「公立中高一貫校」に関するブログへ投稿があった。
「いくつか誤解や間違いがあると思いますが」との書き出しで、細かな意見が述べられている。この方は、都立中高一貫校の関係者なのかもしれない。教師、保護者、教育委員会の方?
しかし、ほとんど納得がいかない内容となっている。以下改めて反論したい。
(>は小生の書いた内容で、そのあとが投稿者の意見。その後に小生の反論を掲載する。)
>狭い施設設備
生徒数に変化はありません。そのぶん高校募集を減らしたり募集停止にしているので、今までどおりです。また、都立中高一貫校では両国の校舎は新しくありませんが、他の校舎は公立とは思えないほど綺麗です。東京都は資金力がありますからね。
◎生徒数に変化はないが、高校生と中学生の発達段階の違いを、全く考慮していない。13才から18才まで同じ校舎内で生活・学習することの困難さ。「生徒数は同じだから」というのは、実態を知らなすぎ。特にクラブ活動。たとえば、両国はテニスコートが1面しかない。体育館も1つ。校庭も狭い。その中で譲り合っての、クラブ活動。双方に不満が起こるようだ。
もっと問題なのは、高校からの入学者数を大幅に減らしたこと。小石川は高校入試はなくなってしまった。
また、桜修館は、たしかに新築した。しかし、当初は、冷房設備がない計画だった。そのうち、区部の学校に冷暖房設備の完備という方針が出来て、やっと導入された。もしそういう施策がとられなかったら、冷房なし!
東京都は「資金力はあ」るのに金を使わせない!せいぜい教室の間仕切りを作るくらいにしか金を出さない!
>所詮、公立校のセンセイ
それは偏見です。公募なのでやる気と実力のある教員しかきません。
◎どういう教師が公募に応じてくるか?
今の学校に在籍中に、研修を受けて来るのだろうが、今の区立中学校の現状、都立の現状(多忙と学習指導上の困難等)からホントにやってみたい先生、「実力のある教員」が、研修を受けられるのだろうか。
聞くところでは、現在困難校にいる人が何とか異動したい、なら公募してみようか、くらいの考えの教師もいるという。勤め先の校長先生から勧められて、体よくやっかい払いのケースも、あるのではないか。限られた中から、先生を選ぶのだから、所詮、限界がある。
>4年経てば異動、長くても6年、8年で異動
都立中高一貫校は人事異動で特別扱いされています。
◎新規採用の教員は、確か4年で強制的に異動させられるはず。せっかく中高一貫校に採用されても長くは残れない。経験者でも5,6年すれば、異動希望を出させられる。残れるかどうかは、校長次第?その校長も4,5年で交代。これでは、落ち着かない。
区立九段は、立ち上げの時の校長はどういう訳か交代。学校作りに関わろうとした明大の斉藤孝さんもいろいろあって途中で下りる始末。その後の開校当時の校長(都教委からの役人校長)もすでに交代している。なんと発足して2年なのに、3人目の校長。これで、「特別扱い」とは笑止千万。
また、中学の教師が、高校3年まできちんと教える心構えがあるのかどうか。
>公立中高一貫校の問題点の一つは、カリキュラムです。文科省の締め付け、教育委員会の指導で、中学校の学習内容は、決められた通りに実施しなければなりません。高校で教える内容を先取りして教えることは、ほとんど出来ないのです。
これは一番の間違いです。都立中高一貫校のすべては私立中学とまったく変わらないスピードです。特に速いのは区立九段で、高2の前期までに高校全範囲が終わり、2年間を受験対策に費やしています。公立中高一貫校の最大のメリットは、私学と同じような先取り教育が可能なことです。
◎これこそ、実態を知らなすぎ。教科書・テキストを厳しく学年指定されている。せいぜい土曜日の講習(補習)でつじつま合わせをしているような状況。
それを「私立中学とまったく変わらないスピード」と言ってのける神経はいかなるものか。
また、九段はまだ中学2年生が最上級生のはず。これからのカリキュラム上での話にすぎない。それを「高2の前期までに高校全範囲が終わり、2年間を受験対策に費やしている」など、とあたかも今やっているかのような「偽装」はいけない。
また、日比谷にしても戸山にしても受験校では、今でも常識!2年間はオーバーだが、3年生になると、どの教科も受験シフト。すでに2年までに高校の教えるべき範囲は終えている。九段だけが「特に」などというのは、ひいきしすぎ!
さらに、堂々と「先取りしてます」と公に言ったら、即、都教委からクレームが入ることは間違いない。
>(英数国)の学習時間を増やしています。そういうことを一切出来ないのが、公立校の宿命
カリキュラムを見ればわかりますが、土曜日も全員参加の補習という形で授業をしていたりするので、かなり主要科目の時間は普通の公立中学より多くなっています。
◎これは、おっしゃるとおり。英・数・国などは、区立中学よりも1時間ほど多く配当しているようだ。
なにしろ、国語も英語も3時間しか区立では出来ない。ほとんど基礎学力がつかないまま、高校受験のための学習塾通いが、進学高校を受験する中学生の傾向。そこに問題がある。このことは、今回の指導要領改訂で、少しは是正される。
一方で、「道徳の時間」は必ず35週やらなければならず、総合的学習の時間もきっちり義務づけられている。
結局、私立のように土曜日に英・数・国の授業をやることになっていく。これとも、「補習」という名目で、全員を登校させてやらせる。ここでも「偽装」を余儀なくされている。
>担任を6年間も持てないうちに、規則で、普通の中学や高校に異動します。
先ほども言いましたが、都立中高一貫校は人事異動で特別扱いなので、大丈夫です。
◎誰が「大丈夫です」と言うのかが問題。校長のさじ加減一つであったら、教師は校長(管理職)の顔色をうかがうだけになってしまう。きちんとしたルールのないことが、問題の背景にある。
小生の結論は、前にも書いたとおり、中高一貫校の定着のためには、「採用任用制度」の抜本的な改善。それぞれの特色に応じたカリキュラム・入試制度の導入。その方途として、速やかに「独立行政法人」化することが求められている。ということだ。学校経営(理事)の組織や財政基盤を確立することが急務であるが。
「いくつか誤解や間違いがあると思いますが」との書き出しで、細かな意見が述べられている。この方は、都立中高一貫校の関係者なのかもしれない。教師、保護者、教育委員会の方?
しかし、ほとんど納得がいかない内容となっている。以下改めて反論したい。
(>は小生の書いた内容で、そのあとが投稿者の意見。その後に小生の反論を掲載する。)
>狭い施設設備
生徒数に変化はありません。そのぶん高校募集を減らしたり募集停止にしているので、今までどおりです。また、都立中高一貫校では両国の校舎は新しくありませんが、他の校舎は公立とは思えないほど綺麗です。東京都は資金力がありますからね。
◎生徒数に変化はないが、高校生と中学生の発達段階の違いを、全く考慮していない。13才から18才まで同じ校舎内で生活・学習することの困難さ。「生徒数は同じだから」というのは、実態を知らなすぎ。特にクラブ活動。たとえば、両国はテニスコートが1面しかない。体育館も1つ。校庭も狭い。その中で譲り合っての、クラブ活動。双方に不満が起こるようだ。
もっと問題なのは、高校からの入学者数を大幅に減らしたこと。小石川は高校入試はなくなってしまった。
また、桜修館は、たしかに新築した。しかし、当初は、冷房設備がない計画だった。そのうち、区部の学校に冷暖房設備の完備という方針が出来て、やっと導入された。もしそういう施策がとられなかったら、冷房なし!
東京都は「資金力はあ」るのに金を使わせない!せいぜい教室の間仕切りを作るくらいにしか金を出さない!
>所詮、公立校のセンセイ
それは偏見です。公募なのでやる気と実力のある教員しかきません。
◎どういう教師が公募に応じてくるか?
今の学校に在籍中に、研修を受けて来るのだろうが、今の区立中学校の現状、都立の現状(多忙と学習指導上の困難等)からホントにやってみたい先生、「実力のある教員」が、研修を受けられるのだろうか。
聞くところでは、現在困難校にいる人が何とか異動したい、なら公募してみようか、くらいの考えの教師もいるという。勤め先の校長先生から勧められて、体よくやっかい払いのケースも、あるのではないか。限られた中から、先生を選ぶのだから、所詮、限界がある。
>4年経てば異動、長くても6年、8年で異動
都立中高一貫校は人事異動で特別扱いされています。
◎新規採用の教員は、確か4年で強制的に異動させられるはず。せっかく中高一貫校に採用されても長くは残れない。経験者でも5,6年すれば、異動希望を出させられる。残れるかどうかは、校長次第?その校長も4,5年で交代。これでは、落ち着かない。
区立九段は、立ち上げの時の校長はどういう訳か交代。学校作りに関わろうとした明大の斉藤孝さんもいろいろあって途中で下りる始末。その後の開校当時の校長(都教委からの役人校長)もすでに交代している。なんと発足して2年なのに、3人目の校長。これで、「特別扱い」とは笑止千万。
また、中学の教師が、高校3年まできちんと教える心構えがあるのかどうか。
>公立中高一貫校の問題点の一つは、カリキュラムです。文科省の締め付け、教育委員会の指導で、中学校の学習内容は、決められた通りに実施しなければなりません。高校で教える内容を先取りして教えることは、ほとんど出来ないのです。
これは一番の間違いです。都立中高一貫校のすべては私立中学とまったく変わらないスピードです。特に速いのは区立九段で、高2の前期までに高校全範囲が終わり、2年間を受験対策に費やしています。公立中高一貫校の最大のメリットは、私学と同じような先取り教育が可能なことです。
◎これこそ、実態を知らなすぎ。教科書・テキストを厳しく学年指定されている。せいぜい土曜日の講習(補習)でつじつま合わせをしているような状況。
それを「私立中学とまったく変わらないスピード」と言ってのける神経はいかなるものか。
また、九段はまだ中学2年生が最上級生のはず。これからのカリキュラム上での話にすぎない。それを「高2の前期までに高校全範囲が終わり、2年間を受験対策に費やしている」など、とあたかも今やっているかのような「偽装」はいけない。
また、日比谷にしても戸山にしても受験校では、今でも常識!2年間はオーバーだが、3年生になると、どの教科も受験シフト。すでに2年までに高校の教えるべき範囲は終えている。九段だけが「特に」などというのは、ひいきしすぎ!
さらに、堂々と「先取りしてます」と公に言ったら、即、都教委からクレームが入ることは間違いない。
>(英数国)の学習時間を増やしています。そういうことを一切出来ないのが、公立校の宿命
カリキュラムを見ればわかりますが、土曜日も全員参加の補習という形で授業をしていたりするので、かなり主要科目の時間は普通の公立中学より多くなっています。
◎これは、おっしゃるとおり。英・数・国などは、区立中学よりも1時間ほど多く配当しているようだ。
なにしろ、国語も英語も3時間しか区立では出来ない。ほとんど基礎学力がつかないまま、高校受験のための学習塾通いが、進学高校を受験する中学生の傾向。そこに問題がある。このことは、今回の指導要領改訂で、少しは是正される。
一方で、「道徳の時間」は必ず35週やらなければならず、総合的学習の時間もきっちり義務づけられている。
結局、私立のように土曜日に英・数・国の授業をやることになっていく。これとも、「補習」という名目で、全員を登校させてやらせる。ここでも「偽装」を余儀なくされている。
>担任を6年間も持てないうちに、規則で、普通の中学や高校に異動します。
先ほども言いましたが、都立中高一貫校は人事異動で特別扱いなので、大丈夫です。
◎誰が「大丈夫です」と言うのかが問題。校長のさじ加減一つであったら、教師は校長(管理職)の顔色をうかがうだけになってしまう。きちんとしたルールのないことが、問題の背景にある。
小生の結論は、前にも書いたとおり、中高一貫校の定着のためには、「採用任用制度」の抜本的な改善。それぞれの特色に応じたカリキュラム・入試制度の導入。その方途として、速やかに「独立行政法人」化することが求められている。ということだ。学校経営(理事)の組織や財政基盤を確立することが急務であるが。
「テニスコートが1面しかない」「体育館が1つ」「校庭が狭い」・・・それは都立中高一貫校の問題ではなく、両国高校の問題ですよね。都立中高一貫校でも広い敷地を持っている学校もありますし、逆に都心の私立中高一貫校ですと、テニスコートどころか校庭がないという学校すら少なくありません。体育館が2つあれば問題がないのですか?テニスコートが2面あれば大丈夫なのですか?と問いたくなります。
>今の学校に在籍中に、研修を受けて来るのだろうが、今の区立中学校の現状、都立の現状(多忙と学習指導上の困難等)からホントにやってみたい先生、「実力のある教員」が、研修を受けられるのだろうか。聞くところでは、現在困難校にいる人が何とか異動したい、なら公募してみようか、くらいの考えの教師もいるという。勤め先の校長先生から勧められて、体よくやっかい払いのケースも、あるのではないか。限られた中から、先生を選ぶのだから、所詮、限界がある。
確かに、困難校から都立中高一貫校へ異動したいという教員も応募していますが、それが問題だとは思いません。優秀な教員には2つのタイプがあります。1つは「教科指導に秀でた教員」もう1つが「生活指導に秀でた教員」。上手い授業を行い且つ生徒の生活指導にもきちんと対応できる教員が理想であることは言うまでもありませんが、なかなか両者とも秀でた教員はいません。困難校には、教科指導には自信があるものの、その力を発揮できる環境でないため、おのれの教科指導力を発揮できる環境へ異動したいという教員は少なくありません。「困難校は大変だから異動したい」
というより「現在の環境では力が発揮できないので、発揮できる環境に異動したい」という理由が強いと思います。プレジデントファミリーという雑誌の11月号に、全国の授業の達人ということで10名ほど紹介されており、うち2名が区立中学の教員ですが、現在は2名とも都立中高一貫校へ移っています。理由は「自分の力を更に発揮できる環境へ行きたい」というものだそうです。
>これこそ、実態を知らなすぎ。教科書・テキストを厳しく学年指定されている。せいぜい土曜日の講習(補習)でつじつま合わせをしているような状況。
あなたこそ実態を知らなすぎでは?例えば都立桜修館中では、英語の教科書は難関私立中学で人気のある検定外教科書「プログレス」を使用しています。数学はすべての都立中高一貫校で検定外教科書。学校オリジナルの教科書を作っている都立中高一貫校もあります。私立中学でもそうですが、都立中高一貫校では検定教科書は買いますが(義務教育なので「もらう」が正しいですが)、実際は使っていない教科が多いのです。ホームページに使用検定教科書が載っていても、それは「タテマエ」です。
>それを「私立中学とまったく変わらないスピード」と言ってのける神経はいかなるものか。
もちろん「予定」です。私立中高一貫生だけでなく都立中高一貫生ともかなり関わっていますが、今のところ都立中高一貫校のカリキュラムのスピードは私立と同じです。最も速いのは区立九段です。
>すでに2年までに高校の教えるべき範囲は終えている。九段だけが「特に」などというのは、ひいきしすぎ!さらに、堂々と「先取りしてます」と公に言ったら、即、都教委からクレームが入ることは間違いない。
日比谷や西などの都立トップ校では、高2までに大体の範囲を終え、数ⅢCも高3の前期までに終わるのが普通です。区立九段は高1でほぼ終わらせると言っていますから「特に」と言って問題ないと思いますが。もちろん「予定」ですよ(笑)
クレームなんてきません。何故ならば、都立中高一貫校だけでなく、全国ほとんどの公立中高一貫校が先取り教育を行っているからです。県千葉は先取り教育はおこなわないと言っていますが、このような学校はむしろ少数です。そもそも、公立中高一貫校が何故人気かといえば、私立のように先取り教育が可能だからです。公立中高一貫校は、合法的に(?)先取り教育が認められています。
>なにしろ、国語も英語も3時間しか区立では出来ない。ほとんど基礎学力がつかないまま、高校受験のための学習塾通いが、進学高校を受験する中学生の傾向。そこに問題がある。
これには同意です。和田中学のような先進的な取り組みに期待したいですね。
>独立行政法人化
これも同意です。石原知事が一時期言っていましたが、どうなってしまったんでしょうね…。
今から十数年以上の前、都立白鴎高校の御厨校長が都教委に「ぜひ中高一貫校へ」との進言をしました。その時の都教委は、けんもほろろ、全く相手にもしませんでした。
そして、その後、白鴎は文科・理科のコース制が導入されました。その苦労の道は、校長も教師も生徒も保護者も味わっています。
白鴎高校には「鴎友学園」という私立が身近にあるのです。おそらくその御厨さんの先見の明ともいうべき提案が採用されていたなら、もっと早く公立校の改革、高校改革がなされたと思っています。
時遅し!かもしれませんが、何とか都立中高一貫校の発展を考えたいものです。