クールとは、「イケてる」「カッコいい」ということ。
14歳のケイラは、Youtubeに自分のチャンネルを作り、「自分らしくなるには」「自信を持つには」といった自己啓発的なメッセージを発信しています。
しかし、視聴する人もチャンネルに登録する人もほとんどいない。
現実のケイラは、生徒同士の投票で「学年で最も無口な子」賞に選ばれるような子で、学校には話をする人もいないようです。
イケてないわけです。
同級生の誕生日の水着パーティーにしかたなく行きます。
お腹はぼてっとしてて、水着から肉がはみ出てる。
ボー・バーナム監督はケイラのイタい水着姿を強調して撮っています。
それでも、学校でその同級生の女の子に話かけますが、まるっきり無視。
スクールカーストの最底辺なわけで、見ててつらくなります。
『エイス・グレード』のHPには、オバマ前米大統領が2018年の年間ベスト映画に選出、モリー・リングウォルドは「思春期を描いた映画の中で、過去最高かもしれない」と大絶賛しているとあります。
オバマ前大統領やモリー・リングウォルドの中高生時代がケイラみたいだったとは思えませんが、学校が楽しくない、親しい同級生がいないという学生生活を過ごした人は多いのかもしれません。
クールでなければならない、しかし私はクールではない、ダメ人間だと思って、しんどい思いをしている人が少なくないのでしょう。
ケイラは父親と2人暮らし。
父親は干渉しすぎではありますが、娘をとにかくほめる。
6年生の時のタイムカプセルには2年後の私へのメッセージがあり、学校を楽しみ、友達がたくさんいて、恋人もいるかも、という自分の声を聞く。
現実はまったく違ってる。
ケイラはそのタイプカプセル、つまり夢と希望を燃やしてしまいます。
タイムカプセルを燃やしながら、父親に「私が母親になって、娘が私みたいだったら悲しいと思うだろう」と言ったら、父親は「ケイラのような子がいて幸せだ」とか、「誇りに思っている」とか言ってほめまくる。
100%受け入れているわけです。
それで『エイス・グレード』の終わり方もすんなり納得。
池谷裕二『できない脳ほど自信過剰』に、しつけについてこんなことが書かれています。
たとえばドアを開けることは、開けないと外に出れないから、イヌやネコもドアを開ける。
しかし、ドアを閉める行為は自然には身につかない。
ドアを閉めることはマナーだから。
おもちゃを片付ける、歯を磨く、挨拶をするなどを身につけるためには、人に「こうしなさい」と教えてもらわないといけない。
だから、しつけは必要。
しつけには「ほめる」(強化)と「叱る」(弱化)の2つの方法がある。
① ほめるだけ。
② 時にほめ、時に叱る。
③ 叱るだけ。
どれが一番効果があるか。
ネズミを使った実験で、迷路を右に行くようにネズミに学習させるため、右の道の先にチョコレートを置く方法(強化)と、左に進んだら電気ショックを与える方法(弱化)を行う。
結果は、チョコレートを使うだけの場合がもっとも学習成績がいい。
次が強化と弱化、チョコレートと電気ショックの組み合わせ。
電気ショックだけだとほとんど学習できない。
叱ると、探索しようという意欲、つまり自発性が減ってしまう。
人間の感情とネズミの実験とを一緒にしてはいけませんが、ほめることの大切さを思いました。
もう一つ、8年生ということは中学2年なのに、来年度は高校に入るとはどういうことなのかと不思議に思いました。
ネットで調べると、アメリカの小中高は学区によって異なっているが、一般的には6・2・4制で、1年から5年までが小学生、6年から8年が中学生、9年から12年が高校生なんだそうです。
ケイラ役のエルシー・フィッシャーのインスタグラムを見ると、そんな太っているようには見えません。
『エイス・グレード』のためにクリスチャン・ベールのように肉体改造したのでしょうか。
合意の上のセックスだったろ、いい加減にしろよ!ということでしょうか。アンタこそ妻子ある身で就職セクハラしてたんだから、どのツラ下げていけしゃあしゃあとしゃべってんだよと私はムカつきました。
性犯罪の更生プログラムといえば、NHKさんがETV特集で6月に紹介してました。住職さんは視聴されましたか?
https://togetter.com/li/1364417
認知行動療法は、古典的な学習理論に基づいた行動療法から、認知療法を巻き込み、さらに第三世代に到っては上座部仏教系の瞑想を取り込んでマインドフルネス療法も生み出しましたが。
住職さんがあげられている教育分野における実践的な応用。「ほめる」という報酬を与えることによってその行動を強化するということと、「しかる」という正の罰を与えることによって、その行動を弱めるという手続きではどちらが効果があるか。
しかることを教育の柱にすることは弊害が多いという心理学者が多いですね。(まあ、正の罰は効かなくなる、耐性ができちゃうってことですけど)
刑務所でも従来のスケアードストレートプログラム。つまり、脅しや恐怖によって反省させて再犯を防ぐというより、認知行動療法にもとづいたプログラムのほうが効果があるんじゃないか、と。
しかし、このNHKの番組を見てると、なかなか再犯を抑止するのって難しいんじゃないかと思いましたね。
私が死刑廃止運動に関わる人に持つ思いは、もっとこういった心理療法の中身を真剣に考えて欲しいなあということなのですね。
どちらにしろ↓の記事を読むと、合意だという主張には無理があると思いました。
https://www.bengo4.com/c_18/n_9886/
しかし、高裁か最高裁でひっくり返るのではと危惧しております。
ゴーンさんは日本では公正な裁判を受けられないと言ってるそうですね。
小川榮太郎さんは本当に山口さんは冤罪だと思ってるんでしょうか。
はすみとしこさんの頭の中はどうなってるんでしょうか。
そこらも気になります。
池谷裕二さんの本にダニング=クルーガー現象について書かれていました。
できない人ほど「自分はできる」と勘違いしている傾向がある。
①能力が低い人は、能力が低いがゆえに、自分がいかに能力が低いかを理解できない。
②能力の低い人は他人のスキルも正しく評価できない。
③だから、能力の低い人は自分を過大評価する傾向がある。
七慢をまとめた感じですね。
自分では強化をしている、弱化はしていないと思っても、妻や子供は弱化ばかりだと言ってるかもしれません。
はたして自分は人から見てどんな人間なのか、自分は「常に正しい」人間かもしれない、ということを最近強く思います。
そんなことを考えるとドツボにはまりますけど。
ネットでこんな記事を見ました。
https://toyokeizai.net/articles/-/321728
好きで性犯罪者になる人はいません。
どうしてそういう性向になるのかと思います。
あの~ひと~は 行って行ってしまった
じぶんジェットで 行って行ってしまった
もう帰らない~♪
飛んでイスタンブール 金の力でセーフ だから持ち逃げしても 蜃気楼真冬の夢 そんでイスタンブール トランジットでホーム オレだけのパラダイス♪
住職さんご引用の東洋経済オンライン。コメント欄を見ると「看板に偽りあり」とか「データのとり方がー」とか「岡本真夜ってハイヒールモモコ似てる」とか中味に踏み込まないものばっかり。降りかかる火の粉を払うって感じですかね。「なかにはWIN-WINならいいじゃないか」とか。
いかりや長介氏の口を借りて。
「ダメだこりゃ~」
なるほど、批判的なコメントが多く、それに「いいね!をする人が多い。
依存症にしても、犯罪にしても、他人事と考える人が少なくないと思います。
前にも書きましたが、死刑について話し合う会で、ある坊さんに「自分や家族が加害者になったらと考えてほしい」と言ったら、「死刑になりたくなければ悪いことをしなければいい。子供には悪いことをしないように教育すればいい」という答えでした。
これには驚きました。