕、S子はフォロウです。10:48ころ。

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▲このルートの確保支点はこの3本の木です。右端と左端の木は確保者である僕のセルフビレイ。真ん中の木がS子を確保しているエイト環用です。簡単なルートなので、チョン掛けで確保しています。

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▲男岩南面の状況。4級+の「南面右ルート」は空いていますが、3級ルートには全部ザイルが垂れ下がっています。トップロープにセットしてありますから、そのルートに割り込んで登ることはなかなか出来ません。時々は他のクライマーにも譲って欲しいものです。
結局、左に人が二人写っていますが、その間からスタートして、右上するように間隙を縫って登ることにしました。10:58ころ。

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▲男岩の登攀終了点での確保システムです。右の二つがセルフビレイ。左のATCでS子を確保しています。11:14ころ。

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▲男岩西面もこんな感じです。ザイルの簾! 11:28ころ。

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▲懸垂下降で降りてくるS子。その左にはトップロープで登っている3人が………。この混雑ぶり! 11:29ころ。

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▲3ルート目は男岩南面の「クラック」ルートを凹角から登攀しました。ゲレンデのガイドブックでは4級+とか、デシマル表記では5.5とかになっていますが、そんなに難しくはありません。3級+~4級-、デシマルでは5.2~5.3くらいだと思います。
S子も快適にフォロウして来ました。11:51ころ。

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▲お昼時となり、大グループも昼食タイム。セットしてあるトップロープもそのままですが、誰も登ってはいません。この間を利用して、一番混雑しているルートを登ることにしました。男岩南面の「左ルート」です。3級+になっていますが、最上部は直上しましたから、4級-はあるでしょう。写真は登って来るS子です。他パーティーのザイルを潜りながらの登攀です。12:18ころ。

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▲僕たちもお昼休みをとり、昼食後の1本目(通算5本目)がこのルート。男岩西面の松の木ハングの右下から 男岩南面の「左ルート」上部へ回り込むルート。4級-~4級はあるかと思います。僕がリードし、フォロウで登るS子が下で待機しています。13:40ころ。

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▲二人とも登り終えると、男岩西面を懸垂下降で降りました。写真は下降途中のS子。上空には青空も見えますが、この日の基本は曇り。一瞬だけでしたが、小雨もポツンと落ちて来るような天気でした。14:03ころ。

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▲6本目のルートを登攀中のS子の写真は撮れませんでした。僕の確保地点からは見えないからです。この写真はそのルートを登攀後、懸垂下降しているS子。ひとつ前の写真と同じですね。14:30ころ。
登攀したルートは、S子の右下で登攀中のクライマーの足元にある凹角を登り、そのクライマーの1m少し左までトラバースしてから上がっていくルート。特にルート名はありません。グレードはトラバース付近が少し難しく、4級-はあるでしょう。ただ、微妙なルートファインディングを間違えると、やたら難しくなります。
この日は外人さんたちも来ていて、左端に写っているのは彼らです。

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▲この日最後の7本目は男岩南面「右ルート」です。3段フェースになっていて、その3段目を乗り越えようとしているS子です。14:58ころ。
ガイドブックでは4級+になっています。確かに十分それくらいのグレードはありますね。デシマルでは5.6となっていますが、そんなに難しくはありません。4級+ですから5.4が妥当です。しかも、『日本100岩場②』(山と渓谷社)では「右のカンテまたはレッジへのマントル」と解説してありますが、右のカンテを使用すると、とても易しくなってしまいます。1、2、3段目の乗っこしすべてでカンテを使わないことを僕はルールとしています。このルートを登攀し始めたころ、そういったルールを聞いたものですから。
S子もずっと以前にはこのルートを当然のようにカンテを使わずにリード出来ていました。ただ、正直な話し、3段目の乗っこしでもカンテを使わないのはけっこう難しく、そこまですると5級-くらいあるかもしれません。写真でもS子の右手はカンテを掴んでいますから、僕的にはルール違反です。でも、身長の低いS子には届かないホールドまで手を伸ばさなくてはなりません。まあそれでも、そのホールド手前のより小さなホールドで体を引き上げることは可能ですが。

この日はこれで終了。僕としては普段よりは1時間以上早い切り上げですが、今日の目的は達したので満足です。大パーティーも帰っていたので、岩場は静かになっていました。
帰路は電車運が悪く乗り換えでたっぷり待たされました。

H島へ帰り着き、駅近くの九州料理の店で二人だけの打ち上げです。席に着くなり、店の人から「今日はどこの沢ですか?」と聞かれました。「今日は岩登りのトレーニングなんですよ」。
飲む焼酎は奄美大島の黒糖焼酎「長雲」。寒くなって来たのでお湯割りです。料理はもつ鍋。これでは完全に冬モードですね。S崎君たちのパーティーがこの店に来たことも話してくれましたから、僕とS崎君との関係も理解してくれていたようです。地元にこういう店があることは有り難いことです。
S子もまだまだ登れるようですし、なによりも「登ることが楽しい」と語ります。ゲレンデへ行く機会を増やし、さらにレベルの高いルートを登攀し、3級くらいのルートのリードにも慣れていって欲しいと思います。