ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」

2020年08月25日 | 書評
槿

イスラエル民族の再興を願う3大預言書と12小預言書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」(岩波文庫2015年)   (その47)

8) アモス書(その1)

アモス書 にも、主の日(神による審きの日)の到来という、ホセア書と同じテーマを扱っていることなどから、執筆年代はホセアと同年代(紀元前8世紀前半のヤラベアムⅡ世統治のころ)と考えられている。作者はアモスで、南ユダ王国テコア出身の牧夫であったという。時期については、ウジヤ(ユダ王国)、ヤラベアム2世(イスラエル王国)の分裂王国時代であった。内容は大きく4つに分けることが出来る。①近隣諸国の民と、南ユダ王国、北イスラエル王国に対する神の裁きの宣告 ②イスラエルの支配者たちへの悔い改めの要求 ③裁きについての5つの幻(イナゴ、燃える火、重り縄、夏の果物、祭壇の傍らの主) ④ダビデの系統を引くイスラエル民族の回復である。
第1章: テコアの牧者の仲間であったアモスが、ユダ王ヤラベアムの治世の地震の2年前に見たこととイスラエルの将来について語った。エホバ、シオンより声を出し給う。牧場は嘆きカルメルの嶺は枯れる。
①ダマスコに3つの罪あり、4つの罪あれば必ず罰して許さず。彼らは鉄の戦車でギレアデを撃った。これに対しエホバはハザエルの家を焼き、ベネハダテ宮殿を焼いた。ベテエデンより王家の者を絶つ。スリアの民は囚われてキルに連行される彼らは捕虜をことごとくエドム人の手に渡した。これに対してエホバはガザを焼きアシドドの民を絶った。アシケロンより王家一族を絶った。またエクロンを撃ってペリシテ人を絶った。
②ツロには3つの罪あり、4つの罪あれば必ず罰して許さず。彼らは捕虜をエドム人の手に渡し、兄弟の契約を忘れた。これに対してエホバはツロの邑を焼いた。
③エドムには3つの罪あり、4つの罪あれば必ず罰して許さず。彼は剣をもってその兄弟国を追い払い、常に怒って人を害した。これに対してエホバはテマンを焼きボズラの宮殿を焼いた。
④アンモンには3つの罪あり、4つの罪あれば必ず罰して許さず。彼らは国境を広げるためギレアデを侵した。これに対してエホバはラバの石垣の内を焼き、彼らの王と牧伯を捕えた。
第2章: ⑤モアブには3つの罪あり、4つの罪あれば必ず罰して許さず。彼エドムの王の骨を焼いて灰にした。これにたいしてエホバはモアブに火を送った。ケリオテも家を凡て焼いた。裁判長を除きすべての牧伯を殺した。
⑥ユダには3つの罪あり、4つの罪あれば必ず罰して許さず。彼らはエホバの律法を軽んじ法を守らず偽りのものにうつつを抜かした。これに対してエホバはユダに火を送りエルサレムの宮殿を焼いた。
⑦イスラエルには3つの罪あり、4つの罪あれば必ず罰して許さず。彼らは義なる者を金のために売り、貧しき者を靴1足のために売った。姦淫により我が名を穢した。質に取った着物を壇の下に敷いて罰金で得た酒を飲んだ。むかし荒野においてアモリ人の土地を汝に与え、預言者にナザレ人を興した。しかるにナザレ人に酒を飲まして預言することを禁じた。これに対してエホバは汝らを圧迫せん。勇士も逃げ出し命を救うことはできない。 
第3章: イスラエルの子孫よエホバの言を聴け、邑に禍が起こるのはエホバの降し給うところである。エホバの言は預言者に伝えて皆に知らしめる。アシドドに伝えエジプトに伝え、大きな紛争を見よ。彼らは正しきことを行わず、虐げた者から奪いとった財を庫に蓄えた。エホバ言い給う、この国を攻め囲み権力を汝から奪う、ヤコブの家に証しせよ罪を罰する日にはペテルの壇は崩される。
第4章: バシヤシの家の者よ汝ら弱き者を虐げ、主に向かいて酒を飲ませろと言う。エホバ汝らの上に臨んで言い給う、悪しき者は一人一人引き出して審判を行う。彼らべテルに行きて罪を犯し、ギルガルでさらに罪を犯した。エホバ飢饉をもたらしと言えども汝らエホバに還らず。疫病をおこし剣をもって若き人を殺し、馬を奪った。ソドムはゴモラのごとく廃墟となった。我汝らにかく行わん、エホバに会する準備をせよ。

(つづく)