大きな事故が起きると、被害者はもとより一般の人々もなぜ事故が起きたのか、事故原因の解明と事故の再発を防いでほしい、と願う。マスコミも基本的には被害者の側に立ってさまざな記事を報道する。
さらに、警察は捜査に取り組み、事故調査機関は技術的な調査に取り組む。その過程の中で、業務上過失致死(致傷)等の罪によって送検され裁判となる。また、刑事裁判だけでなく、民事裁判にも持ち込まれる。ただ捜査の対象者は、多くの場合、現場の作業従事者とせいぜい直接の管理者に限られ、行政や企業・組織への責任追求、捜査は限定されていく。
JR西日本の大事故の場合。事故の背景となった(かもしれない)会社経営の問題点、さらに経営者の責任はあいまいにされる。そして、会社ぐるみ、事故調査機関ぐるみの隠蔽工作まで起され、大事故の責任の大半が、死亡した電車運転手の過失・資質に収束する傾向が起きてくる。
尼崎の橋の事故でもそのような流れだったが、検察審査会によって、現場責任者のみではなく、管理責任者の警察署長を起訴することになった、これなどは、稀なケース。
一方で、当事者責任論から犯罪者扱いされることを嫌う(恐れる)あまり、そうした事件事故、裁判につながりそうな職種を忌避する傾向も出ている。特に医学。産婦人科などの従事者が少なくなって、医療崩壊という現象すら起きている。
人間はミスをする動物である。その小さなミスが、大きな事故につながることも、事実。
ほとんどの事件・事故がそうであると言っても過言ではない。
だからといって、人間のエラーを規則破りの犯罪と捉えたり、悪いヤツは誰かという発想で捜査、犯人捜しをしても、安全性の向上に貢献しないどころか、かえってマイナスの役割を果たすことになるのではないか。
「ヒューマンエラーは、原因ではなく症状ととらえ、システムの内部の深いところにある問題の結果である」「民事裁判も刑事訴訟もヒューマンエラーの抑止力として機能しない。かえって防衛的医療や質の低い医療につながり、事故の発生率を高めることにつながるおそれがある」「裁判、解雇、降格、辞職などは個人にとっても組織にとっても安全性向上には何の役にも立たない後ろ向きの責任でしかない」などの大切さを訴えた内容が、この書である。特に、事故調査機関、専門家の信頼感を高めることと、被害者への説明責任が全うされることが今後の課題として取り上げられている。航空機事故、電車事故、医療ミスなどの時の、日本の捜査機関のあり方、報道のあり方、当事者責任、被害者への十分な説明責任と補償等、続発する事故とその対応への方策を示した書である。
さらに、警察は捜査に取り組み、事故調査機関は技術的な調査に取り組む。その過程の中で、業務上過失致死(致傷)等の罪によって送検され裁判となる。また、刑事裁判だけでなく、民事裁判にも持ち込まれる。ただ捜査の対象者は、多くの場合、現場の作業従事者とせいぜい直接の管理者に限られ、行政や企業・組織への責任追求、捜査は限定されていく。
JR西日本の大事故の場合。事故の背景となった(かもしれない)会社経営の問題点、さらに経営者の責任はあいまいにされる。そして、会社ぐるみ、事故調査機関ぐるみの隠蔽工作まで起され、大事故の責任の大半が、死亡した電車運転手の過失・資質に収束する傾向が起きてくる。
尼崎の橋の事故でもそのような流れだったが、検察審査会によって、現場責任者のみではなく、管理責任者の警察署長を起訴することになった、これなどは、稀なケース。
一方で、当事者責任論から犯罪者扱いされることを嫌う(恐れる)あまり、そうした事件事故、裁判につながりそうな職種を忌避する傾向も出ている。特に医学。産婦人科などの従事者が少なくなって、医療崩壊という現象すら起きている。
人間はミスをする動物である。その小さなミスが、大きな事故につながることも、事実。
ほとんどの事件・事故がそうであると言っても過言ではない。
だからといって、人間のエラーを規則破りの犯罪と捉えたり、悪いヤツは誰かという発想で捜査、犯人捜しをしても、安全性の向上に貢献しないどころか、かえってマイナスの役割を果たすことになるのではないか。
「ヒューマンエラーは、原因ではなく症状ととらえ、システムの内部の深いところにある問題の結果である」「民事裁判も刑事訴訟もヒューマンエラーの抑止力として機能しない。かえって防衛的医療や質の低い医療につながり、事故の発生率を高めることにつながるおそれがある」「裁判、解雇、降格、辞職などは個人にとっても組織にとっても安全性向上には何の役にも立たない後ろ向きの責任でしかない」などの大切さを訴えた内容が、この書である。特に、事故調査機関、専門家の信頼感を高めることと、被害者への説明責任が全うされることが今後の課題として取り上げられている。航空機事故、電車事故、医療ミスなどの時の、日本の捜査機関のあり方、報道のあり方、当事者責任、被害者への十分な説明責任と補償等、続発する事故とその対応への方策を示した書である。