ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」

2020年08月09日 | 書評
さるすべり

イスラエル民族の再興を願う3大預言書と12小預言書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」(岩波文庫2015年)   (その32)

4) エゼキエル書 (その6)

第20章: イスラエルの長老たちが集まった時にエホバの言葉がエゼキエルに臨んだ。我は汝らの問いを拒否する、彼らの先祖がなした憎むべき事柄を伝えようと言って、 この章には背信のイスラエルの歴史が描かれています。ここにはイスラエルの民がエジプトにおいて、荒野において、カナンにおいて、そして現在において、以下のようなパターンが繰り返されています。(1) 主のイスラエルに対する恵みの行為、(2) それに対するイスラエルの背反、(3) 背反に対する主の怒り、(4) 主の怒りを思いとどめた理由です。この章のキーワードは「我が名のために」と「我の聖なることをあらわす」という言葉です。第1段階のエジプトにおいては、エホバはイスラエルを選びヤコブの家の末裔に手をあげて我を知らせ、エジプトの地から彼らを脱出させ、カナンの地を目指して引導した。しかし我彼らにいう、憎むべきことを棄てよエジプトの偶像をもって身を穢すなと、しかし彼らは我に叛いて我に聞き従わなかった。我エジプトにおいて我が憤りを彼らに注いだ。しかし我我が名のために事をなしてエジプトより導き出した。これは我が名が異邦人らの前で穢されないためである。異邦人の中に彼らが居るその前にて我を彼らに知らしめた。第2段階の荒野においても周りは異邦人の部族ばかりで、第1段階と同じパターンである。異邦人らの目の前に我の聖なることをあらわすためにエホバの妥協は繰り返された。
第21章: エホバの言エゼキエルに臨む、裁きの日近く成りぬことを告げ嘆け、剣は磨かれ鞘から抜き放たれている。それはイスラエルの北から南まで悪しき者を断つためだある。バビロンの王の剣が進むべき道二つのうち一つはアンモン人の子孫が住むラバとユダの堅き城エルサレムに剣が向かう事を示せ。エルサレムの罪は全ての行為に現われている。イスラエルの君主よ汝の罰せられる日至る。卑しい者は高くされ、高い者は卑しくされる。我転覆の権威を持つ。
第22章: エホバの言、エゼキエルに臨む、この血を流すところの邑を裁け。汝は流せる血によりて罪を得、その造れる偶像をもって身を穢し汝の裁きの日を近づかせり。我汝を国々の嘲りとなし万国の笑いとなさん。汝他国の人を虐げ、寡婦と孤児を悩まし、安息日を穢す、山の上で食事をなし、邪淫を行い父の妻に交わり、月経のさはりの穢れた婦女を犯す、隣の妻と淫らなことをし、自分の姉妹を犯す、利をとりて隣の物をかすめ取り。イスラエルの家は我にとって屑のごとくになれり、我は怒りと憤りをもって汝らを集めて溶かす。預言者・祭司らはわが法を犯しわが聖きものを穢す。国の民は暴虐を行い奪うことをなし悩める者と貧しき者を掠め他国の人を虐げる。この故に我わが怒りを彼らに灌ぎ、わが憤りの火を持て彼らを滅ぼし彼らの行いの報いを行え。
第23章: エホバの言エゼキエルに臨む、第16章の喩話では3姉妹であったが、本章の喩話では姉アホラ(サマリヤ)、妹アホリバ(エルサレム)という。二人はエジプト時代から淫婦であった。姉アホラはアッスリアの若者と淫を行い、エジプトの男とも通じていた。我エホバはアッスリアの男に剣を与えてアホラを殺させた。妹アホリバの淫業は姉よりも甚だしくアッスリア人を恋いしたり、カルデヤのバビロン人に色目を使う有様であった。エホバはアホリバの裁きをを昔の恋人たちの手に渡した。即ちアッスリア人、バビロン人が大軍を率いてエルサレムを攻撃した。汝エルサレムよ異邦人を慕いて淫を行い彼らの偶像をもって身を穢した罪に報いた。アホラとアホリバを裁くにあたってはその憎むべき罪状を詳らかに示した。エホバ斯く言う、我群衆を彼らに攻め来たらしめ彼らを虐げと掠めに遭わしめん。群衆石をもって彼らを撃ち、剣をもって斬りその子女を殺し火をもってその家を焼かん。我この地に邪淫を絶やさん。
第24章: 9年10月10日エホバの言エゼキエルに臨む、バビロンの王今日エルサレムを攻める。汝エホバに叛ける家にたとえ話で告げよ、禍なるかな血の流れる邑、錆のついた釜にて羊(民)の肉と骨を焚け、汚れを取るため釜を空焚きし錆(罪)を取れ。しかし汝らの淫行により我汝を浄めんとせしが汝ら浄まらざりしによって、我怒りを汝に灌ぐ。汝の道に従い汝の行為に従い彼らを裁かんと。声を立てずに嘆け、死人のために哭け、その罪の中にやせ衰え互いに呻く。エゼキエルが言ったように汝らはその予兆通りに行うだろう、そのとき我がエホバであることを知る。

(つづく)