オキザリス
西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書
3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年) (その17)
2) 詩篇 (その9)
第40篇: (歌の長に謳わしめたるダビデの歌)
我たえしのびてエホバを待ち望みたり、エホバ我に向かいてわが叫びを聞き給えり。またわれを滅びの穽よりとりいだしてわが足を磐のうえに置きわが歩みを堅くしたまえり。エホバは新しき歌をわが口に入れ給えり、これは我らの神にささげる讃美なり。仁慈と真理とをもって恒にわれを守り給え、そは数えがたき禍害われを囲み、わが不義われに追しきて仰ぎ見ること能はぬまでになりぬ。エホバよわれを救い給え、エホバよ急ぎ来たりてわれを助けたまえ。
第41篇: (歌の長に謳わしめたるダビデの歌)
弱き人をかへり見る者は幸いなり、エホバかかる者を禍の日にたすけたまわん。エホバこれを守り之をながらえしめ給わん、彼はこの地に在りて福祉を得ん。エホバよわれを憐れみわがたしいを医やしたまえ、われ汝に向かいて罪をおかしたりとわが仇われをそしりて言えり。彼偽りをかたり邪曲をその心にあつめいでてはこれを述ぶ。エホバよわれを助け起こし給え、されば我彼らに報ゆることを得ん。イスラエルの神エホバはとこしえより永遠までほむべきかな、アメン、アメン
第42篇: (歌の長に謳わしめたるコラの子の教えの歌)
ああ神よ、鹿の渓水をしたい喘ぐがごとく、わが霊魂も汝をしたい喘ぐなり。何れのときか我ゆきて神のみまえにいでん。汝神を待ち望め、われに聖顔の助けありて我なおわが神を褒めたたうべければなり。
第43篇: 神よ願わくは、我を裁き情け知らぬ民に向かって、わが訴訟をあげつらい詭計おおき邪なる人より我を助け給え。なんじはわが力の神なり、なんぞわれを棄て給いしや。願わくはなんじの光となんじの真理を放ち我を導きてその聖山と帷幄とにゆかしめ給え。ああ神よわが神よわれ琴をもてなんじを褒め称えん。
第44篇: (歌の長に謳わしめたるコラの子の教えの歌)
ああ神よむかし我らの祖たちに汝がなし給いし事蹟をわれら耳に聞けり、祖たちわれらに語れり、汝御手をもて諸々の国人を追い退け我らの祖たちを植え、また諸々の民を悩まして我らの祖たちを繁栄させ給う。我らはひねもす神によりてほこり、我らは永遠になんじの御名に感謝せん。しかるに今我らを棄て恥をおはせたまい、なんじ戦に出られることなくわが辱めひねもすわがまえにあり。神はこれを糺し給わざらんや、我らの霊魂はかがみて塵にふし、われらの腹は土につきたり、願わくは起きて我らを助け給え。
(つづく)