先日発売されたアエラにも掲載されていたが、私は原口総務大臣主催の郵政改革研究会のメンバーに入れて頂いており、大臣室等でいろいろな議論をしている。ご承知のとおり私は17年民間生命保険会社に勤務した。郵政改革に関して業界団体の代弁だけをするつもりはない。あくまでも、あるべきかんぽ生命のあり方について意見具申しているし、この研究会でも、政策会議でも、旧質問研究会でも発言してきた。
今回、かんぽ生命の引受け限度額を2500万円とする郵政改革法案の概要が明らかになり今日記者会見をするようだ。民業圧迫、政府保証は不平等など民間の言い分も理解できるし、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の2利益源が頼りのユニバーサル制度というお家事情も良くわかる。大変悩ましいところであるが、どこかに落としていかなければならない。
かんぽ生命保険の限度額は1000万円、下取りの場合は1300万円となっている。かんぽ生命は゛小口・無診査・月掛け゛を特徴とした生命保険である。ここで議論したいのが無診査という部分である。通常民間生命保険に加入する際、一定保険金額を超える契約引受け(1000万超程度)に対しては、嘱託医、産業医、健康保険証明書、人間ドッグ、健康面接など、契約内容、保険金額、年齢、既往症などなどにより、様々な危険選択をしている。危険選択とは、まぁ、被保険者に対して大変失礼な単語ではあるが、保険契約を引き受ける側としては大変重要な手続きなのである。一方、かんぽ生命は被保険者から告知書といって、健康状態についての確認を取るだけで危険選択としている。
預金は三角、保険は四角。図に描くとわかりやすいのだが、保険の場合、一度だけの保険料を支払おうが、5年支払おうが保障は同じ。契約と同時に被保険者が死亡すれば、保険金を支払わなければならない。一度の保険料でも、だ。だから、被保険者の健康状態を査定するのである。査定の結果、問題がなければ普通決定。契約どおりの引受けとなる。一方、何らかの危険要素が確認される゛体況゛の場合、通常保険料に特別保険料を上乗せする、一定期間の保険金減額を行う、不担保部位を設けるなど、条件付での引受けを了承してもらう、場合によっては謝絶体といって(大変失礼な表現であるが)契約引受けをお断りするなど、いろいろとややこしいのだ。
しかし、この危険選択を怠ると、正常な保険数理に対して引受けてはいけない契約が混在し、公平性が保てなくなる。健康体の人とそうでない人との差異を設けることで、勘定全体の公平性を維持しているのだ。問題はかんぽ生命保険会社にそのノウハウがあるのかということだ。ゆうちょ銀行議論でも運用ノウハウが議論されるところだが、保険の場合は運用ということでは済まされない。一回の保険料でも死亡保険金を支払える危険選択が必要である。
民間生保に比べてかんぽ生命のほうが査定が甘いという風評が立ったらどうなるか?既往症のある方などが窓口に押し寄せ、かんぽ生命に加入するだろう。一時的に営業実績は上がるだろうが、危険度の高い契約ばかりを引受けて公平な勘定を維持できない。預金を返すのではない、保険金を支払うのである。この現象を顧客による゛逆選択゛という。逆選択のターゲットになることは保険会社としては重要な問題、生死を意味する。
かんぽ生命の健全運営は、顧客を守るという意味で最優先されなければならない。政府案が提出されても、まだまだ議論を進めていかなければならない。
今回、かんぽ生命の引受け限度額を2500万円とする郵政改革法案の概要が明らかになり今日記者会見をするようだ。民業圧迫、政府保証は不平等など民間の言い分も理解できるし、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の2利益源が頼りのユニバーサル制度というお家事情も良くわかる。大変悩ましいところであるが、どこかに落としていかなければならない。
かんぽ生命保険の限度額は1000万円、下取りの場合は1300万円となっている。かんぽ生命は゛小口・無診査・月掛け゛を特徴とした生命保険である。ここで議論したいのが無診査という部分である。通常民間生命保険に加入する際、一定保険金額を超える契約引受け(1000万超程度)に対しては、嘱託医、産業医、健康保険証明書、人間ドッグ、健康面接など、契約内容、保険金額、年齢、既往症などなどにより、様々な危険選択をしている。危険選択とは、まぁ、被保険者に対して大変失礼な単語ではあるが、保険契約を引き受ける側としては大変重要な手続きなのである。一方、かんぽ生命は被保険者から告知書といって、健康状態についての確認を取るだけで危険選択としている。
預金は三角、保険は四角。図に描くとわかりやすいのだが、保険の場合、一度だけの保険料を支払おうが、5年支払おうが保障は同じ。契約と同時に被保険者が死亡すれば、保険金を支払わなければならない。一度の保険料でも、だ。だから、被保険者の健康状態を査定するのである。査定の結果、問題がなければ普通決定。契約どおりの引受けとなる。一方、何らかの危険要素が確認される゛体況゛の場合、通常保険料に特別保険料を上乗せする、一定期間の保険金減額を行う、不担保部位を設けるなど、条件付での引受けを了承してもらう、場合によっては謝絶体といって(大変失礼な表現であるが)契約引受けをお断りするなど、いろいろとややこしいのだ。
しかし、この危険選択を怠ると、正常な保険数理に対して引受けてはいけない契約が混在し、公平性が保てなくなる。健康体の人とそうでない人との差異を設けることで、勘定全体の公平性を維持しているのだ。問題はかんぽ生命保険会社にそのノウハウがあるのかということだ。ゆうちょ銀行議論でも運用ノウハウが議論されるところだが、保険の場合は運用ということでは済まされない。一回の保険料でも死亡保険金を支払える危険選択が必要である。
民間生保に比べてかんぽ生命のほうが査定が甘いという風評が立ったらどうなるか?既往症のある方などが窓口に押し寄せ、かんぽ生命に加入するだろう。一時的に営業実績は上がるだろうが、危険度の高い契約ばかりを引受けて公平な勘定を維持できない。預金を返すのではない、保険金を支払うのである。この現象を顧客による゛逆選択゛という。逆選択のターゲットになることは保険会社としては重要な問題、生死を意味する。
かんぽ生命の健全運営は、顧客を守るという意味で最優先されなければならない。政府案が提出されても、まだまだ議論を進めていかなければならない。