ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」

2020年08月01日 | 書評
バラ

イスラエル民族の再興を願う3大預言書と12小預言書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」(岩波文庫2015年)   (その25)

2) エレミア書 (その12)

第48章: モアブの神に関するエホバの言葉である。モアブは、古代イスラエルの東に隣接した地域の古代の地名であり、死海の東岸、アルノン川の高原地帯に広がる地域を指す。旧約聖書によれば、ロトとロトの長女との間に生まれた息子モアブに由来し、その子孫がモアブ人となってエミム人を打ち払ってその地域に定住したとされている。 イスラエル人と子アブ人は仲が悪い。モアブの滅亡近づけり、その禍速やかに至る。モアブの高ぶりを聞け、その言の空しさを知る彼らは偽りを行う。ああモアブは亡びたり、彼らは叫ぶ、ああモアブは恥じて面を背けたりモアブはその四囲の笑い種となり懼れとなった。ああ禍なるかなケモシの民は亡びたり。破壊された邑の名前が墓碑銘のように並べられ哀悼が述べられる。ネボ、キリアタイム、ミスカブ、ヘシボシ、マデメン、ホロナイム、ケモシ、アロエル、デボン、アルノン、ホロン、ヤハズ、メバアテ、ベテデブラタイム、ベテガムル、ベテメオン、ケリオテ、ボズラ、シブマ、ヤゼル、エグラテシリシヤ、エレハレ、ケリオテなどである。
第49章: アンモン人についてエホバの言葉である。アモン人は聖書ではモアブ人の兄弟民族であり、先祖がロトであることからアブラハムの子孫であるイスラエルとは従兄弟に当たる民族とされている。ヨルダン川東岸のギレアデ地方に国家を築いており、イスラエルとは敵対的関係にあった。後にダビデ王に依り征服されイスラエルの属国となり、ユダヤ人に吸収される。その首都はラバであった。イスラエルとアンモンは世継ぎを出す関係にあり、アンモンの王ガドの跡を継ぐ者イスラエル王家の者もいなくなったことを嘆いた。戦の叫びがラバに聞こえる。ラバは荒れ塚になり民は焼かれる、ヘシボシよ叫べアイは滅んだ。マルカムの祭司らは囚われ移された。
エドムのことについてのエホバの言葉。エドム人は古代パレスチナに居住したセム系民族。エドムはアカバ湾から死海にかけての地名であった。聖書ではエドム人はイスラエルの兄弟民族であり、ヤコブの兄エサウの子孫とされ、一度の食事で家督の権を逸した。(創世記25章29~34節)モアブの南に拠点を張り、後にダビデ王の代になってイスラエルに朝貢しその属国になったと記されている。テマンには知恵ある者は尽き果てた。デダンに住む者よ逃げよ隠れよ、エサウの滅亡はまじかであり、彼を罰する時が来た。ボズラは驚きと辱めをうけ荒地になる。ソドムとゴモラは隣の邑が滅んだようにそこに住む人はいなくなる。
ダマスコのこと。ダマスカスはシリアの首都。ダマスクスとも表記される。日本語の聖書の慣行ではダマスコと表記する。「世界一古くから人が住み続けている都市」として知られる。ハマテとアルパデは恥じ悪しき訪れを聞く。彼らは生き心地なく恐怖に慄く。ダマスコは弱り逃げようとして憂う。兵卒は悉く仆れ、ダマスコは焼かれベネハダテの宮殿は悉く焼かれる。
ケダルとハゾルの諸国の事。ケダルはイシュマエルの次男で、ハゾルはカナンの先住民の国です。ケダルは放牧民族で、天幕を張って移り住む生活をしていました。そのような民族でさえ、今回のバビロニアの侵略の対象になると預言されているのです。ケダルはアラビヤ人の始祖とされいる。モアブ、アモン、エラムについては回復されると明言しています。イスラエル12部族に加えて、ロトとエサウの子孫には主のあわれみが注がれる結果になっています。
エラムのことについて。エラムは古代オリエントで栄えた国家の名。紀元前3200年頃から紀元前539年までの間、複数の古代世界の列強国を出現させた。エラムと呼ばれたのは、メソポタミアの東、イラン高原南西部のザグロス山脈沿いの地域である旧約聖書の時代には、紀元前1100年のネブカドネザル1世の侵攻があり、紀元前539年にアケメネス朝の支配下に入って消滅する。

(つづく)