久々に映画を。
2007年公開の『ラスト コーション』(原題: 色・戒)。
《監督》
アン・リー
《キャスト》
トニー・レオン:易(イー)
タン・ウェイ:王佳芝(ワン・チアチー)= 麦(マイ)夫人
ジョアン・チェン:易夫人
ワン・リーホン:鄺祐民(クァン・ユイミン)
・・・
アイリーン・チャン原作の小説「色・戒」を映画化。第64回ヴェネツィア国際映画祭にて、金獅子賞と金オゼッラ賞(撮影賞)を受賞。第44回金馬奨にて最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞(トニー・レオン)を受賞。
舞台は第二次世界大戦中、日本軍の支配下にあった上海。中国人でありながら日本の傀儡政権である汪兆銘政権の下で、抗日組織の弾圧を任務としていた男とその暗殺計画に係わる若い中国人女子学生工作員との愛憎を描いた物語。
映画の冒頭のシーンに登場するのは、イー夫人達と麻雀に興じている若く美しいマイ夫人。しかし、女子学生が貿易商の夫人と偽って接近するというのにはかなり無理がある話。麻雀はすこぶる弱いし、身につけているものも高級なものとはいえず、またその仕草も上流夫人とは思えない(たとえば、コーヒーカップに口紅をべったりつけたままだったり・・・)。それはすでにイーには見抜かれていたのではないか。にもかかわらず、あえて接近させた(自らの命を狙っていることを承知の上で)。所詮、大学生達の、拳銃の扱いにも不慣れな「遊び事」に過ぎなかった。案の定、失敗してしまう。
イーとの性行為を意識して友人にはじめて身をまかせる。
それから3年、学生として再び学んでいるチアチーはかつての学生仲間と再会し、密かに心を寄せていた男の誘いに応じて、イーの命を狙うように工作員として活動することになる。舞台は香港から上海に。この時のチアチーは、イーへの屈折した思いが(再び会うことへの)あったのではないか。かつて失敗した貿易商夫人という想定では、相手方にバレるのも必定にもかかわらず。
こうして再び接近してきたチアチーに対して、イーはレイプまがいの行為を行う。それをきっかけにチアチーとイーの関係が進んでいく。おそらくイーには、色仕掛けで迫るという女スパイの存在を知っていた。しかし、イーの内面はどうであったか。
それからイーとチアチーはお互いを激しく求めあう。イーとの情事を重ねていく中で、次第にイーへの愛が目覚めていく。
一方、日本料理店でチアチーが歌った中国の歌「天涯歌女」を聞きながら、イーが涙したのは、何を意味するのか。イーが中国人としての自分を考えた瞬間?
高価なダイヤモンドを受け取るため二人で宝石店で出向くように仕組み、イー襲撃の包囲網が思い通りに進んだ時、チアチーはイ-に唇の動きでその危険を知らせる。
察知し、すばやく逃げるチー。・・・
その時点で計画は失敗し、チアチーはあえて仲間達と一緒に処刑される道を選ぶ。
処刑を認めたチー。
二人のセックスシーンは、「ラストタンゴ イン パリ」での暴力的な性行為に及ぶシーンを彷彿させる。さらに「愛人(ラマン)」の場面をも。
上映当時、二人の赤裸々な性愛シーンが話題を呼んだが、生か死かの(選択を強いられる)極限状況にある二人。それは、戦争という国家の存亡の危機にある時代状況という制約下。
権謀術数のうずまくスパイもの、という括りにはあるだろうが、当時の中国・上海の国際上に置かれた立場、反日、親日の立場を越えた民族意識、錯綜した男女の思いを描いている。
雑踏、建物、車、衣装、身だしなみ、風俗、日本人、・・・当時の上海の雰囲気をよく伝えている。そういった面でも興味深い作品になっていた。
(映像は、「YouTube」より。)
2007年公開の『ラスト コーション』(原題: 色・戒)。
《監督》
アン・リー
《キャスト》
トニー・レオン:易(イー)
タン・ウェイ:王佳芝(ワン・チアチー)= 麦(マイ)夫人
ジョアン・チェン:易夫人
ワン・リーホン:鄺祐民(クァン・ユイミン)
・・・
アイリーン・チャン原作の小説「色・戒」を映画化。第64回ヴェネツィア国際映画祭にて、金獅子賞と金オゼッラ賞(撮影賞)を受賞。第44回金馬奨にて最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞(トニー・レオン)を受賞。
舞台は第二次世界大戦中、日本軍の支配下にあった上海。中国人でありながら日本の傀儡政権である汪兆銘政権の下で、抗日組織の弾圧を任務としていた男とその暗殺計画に係わる若い中国人女子学生工作員との愛憎を描いた物語。
映画の冒頭のシーンに登場するのは、イー夫人達と麻雀に興じている若く美しいマイ夫人。しかし、女子学生が貿易商の夫人と偽って接近するというのにはかなり無理がある話。麻雀はすこぶる弱いし、身につけているものも高級なものとはいえず、またその仕草も上流夫人とは思えない(たとえば、コーヒーカップに口紅をべったりつけたままだったり・・・)。それはすでにイーには見抜かれていたのではないか。にもかかわらず、あえて接近させた(自らの命を狙っていることを承知の上で)。所詮、大学生達の、拳銃の扱いにも不慣れな「遊び事」に過ぎなかった。案の定、失敗してしまう。
イーとの性行為を意識して友人にはじめて身をまかせる。
それから3年、学生として再び学んでいるチアチーはかつての学生仲間と再会し、密かに心を寄せていた男の誘いに応じて、イーの命を狙うように工作員として活動することになる。舞台は香港から上海に。この時のチアチーは、イーへの屈折した思いが(再び会うことへの)あったのではないか。かつて失敗した貿易商夫人という想定では、相手方にバレるのも必定にもかかわらず。
こうして再び接近してきたチアチーに対して、イーはレイプまがいの行為を行う。それをきっかけにチアチーとイーの関係が進んでいく。おそらくイーには、色仕掛けで迫るという女スパイの存在を知っていた。しかし、イーの内面はどうであったか。
それからイーとチアチーはお互いを激しく求めあう。イーとの情事を重ねていく中で、次第にイーへの愛が目覚めていく。
一方、日本料理店でチアチーが歌った中国の歌「天涯歌女」を聞きながら、イーが涙したのは、何を意味するのか。イーが中国人としての自分を考えた瞬間?
高価なダイヤモンドを受け取るため二人で宝石店で出向くように仕組み、イー襲撃の包囲網が思い通りに進んだ時、チアチーはイ-に唇の動きでその危険を知らせる。
察知し、すばやく逃げるチー。・・・
その時点で計画は失敗し、チアチーはあえて仲間達と一緒に処刑される道を選ぶ。
処刑を認めたチー。
二人のセックスシーンは、「ラストタンゴ イン パリ」での暴力的な性行為に及ぶシーンを彷彿させる。さらに「愛人(ラマン)」の場面をも。
上映当時、二人の赤裸々な性愛シーンが話題を呼んだが、生か死かの(選択を強いられる)極限状況にある二人。それは、戦争という国家の存亡の危機にある時代状況という制約下。
権謀術数のうずまくスパイもの、という括りにはあるだろうが、当時の中国・上海の国際上に置かれた立場、反日、親日の立場を越えた民族意識、錯綜した男女の思いを描いている。
雑踏、建物、車、衣装、身だしなみ、風俗、日本人、・・・当時の上海の雰囲気をよく伝えている。そういった面でも興味深い作品になっていた。
(映像は、「YouTube」より。)
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