三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

代替医療(1)

2024年04月09日 | 問題のある考え
小林製薬の機能性表示食品で腎疾患などの健康被害が発生し、死亡された方もいます。
機能性表示食品は企業が届け出すれば、国の審査がないので効果や安全性が保証されていません。
しかも、企業が健康被害を行政に報告する直接的な法令はないそうです。

以前に書きましたが、絵門ゆう子さんは乳がんの告知を受けたのに、手術や抗ガン剤治療を拒否し、大金を払って代替医療を受け続けました。
病状が悪化しても、なかなか病院を訪れることをしていません。
https://blog.goo.ne.jp/a1214/e/6920d93d7a8de481d63ae6632980d614

代替医療のどこが魅力なのか不思議で、サイモン・シン、エツァート・エルンスト『代替医療解剖』とポール・オフィット『代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?』を読んでみました。

代替医療の問題点は3つあると思います。
・効果のない治療をする
・安全性のない治療をする
・効果が検証されている治療を否定する

 ① 代替医療とは何か
代替医療とは、現代の科学によっては理解できないメカニズムで効果があると主張する治療法で、多くの科学者や医師が受け入れていないもの。

 ② 代替医療にはどんなものがあるか
カイロプラクティック、ホメオパシー、気功、ハーブ治療、アーユルヴェーダ、アロマセラピー、催眠療法、スピリチュアル・ヒーリング、デトックス、風水、レイキなどなど。
漢方、鍼灸、指圧も代替医療だそうです。

 ③ 代替医療の効果や安全性は
臨床試験でその治療が安全で有効だと証明されれば、それは代替医療ではなく通常医療になる。
効かないという結果が出れば医療ではない。

つまり、代替医療とは、
・検証を受けてない
・効果が証明されていない
・効果のないことが証明されている
・微々たる効果しかない
のどれかだということになります。

ノコギリヤシは前立腺を小さくしない。
コンドロイチンとグルコサミンは関節痛の治療にならない。
ニンニクとコレステロール、イチョウと認知症とは無関係。
指圧は通常のマッサージと同等の効果しかない、などなど。

 ④ 代替医療はどんな害があるか
有害なものを摂取して健康を損ねたり、有効な治療を受けずに命にかかわることがある。

カイロプラクティックスの施術で動脈が裂けたり、マヒを起こすことがある。
鍼でウイルス感染が起きたり、肺や肝臓や心臓に刺さることがある。
メガビタミン(ビタミンを大量に摂取する)でガンや心臓病のリスクが高まる。
ビタミンは人間に必要だが、普通の食事で十分。
栄養サプリで出血、精神障害、心臓の不整脈、脳腫脹が引き起こされることがある。

 ⑤ なぜ効いたと思うのか
病気はよくなるか悪くなるかのどちらかで、時間が経てば自然に治ることもある。
なんらかの症状が出ている時に代替医療で具合がよくなれば、効果があったと思う。
百万人の1%、すなわち1万人がたまたま調子がよくなってもおかしくはない。
通常医療の薬の服用、食事や生活習慣の改善、リラックスする時間を持つなどの効果かもしれない。
医者が患者に何か言ったり、患者が何を信じるかによって、たとえウソであっても患者の状態がよくなることがある。

ハリエット・ホール「多くの病気はそのうち治り、そうでない病気もよくなったり悪くなったりを繰り返す。病気がたまたまよくなる時期にあたっていたとしても、よくなったのはそのとき使った薬のおかげだと、患者は思ってしまうだろう」

代替医療で治ったと思いこんだ人は確証バイアス(何が起こっても先入観を強めるよう解釈する傾向)を持ちやすいから、科学的根拠は重みを持たない。

私は鍼で腰痛が治ったことがあります。
しかし、原因のはっきりしない腰痛の場合、約90%は6週間ほどで大幅に改善するそうです。
腰痛の治療で何回か通ったので、自然に治ったのかもしれません。

代替医療が効果があるとしたら、その多くはプラセボ効果によるものです。
プラセボ効果とは偽薬効果ともいい、小麦粉を「薬だ」と偽って飲ませたら病気が治ったということです。

プラセボ効果の逆がノセボ効果で、偽の治療を受けた被験者の約4分の1に頭痛、吐き気、不眠、疲労感が見られる。
プラセボはラテン語の「私は喜ばせるであろう」という意味で、ノセボは「私は害をなすであろう」という意味。
通常医療の薬もプラセボ効果があるので、医療そのものの効果にプラスされる。

ホメオパシーの薬(レメディ)は原材料から抽出した母液をアルコールと水の混合液で原材料の分子が存在しないようになるまで薄める。
つまりは単なる水だから、効果はプラセボ効果以上はない。

また、平均への回帰といって、病気はよい状態の時と悪い状態があり、平均な状態になる。
だから、少しでもよくなれば、最悪の時に試したのが効いたと考える。

状態が悪くなれば好転反応(毒が排出されるなどの理由で、患者の状態がいったん悪くなってから改善するということ)だと言えばいい。
ホメオパス(レメディーを処方する人)は「適切なレメディを摂取すると、体内の毒素が排出されて、症状が一時的に悪化することがある」と説明する。
デトックス(体内から毒素や老廃物を取り除くこと)を勧める人は「毒素が出ているあいだはかえって気分が悪くなるかもしれない」と答える。
コメント (2)
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