写真師の「新カメラ日記」

JRP会員の橘が日々の事、撮影日記などを記録していきます。

「生物の多様性」を守る人たちは守られているのか?

2010年05月23日 | 写真
「生物多様性条約締約国会議」の第10回が2010年に名古屋で開かれるという関係からか、「生物多様性」をテーマにした論議が盛んです。
私の住む石川県では里山、里海の保全を中心にした施策を強めるとの広報活動がマスコミなどを通じて強まっている。
県知事は2008年の第9回ボン会議の関連会議に出席して「石川のSATOYAMAを未来の世代へ」との講演をしたそうです。
里山・里海が生物の多様性を守るために大切だということには異論はありませんが・・・、日々里山のようすを見て回っている身としては見過ごしに出来ないことが多々あります。
いま里山・里海の保全を担っている人たちにとってその仕事は生業として成り立っているのでしょうか?この写真のような棚田での米作りを担っている人たちの多くは「この仕事では食べていけないから子どもたちには跡を継がせることは出来ない」といっています。農業だけでなく林業でも同じ言葉が聞こえてきます。おそらく里海の暮らしでも同じことだと思います。
私はここ10年ほど金沢市の南部丘陵を撮り続けていますが、わずか一月ほどでひとつの山が崩され、谷が埋められて産業廃棄物処理場になった現場も見ました。
前年は水田として多くの生物の拠りどころになっていたのに今年は放棄田として荒れた平地になっていることも多々あります。
里山の生きものたちはわずかな溝の位置の変化でも生命の環が途絶えることがあります。そんな微妙なバランスの上に立つほんとの意味の「生物の多様性」を守っている人たちへの支援を断ち切るような政策を続ける行政のトップがどんなに言葉を飾ろうとも里山の保全や生物の多様性が守られるとは思えません。
参議院選挙を前にして各党の政策を見ながらそんな思いが強くなる日々です。
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