ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 国貞克則著 「財務三表一体理解法」 朝日新書

2008年05月31日 | 書評
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書のつながり 第3回

財務三表の構造 (1) 損益計算書 PL

損益計算書には「五つの利益」がある。売上高から売上原価を引いた売上総利益(荒利)、荒利から販売費や一般経費を引いた本業の利益である営業利益、営業利益から営業外収益(利息)など本業以外の収支を引いた経常利益、経常利益から臨時に発生した特別利益・損失を入れた税引き前当期純利益、税引き前当期純利益から税金を引いた後の利益である当期純利益が計算される。製造業では「製造原価」まで勉強しなければならないが、簡単な商品を仕入れて販売するモデルを考える。PLを数年間比較すると経営規模の変化を知ることが出来る。売上高のスケールメリットとして一般管理比率が下がり効率が良くなる。利益率が10%であったとすると、一般管理費を使うときその10倍の売上が必要というコスト感覚が身につく。
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読書ノート 江崎保男著 「生態系ってなに?」 中公新書

2008年05月31日 | 書評
世界の生態系は病んでいる しかし生態系ってよく分らない 第8回 最終回

生態系は共生系

競争社会から共同社会に目を向けて見ましょう。目の見えないエビとハゼの共同生活があります。果実と鳥の関係、植物の花粉と媒介する昆虫の関係、そして複雑なのがエナガ・シジュウカラ・ヤマガラ・コゲラ・ウグイの「混群」と呼ばれる鳥の共同生活があります。森の高さの層別に生活して、冬季の餌とりでギャーギャー騒ぎ立てて「追い立て効果」を出す事です。また混群の構成員が捕食者を発見した時いち早く出す「警戒声」です。これらは餌条件が悪い時の共同作業であり、餌条件がよくなると群れに参加しない個体が増えてきます。共同の関係は生物個体の利己主義が一致した時のみに成立するものなのです。岩盤にくっつく六種の貝が共同で生活をしていますが、ヒトデを退治するとムール貝の一人勝ちになったということです。共同の天敵に対する共同戦術も敵がなくなれば必要がなくなって競争になります。このように多くの種は多対多の相互作用の中で生きています。

捕食関係の底辺にあって一番損な位置にいるのが植物です。しかし植物も食われ放しではありません。虫に食われないようにしっかり防御戦略をとっています。温室植物リママメと害虫であるナミハダニとその捕食者であるチリカブリダニの三者の関係です。リママメは葉をナミハダニにかじられると、チリカブリダニを誘引する物質(SOS物質)を出して来て貰い、そしてナミハダニを退治してもらうという実に高度な戦略をとります。この関係はナズナ、アオムシ、アオムシコマユバチの三者関係にも見られます。生物群集を構成する生物たちが競争・寄生・共同など多種多様な相互作用を通じてつながっており、そのつながりは連鎖となっている。一つの地域に生息する生物は直接・間接の相互作用でつながっているので、多様な生態系が必要だと云うことはこのことを云うのです。中村雅俊の歌「ふれあい」の言葉「人はみな独りでは生きてゆけない」ということになるのです。ということで落ちがつきましたので、本書の紹介は終わりにします。
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文芸散歩 「平家物語」 佐藤謙三校註 角川古典文庫

2008年05月31日 | 書評
日本文学史上最大の叙事詩 勃興する武士、躍動する文章 第54回

平家物語 卷第九

老馬
大臣平宗盛卿は、義経が三草を破ったので山の手へ向う人を募ったが、誰も尻込みして手を挙げなかった。そこでいつものことながら能登教経が越中前国司盛俊、三位通盛ら一万余騎を率いて一の谷の後ろ、鵯越えの麓に向った。六日の明け方、義経は土肥次郎実平に7千余騎を預けて一の谷の西木戸口へ向わせ、自分は三千騎で一の谷の後ろ鵯越えへ向った。別府小太郎清重はこの難所を越えるには老馬に道案内させることが一番と見知らぬ深い山へ入っていった。武蔵坊弁慶は老翁を携えてこの崖を越える方法を問うたが老翁は無理だと云う。義経はでは鹿は通えるかと問えば、「丹波の鹿は播磨の印南野へ行く」と答えたので、義経鹿の通えるのに馬の通えないわけはいと、十八歳の鷲尾三郎義久に案内をさせる事になった。(ここに、武蔵坊弁慶が始めて平家物語に出た)

一二駈
義経の別働隊、一の谷の搦め手の土肥次郎実平の7千余騎のなかに、熊谷・平山と云う先駆けを争う二人がいた。土肥次郎実平の本隊を離れ熊谷次郎直実、子息の小次郎直家らの主従三騎で一の谷の塩屋から西の木戸口へ先駆けした。直ぐ後ろから平山季重ら二騎が追いかけた。六日朝になれば、熊谷・平山の五騎が先陣にいて、平家側から木戸を少し開けて兵衛盛嗣、五郎兵衛忠光、悪七兵衛景清らの侍二十騎が出て矢を交えて小競り合いをした。これを熊谷・平山の一二の駆けという。華々しい関東武士の功を競う先陣争いである。

二度駈
そして土肥次郎実平七千騎の本隊が一の谷西木戸口の攻撃に移った。同時に東の生田の森で源氏五万騎の大手軍でも戦闘が始まった。河原太朗私高直、次郎盛直の二騎が生田の森の先陣を駆けた。平家の真名辺四郎・五郎兄弟は柵を乗越えようとする二人を取り囲んで討ちとった。梶原平三五百騎は生田の柵を破って進入したが、取り囲まれて善戦して退いた。これを梶原の二度の駆けという。
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自作漢詩 「卯の花の匂う籬にホトトギス早も来啼きて忍び音洩らす夏は来ぬ」

2008年05月31日 | 漢詩・自由詩


濃緑陰中聞子     濃緑の陰中に 子規を聞く

繊繊碧草卯花     繊繊たる碧草 卯の花の籬

沈雲展轉風来後     沈雲展轉と 風来る後 
  
啼去梅天雨到     啼去り梅天に 雨到る時

○●○○○●◎
○○●●●○◎
○○●●○○●
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(赤い字は韻:四支 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)
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CD 今日の一枚 ラッスス「聖ペテロの涙」

2008年05月31日 | 音楽
ラッスス 宗教的マドリガル「聖ペテロの涙」
ボ・テルノン指揮アルス・ノヴァ 
DDD 1994 NAXOS

ローラン・ド・ラッスス(1532-1594)はルネッサンス末期のフランドル楽派の音楽家 世俗音楽の他宗教的ミサ、モテトゥスではポリフォニー伝統にたって優れた作品を残した。宗教的マドリガルとは世俗声楽曲風(オペラ風)の宗教劇である。
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