ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」

2020年08月27日 | 書評
バラ

イスラエル民族の再興を願う3大預言書と12小預言書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」(岩波文庫2015年)   (その49)

9) オバデヤ書

オバデア、ミカ、ナホム、ハバクク、ゼバニアはバビロン捕囚期の預言者である。筆者は伝統的にオバデヤとされる。この名は字義通りには「主(ヤハ)の僕(または崇拝者)」を意味する。オバデヤ書は大きく分けると「エドムの傲慢と滅亡」と「イスラエルの回復」の項目から成る。エドムとイスラエルの先祖は、エサウとヤコブの兄弟であり、したがって2つの民族は兄弟であるとみなされた。このような血族への暴虐によって、エドムは恥と滅びを永遠に蒙ると宣告される。作製時期は「エドムは兄弟であるイスラエル民族が攻撃されたときに見捨てたため、滅ぼされなければならない」という預言について考えると、紀元前605年から586年 - バビロンのネブカドネザル2世によりエルサレムが攻撃され、最終的にユダヤ人のバビロン捕囚が起こった時期が妥当である。オバデヤ書全体の主題は神の民ユダの敵の滅びである。
第1章: エホバの言予言者に臨み、立てエドムを攻撃せんと扇動する。汝を国の中で小さき者に賤しめる。汝の傲慢さは地に引き出すことは誰にもできないと嘯く。しかし汝鷲のように天高く挙がろうとも、我エホバは汝を引きずり下ろす。泥棒でさえ満足したら物を取ることは止める。しかしエドムはエサウの地からすべてを奪い去る。テマンよ汝の勇者は仆れん。汝は兄弟であるヤコブに暴虐を加えて世の面目を失った。異邦人が侵入して財宝を奪うときの汝はその一員のごとく振舞った。汝は汝の兄弟が滅ぶ日つまりユダの子孫の滅亡を喜ぶべからず。その苦難の日は口を開くな。エホバの日汝の応報は汝の首に帰す。ヤコブの家は焼かれ、ヨセフの家は火となり、エサウの家には残る者がいなくなっても、シオン山には救われる者らがいてその山聖所となろう。
(オバデヤ書終わり)
(つづく)