ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」

2020年08月21日 | 書評
稲穂

イスラエル民族の再興を願う3大預言書と12小預言書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」(岩波文庫2015年)   (その43)

6) ホセア書 (その1)

ホセア書以下12篇の預言書は、アウグスチヌスの「神の国」以来「十二小預言書」と呼ぶことがある。アモスとホセアはイスラエル王国のヤラベアム2世の時代から滅亡期までにかけての預言者。「十二小預言書」全体の成立時期は紀元前3世紀から前2世紀とされる。ホセア書に同時代人として挙げられている王の名はイスラエル王国・ユダ王国末期のものであり、これを信ずるなら紀元前8世紀末の人物である。作者がホセアであることと、その預言期間がウジヤの治世からヒゼキヤの治世にまで及ぶとされる。神に度々反抗したイスラエルに対する裁きの音信であり、神はイスラエルを見放すという内容である
第1章: ユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒビキヤの世、イスラエルの王ヤラベアムの世にエホバの詞ベエリの子ホセアに臨む。汝淫行の婦人を娶り淫行の子を産めと、ホセアはデブライムの女子ゴメルを娶り男子を生んだ。エホバ言う、その子をエズレルと名付け、我エズレルの血をエヒフの家に報い、イスラエルの家の国のを滅ぼすであろう。エズレルの谷にてイスラエルの弓を折る。ゴメルは女子を生めばエホバは言う、その名をロルハマ(憐れまぬもの)と名付けよ、我はもはやイスラエルの家を憐れまないからだという。しかしユダの家は憐れみ救わん。さらにゴメルは男子を生めばエホバは言う、その子の名をロアンミ(わが民にあらず)と名付けよ、汝らは我が民ではないからだ。しかし汝らの子は神の子と言われユダとイスラエルの子孫は共に一人の首を立て栄えん。
第2章: 汝の兄弟はアンミ(我が民)、姉妹はルハマ(憐れまない者)と呼べ。汝ら母を攻めよ、母はわが妻ではない私も夫ではない。妻は全身が姦淫に染まっている。彼女は恋人の後を慕いて行けど、我は追わない。彼女の食糧は我が賄ったもの、異教バアルに彼女が用いた金銀は我から出ていることを彼女は知らない。彼女の衣食を我が奪えば彼女は恥ずかしい裸同然である。誰も救う者はいない。我彼女を導いて荒れ野に至り慰めん。彼女の口からバアルを取り除いたら仲直りしてよい。エホバ言い給う、その日我は応えん、天は地にこたえん、我我がために彼を地に播き憐れまざる者を憐れみ我が民でない者を汝は我が民なりといわん、彼らは我に向かいて汝は我が神というだろう。
第3章: エホバ、ホセアに臨みて言い給う、すでに女奴隷、あるいは神殿娼婦となっていたゴメルを、ホセアは主の命令に従い彼女を代価を払って買い戻します。その代価とは「銀十五シェケルと大麦一ホメル半」です。イスラエルの民は王なく君なく生贄なく表柱なく散らばっていた。しかし最後の日にはダビデの道に戻りエホバの恩恵に頼るであろう。
第4章: イスラエルの民よエホバの言を聞け、この世には誠なく愛情なく神を知る事もない。ただ偽り人殺し盗み姦淫が横行し互いに憎しみ殺しあっている。人は争うべからず。我が民は智慧知識がないと滅ぼされる、律を忘れる民を我は忘れん。淫行と酒とはその人の心を奪う、神を離れて淫行をなす。イスラエルよ汝姦淫をなすなユダに罪を犯すなかれ、ギルガルに行くなベテアベンに上るな。
(つづく)