三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

斉加尚代『教育と愛国』(2)

2022年12月28日 | 

新しい歴史教科書をつくる会は2つのグループに分裂し、自由社と育鵬社によって歴史教科書が出版されています。

斉加尚代さんは育鵬社教科書代表執筆者である伊藤隆氏(東京大学名誉教授)にインタビューしました。

――歴史から何を学ぶべきですか?
「(歴史から)学ぶ必要はないんです」
――それは、かみ砕いて言っていただくと。
「学ぶって、何を学ぶんですか。あなたがおっしゃっている、学ぶって」
――たとえば、日本がなぜ戦争に負けたか
「それは、弱かったからでしょう」
――育鵬社の教科書が目指すものは何になるわけでしょうか?
「ちゃんとした日本人を作るっていうことでしょうね」
――ちゃんとしたというのは?
「左翼ではない。昔からの伝統を引き継いできた日本人、それを後に引き継いでいく日本人」「いまの反政府のかなりの部分は左翼だと思いますけども、反日といってもいいかもしれませんね」


斉加尚代さんはこのように感想を述べています。

伊藤氏をインタビューした後、ある考えが浮かんだ。「育鵬社」の教科書は〝歴史を学ぶ〟のではなく、国家にとって歓迎すべき〝道徳を学ばせよう〟としているのではないかと。これは戦前の教育勅語を「国民の道徳の基盤になった」と肯定的に取り上げる唯一の教科書であることとも符合する。


興味深いのが加藤陽子さんへの言及です。

伊藤氏は、自らが少しずつ修正していったという山川出版社の高校日本史の教科書が、退官と同時に執筆を引き継いだ東大教授の加藤陽子氏によって元の記述にどんどん戻ってしまったと嘆いていた。「彼女はぼくが指導した、とても優秀な学生だった。だけど、あれは本性を隠していたな」と少し怒りを含んだ声で語った。

2020年、日本学術会議の会員に推薦されながら、菅義偉首相によって任命を拒否された6人の一人が加藤陽子さんです。
会員になれなかったのは伊藤隆さんの影響があるのでしょうか。

2012年2月、安倍晋三氏が、政治によって教育を変える、と踏み込んだ発言をする。
育鵬社の教科書を推奨する日本教育再生機構(日本会議のフロント組織)主催の会で、松井一郎大阪府知事と並んで語った。

「教育目標の一丁目、一番地に道徳心を培う」「私はいまから約19年前、衆議院に出るときに政策の目標として道徳教育を復活するというのを出して、教育基本法を変えることによって実現することができました」
「首長が非常に教育について強い信念を持っていれば、その信念に基づいて教育委員を替えていくんですよ」

道徳教育や愛国心教育をと主張する安倍元首相たちが統一協会とべったりとはお笑いです。
https://okiron.net/archives/2584

中学校の道徳教科書に新規参入した日本教科書が教育再生首長会議で配布した案内文書には、顧問 八木秀次、代表取締役社長 武田義輝とある。
武田義輝氏はヘイト本を出版する晋遊舎の代表者である。

『教育と愛国』には、維新による大阪の公教育の破壊が記されています。
橋下徹氏たち維新が公教育をダメにしたことに怒りを覚えました。
3年連続定員割れの高校は廃校にするんですから。
クビにすると人事で脅す、ネットで煽り立てるなど、強権政治を行う。

大阪では新型コロナウイルスによる死者が多かったのは、公立病院の統廃合、保健所の廃止、職員の削減を行なったためです。
大阪に住む私の知人がコロナに感染し、40度近い熱、ハンマーで頭を殴られるような頭痛に動くこともできず、少し楽になって救急車を呼んだら、病院はいっぱいで入院できませんとの返事だったと言ってました。
大阪府民はそれでも維新を支持してるし、橋下徹氏の影響力は今も大きいのが不思議ですし、

前川喜平さんはこう語っています。

民主主義って、ひとりひとりが自分で考えて冷静に判断するという前提でできている仕組みだと思いますが、それが効かなくなって、プロパガンダや扇動で大衆を動かして、その多数の支持が得られればそれが正義なんだという考えが出てきているのは非常に危ない。数は力だ、力は正義だという考え方ですね。ひとりひとりが違っていいんだという考え方ではなくて。
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斉加尚代『教育と愛国』(1)

2022年12月20日 | 



斉加尚代『教育と愛国』というドキュメンタリー映画が面白かったので、本を読みました。
といっても、映画の書籍化ではなく、2017年7月に放送された『映像17教育と愛国』を書籍化したものと大阪の公教育の報告です。

教育への政治介入が露骨に行われていることに驚きました。
教科書会社への政治圧力もかなりのものです。
教科書会社の大手である日本書籍が、2001年の歴史教科書に慰安婦問題を取り上げたため、採択する学校が激減し、2004年に倒産した。

新しい歴史教科書をつくる会の運動の影響である。
教科書会社は検定に通るために国の意向を忖度するようになった。

学び舎の中学生用教科書を採択した中学に、日本会議の指示で「反日極左の教科書を採択するな」という抗議ハガキが大量に送られた。
学び舎は中学校の歴史教科書から消えていた日本軍慰安婦の記述を政府の公式見解に沿って復活した。
慰安婦問題に言及している点が抗議の最大の理由として挙げられる。
麻布中学校には200枚以上。

実名を書いている中に松浦正人防府市長の名前があった。
松浦市長は抗議ハガキを20~30通送ったことを認めた。

――学び舎教科書は読んでいますか?
「ああ、ああ、この学び舎というこの学校ですか、この会社ですか・・・まあ、ちょっと偏った事柄が書いてあるという情報は耳にしました」
――読んでらっしゃいますか。
「読んだというか見たという程度でしょうね」
――表紙を?
「まあ、あの、まあ・・・これは私の知り合いのとても尊敬する方から、こういうようなことで運動を展開していきたいので、協力してくれませんか、という依頼があったので」

にこやかに、そしてそれがどうしたという感じで自信たっぷりに語っています。

ちょっとうれしいことが放送後にありました。
番組放送の2か月後の2017年9月、防府市議会が自民党の市議によって提案された市長に説明を求める決議案を賛成多数で可決した。

教科書採択をめぐり学校へ抗議ハガキを送りつけたことに対し、「行政に対する不信や議会との信頼関係の悪化、さらには教育現場の混乱を招くものであり、ひいては防府市全体の品位をおとしめるものである」と説明責任を問いただしていた。


この決議の3か月後、松浦市長は次の市長選には出馬しないと表明した。

しかし議会で再度、説明を求められると、「謝罪するたぐいの話ではない。ハガキの文面は『お願い文』で、『抗議』と受け取られているならば、私の真意を理解されていない」と反論した。


大量の抗議ハガキ、電話、メールなどのイヤがらせ行為はテロみたいなもので、教科書会社や学校を萎縮させます。
関東大震災の朝鮮人虐殺、あるいは張作霖爆殺事件の主犯は河本大佐だといったことが教科書に書いてあれば、反日教科書として攻撃されることがあるかもしれません。

渡嘉敷島での集団自決の生き残りである吉川嘉勝さんは当時6歳だった。
村長の合図をきっかけに手榴弾などによる自害、殺し合いがあり、犠牲者は330人。
吉川嘉勝さんが生き延びたのは母親の言葉だった。

母親は方言で「その手榴弾捨てろ。人間は生きられるまでは生きるべきだ。死ぬのはいつだってできる。兄さんは子どもをおんぶして逃げるけん、兄さんを追いなさい」ということを叫んだ。

母親は学校に通ったことがなく、天皇とお国のために命を投げだせと教えた皇民化教育を一切受けていなかった。つまり無学だったからこそ、生きることの大切さを心から感じ、軍民一体となって自決することの矛盾を突くことができた。


吉川嘉勝さんの考える教育とは。

上から教え込んでいくようなものは道徳ではないと思う。(略)子どもたちひとりひとりが主体的に判断できるような、考えきれるような子どもたちを育ててほしい。(略)主体的というのは、「だが、しかし・・・」と、自分の頭で考えられる子。


東京都大田区では2011年に育鵬社の歴史と公民の教科書が採択されたが、4年後に東京書籍に戻った。
元教育委員長の櫻井光政弁護士の話。

レベルの高い教科書っていうのは、僕は自分が教育委員のときは、やはり教科書を見るときに、できる子だけが分かる教科書ではダメなんだけれど、できる子が、この教科書を使って勉強しようと思ったときに、かなりのところまで連れて行ってくれる教科書がいいなって思うもんですから。学問的な深さとか、そういうのは大事だなというふうに思いました。


学び舎の教科書は「自分の頭で考えられる子」に「かなりのところまで連れて行ってくれる」のかもしれません。
学び舎の教科書は超難関とされる国立、私立の中学校を中心に約40校で採用されている。
そうした学校では、生徒は言われなくても勉強するだろうし、幅広い視点から歴史を見ることに興味を持つような生徒が多いという気がします。
http://toi.oups.ac.jp/16-2wada.pdf

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刑務所の民営化

2022年12月11日 | 

シェーン・バウアー『アメリカン・プリズン』の原著は2018年の出版。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488003944
ルイジアナ州の民間刑務所ウィン矯正センターで刑務官として2014年11月から4か月勤務した記録と、18世紀から1970年代までの囚人の奴隷労働の歴史が書かれています。

坂上香『Lifers ライファーズ』『トークバック』を見て、アメリカの刑務所は日本よりもずっとましだと思ってました。

誤解だったようです。

全米で150万人の受刑者がいて、拘置所なども含めると220万人。
ということは、アメリカでは約150人に1人が受刑者です。
そのうち民営刑務所に13万人が収容されている、

ウィン矯正センターはルイジアナ州から受刑者1人あたり1日34ドルの委託費を受け取る。
公営刑務所では52ドル。

ウィン矯正センターを運営するコレクションズ・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)は収益をあげることしか考えていない。
人件費と医療費を削る。

刑務官の時給は9ドルで、勤務時間は長い。
ある公営刑務所の時給は12.5ドル、
州矯正局は賃上げを指導するが、CCAは無視。

ウィン矯正センターでは、44人収容の大部屋が1翼に2つあり、1棟に4翼ある。
慢性的な人手不足のため、1棟に刑務官2人しか配置されないので、1人あたり176人の受刑者を丸腰で監視しないといけない。
ほとんどの受刑者が更生プログラムや作業をしていないし、運動場は使われていない。

民営刑務所は公営刑務所より傷害事件が多い。
ある刑務所は、受刑者同士の暴行が3倍、受刑者から職員への暴行が4倍に増えた。
1月と2月で12人が手製の刃物で刺傷された。
2014年度、ウィン矯正で550件近い性犯罪が発生。
職員による性犯罪もある。

刑務官は受刑者からいつも脅され、いつ刺されるかわからない。
刑務官の3分の1がPTSDに悩まされる。
自殺率は一般市民の2.5倍、平均寿命は約10年短い。

受刑者の1割に深刻な精神症状がある。
4分の1はIQ70未満。
40%近くが糖尿病、心臓病、喘息などの慢性疾患をわずらい、約6%はエイズやC型肝炎。
CCAは不正で処分された医師を雇う。
ろくな診察、治療はしないし、入院や手術の費用はCCAが出すことになるので、なるべく入院させない。

アメリカでは囚人を奴隷労働させてきた歴史がある。
18世紀イギリスでは窃盗(魚の密漁、銀のスプーンを1本盗むも)でも死刑になった。
死刑にするより植民地のアメリカで囚人を働かせるほうがいいことになった。

アメリカ独立後も囚人は道路工事、綿花畑、サトウキビ畑、炭鉱などで鎖や足枷につながれて働かされた。
囚人を代理看守にする刑務所もある。
ちょっとしたことで残酷な懲罰を加えた。
奴隷はお金がかかっている資産だが、囚人がいくら死んでも代わりがいる。
受刑者の奴隷労働は州によっては1970年代まで続けられました。

2016年、マザー・ジョーンズ誌にウィン矯正センター潜入ルポが掲載された。
この記事は大反響となり、CCAや民営刑務所に厳しい目が向けられた。
オバマ政権の司法省は連邦刑務所の民間委託を取りやめると発表した。
CCAは株価が下落し、社名を変えている。
しかし、トランプ政権になると民間委託の取りやめが覆された。
民営刑務所はどこも似たり寄ったりなのでしょうか。

日本でもPFI方式による半官半民の刑務所が4施設あります。
聞くところによると、民間人は受刑者に対して検身や調査・懲罰の処分といった秩序を維持することに関わる業務はできないそうです。

岸本聡子『水道、再び公営化!』を読んですぐ、宮城県が水道運営権を売ったということを知りました。

宮城県が水道運営権を10億円で売却 全国初
宮城県は6日、水処理大手「メタウォーター」(東京)など計10社でつくる「みずむすびマネジメントみやぎ」(仙台市)に上下水道と工業用水の運営権を一括して売却する契約を結んだ。全国初の事例で、来年4月からスタートする。
20年間の期限付き、対価10億円で売却したのは、県企業局が所有し仙台市など17市町にまたがる「仙南・仙塩広域水道」など9事業の運営権。県は引き続き施設を保有し、水質検査や管路の維持管理などを担う。
村井嘉浩知事は同日の記者会見で「水道料金の急激な値上がりを少しでも抑えるのが狙い。最終的な責任は県にあり、水質や経営状況をチェックしていく」と述べた。(産経新聞2021年12月6日)

https://www.sankei.com/article/20211206-E7DQ47PLYVJK5GL4RDIHO4Q6BY/
バカとしか思えません。

『水道、再び公営化!』によると、パリ市など33か国、267の民営水道事業が再公営化されています。
公営なら配当は不要だが、民営化すると株主への配当を払わないといけない。
収益をあげるために、サービスの質の低下、水道料の値上げ、設備投資をしない、人員削減などをする。
不明瞭な契約、金銭の不透明さの弊害が明らかになっている。
非上場企業の多くは財務諸表を開示しないので、不正があったとしてもわからない。
https://mainichi.jp/articles/20200411/ddm/015/070/005000c

水道事業以外でも、警察、消防、教育、そして矯正施設などの公共サービスはもうかればいいというものではありません
日本は時代遅れになった新自由主義政策を今ごろ行なっているのです。

(追記)
イギリスのテムズ川の汚染が深刻化しているそうです。
水道事業が民営化され、水道会社が株主に巨額の配当を支払う一方、インフラへの投資を怠ってきたためだと批判されています。
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反マスクとエボラ出血熱陰謀論(2)

2022年12月05日 | 陰謀論

上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』は世界のあちこちに行って、現地の人が食べているものをリポートする番組を書籍化した本です。

リベリアの首都モンロビアの市場で猿やコウモリの肉を見かけて驚く。
https://www.tv-tokyo.co.jp/hyperhard/article/?id=019873

2014年から2015年の1年間、リベリア、ギニア、シエラレオネを中心にエボラ出血熱が流行し、死者は1万1千人以上だった。
リベリアでは2014年から2016年に症例数が10675人、そのうち4809人が死亡し、致死率45%。
エボラ出血熱には予防ワクチンも治療薬もない。

大流行の原因の一つと言われているのが野生獣食文化。
野生獣の肉はエボラ出血熱のウィルスを媒介するので、野生獣の取引は禁止されている。
ところが、市場で猿やコウモリの肉を売っていた。

店のおばさんに尋ねる。

上出「エボラは大丈夫?」
おばさん「エボラなんて無いんだよ。私たちはしょっちゅう猿でもコウモリでも食べてる。エボラっていうのは、外国の連中が勝手に言ってるだけなんだから。心配いらないんだよ」

客も「エボラなんて存在しない」と言ってる。
死屍累々だった1年前の光景をもってしても、外国の嘘とする。

感染して生還した22歳の女性もエボラ出血熱を否定しています。

最初は私がエボラなんて思わなかった。突然救急車が来て連れていかれたんだ。誰かが通報したんだと思う。(略)
祖母も母も死んだ。妹も死んだ。みんな死んで、自分だけ生き残った。


どうして生き残ることができたのか。

女性「私だけは、病院で出された薬を飲まなかったんだ」
上出「拒否したってこと?」
女性「飲んだふりをして、全て捨てた」
上出「それで生き残ったの? 薬が悪いってこと?」
女性「絶対そうだよ。祖母も母も妹も、みんな医者に言われるまま薬を飲んで死んでいったんだ」


母の妹もこう言う。

エボラで死ぬなんていうのは嘘。私はエボラなんて怖くない。(略)
私は姉の看病もした。ずっと一緒にいたし、トイレの世話もしたけどなんともなかった。だけど姉は病院に連れていかれて死んだんだ。


「コロナは存在しない」と同じです。
病気そのもので死ぬことはなく、治療という名目で投与された薬剤によって死に至るということ、ワクチンを打ったら死ぬという主張とこれまた一緒。

それらが示すのは、壮大な陰謀論の存在だった。何種もの説が渾然一体となり、何がなんだかわからないまま国民は疑心暗鬼に陥っていた。西アフリカ諸国で採れるダイヤモンドや石油資源を奪うべく、先進国が軍隊を投入する正当な理由を作るためにウイルスをばらまいたとする説や、〝食人儀式のための口実(それが何を意味するのか僕にもわからない)〟のためにウイルスをばらまいたとする説など様々だが、共通していたのはエボラが〝その治療としての投薬によってのみ感染する生物兵器〟であると主張する点だ。この現象はかつて世界を凍りつかせたエイズ陰謀論とよく似て見える。ただしエボラ陰謀論がそれと違ったのは、多くの国民が迷妄に囚われて積極的かつ具体的な行動をとったことだろう。


人々が隔離施設を襲撃した。

高校が、エボラ出血熱の臨時隔離施設となっていた。ある日、スラムに暮らす数百人が棍棒などで武装し施設を襲撃。「エボラは存在しない」と口々に叫びながら、血のついたマットレスや医療機器を収奪した。この時、施設に収容されていた感染者17人は逃亡し、そのまま行方をくらませた。

日本でも神真都Q会がワクチン接種会場に押し入って逮捕されています。

リベリアはアメリカの解放奴隷が建国した国です。

アメリカラブなはずの国民も、根っこには先進国に対する深刻な不信感を抱いていることが見て取れた。被害者意識が内在化して、拗らせて強者に縋りつつ、同時にいつ裏切られるかも知れぬと怯えている。それがこの国の人々の姿なのかもしれない。

アメリカに対する日本人の複雑な感情と似ているように思います。

反ワクチンの人の中には、mRNAワクチンだけでなく、あらゆるワクチンを否定する人もいます。
天然痘や小児マヒのワクチンもダメなんでしょうか。

陰謀論者は自分の考えに都合の悪い質問には無視します。
ですから、妄想の世界に住んでいる陰謀論者を説得するのは困難です。

コロナは風邪と同じというので何の対策を取らず、ワクチンの開発もしなかったなら、スペイン風邪の流行時と同じ状態になったのではないでしょうか。

スペイン風邪の時(1918年~1920年)、世界の人口は18億人で、感染者数は6億人、死亡者はに2000万~4000万人で、致死率は3.4~6.7%でした。
世界の人間の1~2%がスペイン風邪によって死亡したわけです。
2020年9月、新型コロナウイルスの世界の致死率は3,3%ですから、スペイン風邪と同じくらい。
現在の人口は80億だから、1%が死亡すると8000万人です。

マラリアの死者は年間100万人以上だそうです。
新型コロナウイルスによる死亡者数も慣れたら何とも思わなくなるかもしれません。

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