ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

文芸散歩  金田鬼一訳 「グリム童話集」 岩波文庫(1-5冊)

2013年01月31日 | 書評
ドイツ民俗研究の宝庫「児童と家庭向けのおとぎばなし」 第29回

* KHM 40  強盗のおむこさん
 粉引きの家に若い娘がいて、一見金持ちそうな男を許婚に決めましたが、この男はなんと森に住む強盗だったのです。男は娘に家に来るように言いましたが娘は胸騒ぎがするので、帰り道の目印にえんどう豆を撒いて森の家に行きました。その家にはおばあさんがいて、男は人食いの強盗だと教えてくれました。そして娘を匿っているところへ、強盗が別の若い娘をさらって帰ってきて、バラバラに殺して食ってしまいました。お婆さんが強盗に眠り薬を入れた酒を飲まして寝込んだところを、娘とおばあさんは一目散にえんどう豆の目印をたよりに森を抜けて村へ帰った。そして強盗の男との婚礼の日、男が来たところを官憲に手渡して、男は処刑されました。暗い森は悪の象徴となっている典型的なお話です。

* KHM 41  コルベスさま
 コルベスという名は悪魔、情け容赦のない悪い奴という意味です。雄鶏と雌鳥の夫婦が4匹のネズミに馬車を引かせてコルベスのお屋敷に出かけました。道の途中で、猫、石臼、卵、鴨、留め金、縫い針が馬車に乗っけてくれというのでみんなを乗っけてコルベスのお屋敷に着きました。コルベスが屋敷に帰ってきたところを全員でさんざんやっつけ殺しました。なんか桃太郎伝説の鬼征伐みたいな話です。
(つづく)
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読書ノート アダム・スミス著/大河内一男監訳 「国富論」 中公文庫(1-3冊)

2013年01月31日 | 書評
アダム・スミスが説く社会的生産力の構造と近代自由主義  第13回

第1篇 労働の生産力における改善、生産物の様々な階級の間に自然と分配される秩序
第5章 商品の真の価格と名目の価格について、すなわちその貨幣価格と労働価格について


 分業が行き渡ると、1人の人間が自分の労働で充足できるのはごく小さな部分にすぎない。あらゆる物の真の価値は、それを獲得するための労力と工夫である。商品を買うと言うことは、自分の労働の結果である貨幣で他人の労働と、等しい価値で交換することである。これがスミスの古典経済学のテーゼである「労働価値説」である。労働はすべての商品の交換価値の真の尺度であっても、商品の価値をはかるのは労働ではない。2つ以上の異なった労働の量の間の比率を確かめるのは困難である場合が多い。あらゆる商品の交換価値は貨幣で測るしか方法がない。ところが金・銀の価値は変動するので正確な価値の尺度とはなりえない。それゆえ労働だけがすべての商品の真の価格であり、貨幣はその名目上の価格であるにすぎない。ここでスミスは自己撞着を起している。労働でも貨幣でも測りえないなら、結局正確に測定する手段を持たないことになる。労働の価値と商品価値はイコールではないし、日常の取引には使えない。貨幣が日常の取引に使用されることで満足しなければならない。第5章の後半は貨幣としての金銀も価値の変動を述べているが、煩雑な歴史的事項なのでオミットしておこう。
(つづく)

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読書ノート アダム・スミス著/水田洋訳 「道徳感情論」 岩波文庫(2冊)

2013年01月31日 | 書評
自由平等な利己的個人の平和的共存の哲学 第16回

第3部 判断の基礎と義務の感覚
第4篇:義務の感覚が我々の行動の唯一の原理であることについて


 宗教は徳の実行に対して大変強い動機を提供し、悪徳の誘惑から防御するので、人々は宗教的原理だけで生きてゆかれると教えられてきた。我々の行為の唯一の原理と動機は、神が我々にそれを遂行せよと命令したという感覚である。宗教が経済的行為に与えた影響は、マックス・ヴェーバー著 大塚久雄訳 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(岩波文庫 1989年改訳)にも述べられている。東洋人の多神教では理解できない最後の審判の恐怖に基づいている。私的利害関心の対象の追求は対象自体への情念からではなく、そのような行動を規定する一般的な規則への考慮から出てくる。金1ペンスが重要なのではなく、倹約精励克己の生活態度が重要なのである。これらの対象をある程度の熱心さで持って追求しないような人間は弱い人間であるとみなされる。野心を持って活動する人は尊敬される。野心が慎重と正義の範囲に留まっている場合は世間で賞賛されるのが資本主義であり、単なる守銭奴とは違うのである。
(つづく)
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筑波子 月次絶句集 「一月寒夜」

2013年01月31日 | 漢詩・自由詩
夕景蒼茫月上岑     夕景蒼茫 月岑に上り

厳霜漏凍夜寒侵     厳霜漏凍り 夜寒侵す

帯風市井砧聲急     風を帯び市井 砧聲急に

皎皎冬天雁影深     皎皎たる冬天 雁影深し


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(韻:十二侵 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
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文芸散歩  金田鬼一訳 「グリム童話集」 岩波文庫(1-5冊)

2013年01月30日 | 書評
ドイツ民俗研究の宝庫「児童と家庭向けのおとぎばなし」 第28回

* KHM 38  おくさま狐のおよめいり
 尻尾が9本ある古狐が、自分の奥さんの心変わりを疑って、死んだ振りをして様子を伺った。奥様狐には求婚を求める狐が多数来訪したが、尻尾の数が9本ある若い狐が来たときとを開けて家の中に入れた。それを見た古狐は奥さんを追い出したとさ。ヴァリエーションの第2話も挿入されている。

* KHM 39  小人の靴屋(まほうを使う 一寸法師)
 貧乏な靴屋さんが、ある夜1枚の革を置いて寝ると翌朝1束の靴が仕上がっていました。出来合いも丁寧で高い値段で売れたので、2足分の革を求めて作業机の上のおいてねました。すると翌朝二足の靴が出来上がっていました。いい出来なので2足とも高く売れ、4足分の革が買えました。こうして毎夜毎夜誰かが見事なできばえの靴を作ってくれましたので、靴屋さんはようやくまともな暮しが出来るようになりました。靴屋さんとおかみさんは夜灯りをつけてみますと、二人の小人が靴を縫っているので、お礼がしたくて小さなシャツと胴着とズボンと靴を作って小人にプレゼントしました。二人の小人はそれを来て喜んでいってしまったということです。靴屋さんはそれから暮しはすっかり良くなりました。ヴァリエーションの話が2つ集録されている。
(続く)
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