三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、インチキ宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり、そしてそのことを日記にまとめてみたり。

鵜飼秀徳『寺院消滅』(1)

2017年04月29日 | 仏教

寺院の現況について書かれた本を3冊読みました。
鵜飼秀徳『寺院消滅』、水月昭道『お寺さん崩壊』、村井幸三『お坊さんが隠すお寺の話』です。

 寺院の現況
全国に約7万7000ヵ寺の寺院があり、そのうち住職のいない無住寺院は約2万ヵ寺。
宗教活動を停止している不活動寺院は2000ヵ寺以上と推定されている。

臨済宗妙心寺派の寺院は、2015年現在で3362ヵ寺あり、そのうち30.7%に当たる1032ヵ寺が無住状態である。

妙心寺派の無住寺院は1980年代半ばで160ヵ寺ほどだった。

井上研士氏の分析によると、宗教法人の約36%(およそ6万法人)が25年後には消滅の危機にある。


浄土宗の、過疎地寺院への調査によると、檀家数301軒以上の寺では、後継予定者がいない割合は13%、檀家数100軒以下では43%となる。


地方(特に山間部)にある寺院の空き寺化は今に始まったことではないが、深刻化して危機的な状態にある。

長崎県の宇久島は人口2330人、寺院は11ヵ寺あり、そのうち4ヵ寺は住職が不在。
活動寺院の7ヵ寺でも、住職が寝たきりだったり、後継者がいなかったりする。

尼僧も1980年代では全国に2000人以上いたが、現在は数百人程度ではないかと推定される。

年齢はおおむね70代以上で、40歳以下の尼僧は皆無だから、尼寺も消滅の危機にある。

石井研士(國學院大學神道文化学部長)の話から(鵜飼秀徳『寺院消滅』)。

戦前までは神棚と仏壇は家庭に100%あったが、今は、神棚がある家庭は40%、仏壇は50%で、東京だと、神棚のある家の割合は22%ほど。

島田裕巳『0葬』には、2013年、2人以上の世帯で暮らす30代から60代の調査によると、仏壇のある家39.2%、ない家60.8%。

独り暮らしの家だと、仏壇のない家がもっと多いと思われます。

不活動宗教法人は4500ぐらいあると言われているが、実数はもっと多く、今後さらに増えると予測されている。

2040年までに消滅する可能性がある市区町村は896ある。
2040年をピークに、日本の死亡者数は減少する。
地域が消滅していくのに、寺や神社だけが残るということはあり得ない。

 寺の収入
寺院の収入だけで維持していくことができるかどうかの採算分岐点は、村井幸三氏によると檀家400軒、水月昭道氏だと檀家300軒、鵜飼秀徳氏は少なくとも檀家200軒と、地域差はあるでしょうけど、かなり違っています。

1ヵ寺あたりの人口は、全国平均が1677人だそうで、1世帯の平均が3人家族だとすると550軒、4人家族だとすると420軒ですから、一ヵ寺あたりの檀家数は平均400軒ということになりますが、どうなんでしょうか。


村井幸三氏によると、檀家の葬儀は年間に檀家数の10%というのが目安だった。

ところが、高齢者の死亡数が減り、今は檀家数の5~7%だといわれている。
400軒の檀家だと、年間24~5件ということになる。

水月昭道氏によると、寺院の収入はお布施と年会費(護持費)。

100軒の檀家があれば、布施収入は年間300~400万円。
年会費は1軒あたり1~2万円が普通。
檀家数300軒だと1千200万円の年収となる。

もっとも、布施の金額は地域・宗派によって大きく違います。

鵜飼秀徳氏によると、東京が50万円、京阪神や名古屋がその半分、地方都市だと10万円を切るところも多い。
島根県の浄土宗寺院では、葬儀は導師が5万円、脇が3万円だが、広島に住む檀家の葬儀では20万~30万円。
陸前高田市の浄土宗の葬儀の布施相場は20万~30万円だったが、震災後は下がった。
東北では葬儀の布施相場は東京以上に高いが、法事などではあまり布施を包まない。

浄土真宗本願寺派による葬儀の平均布施金額の教区ごとの調査では、全国平均は23万円ぐらいで、東京教区が40万円超と一番高く、10万円以下は沖縄教区と鹿児島教区。(棒グラフなので正確にはわからない)

山口教区では30万円強で、東京教区に次いで多いが、隣の安芸教区では15万円と半額。

島田裕巳『0葬』によると、ある民間墓地で院号のついた戒名を調べた調査では、明治では全体に占める院号の割合は18%、大正では20%、昭和の前半10%。

院号が急増するのは高度経済成長の時代に入ってからで、昭和30年代から40年代は55%、50年代から60年代は64%、平成に入ると66%と、3分の2の人に院号がついている。
しかし、島田裕巳氏が調査した山梨県の村では、院号のついた戒名は昭和50年代から60年代は5%である。
都会では院号のインフレ化が進行し、その分、戒名料が高騰した。
戒名料の平均額は40万2000円で、20万円未満が24.7%、20万円以上40万円未満が32%、100万円以上は8.2%。
2001年の同じ調査では戒名料の平均額は38万1700円。

水月昭道氏の本にもどり、檀家数300軒だと布施収入1200万円というのは、住職の収入ではなく、寺院の収入であり、会社の売上高と同じ。

1千200万円で、教化費、本堂・境内の営繕費、光熱費、賦課金(本山への上納金)、通信費などをまかない、残りが人件費(住職の給料)となる。

水月昭道氏の寺は、門徒戸数は約150軒、布施収入は約450万円、年会費が150万円(実際は若干少ない)。

老住職(水月氏の父)の給料は年200万円で、所得税・市県民税・保険・年金などを支払うと、手取りは100万円台に下がる。

兼業せざるを得ない僧侶は、以前は学校や役場に勤めることが多かったが、今は葬儀があるからといって休めないので、公務員をしている僧侶は減っている。


平成27年度の浄土真宗本願寺派における一般会計歳入予算は56億3千万円で、前年比では4億円のマイナス、つまり収入源なので、末寺も厳しい状況にあることは間違いありません。


臨済宗妙心寺派の調査によると、住職が兼業している寺院では、布施収入ゼロが約2割、100万円以下は76%を占める。


檀家数300軒の規模となると、住職1人では葬儀・法事をこなせないので、お坊さんを雇わないといけないし、事務を支えてくれるアルバイトも必要だと、水月昭道氏は書いていますが、檀家数300軒のお寺がそ事務員を雇うほど忙しいものでしょうか。


それと、水月昭道氏の試算には寄付がないのが疑問です。

地方では数万円で葬儀一式をするところは多いが、普段から彼岸、盆、施餓鬼などの仏事や年中行事で檀家と深く係わり合いをもっている。
布施の額は少なくても、寺の寄付は進んで出す地域もあるそうです。

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神舘和典『墓と葬式の見積もりをとってみた』

2017年04月23日 | 仏教

『墓と葬式の見積もりをとってみた』(2015年)は、題名通りに神舘和典氏が墓や葬儀はいくらかかるかを実際に取材した本。

 1 一般の墓地

都立青山霊園の敷地使用料は1㎡あたり271万4千円、管理料は610円で計算されている。
2014年度の募集では、もっとも面積の小さい1.55㎡の墓地は、420万6700円。
谷中霊園では、1.6㎡の使用料が268万8000円。
多磨霊園は、1.75㎡の使用料が153万8250円。

 2 樹木葬

千葉県にある樹木葬霊園は、最初の1人が70万円、2人目からは40万円。
ペットも可で、納骨代はお気持ち。
管理費は年に5千円。
墓苑使用のほか、プレート代、名前の刻印、納骨代、戒名代、掃除代が含まれる。
最後の1人の納骨から33年後には、遺骨はみんな一緒の合祀墓に移される。
最初から合祀タイプを選ぶ場合は、1人につき50万円。

一緒に見学をした女性は、墓があるが、父親の骨壺に水がたまって骨が水浸しになっていた。

「私、なんて親不孝をしていたんだろうと、とても悲しい気持ちになりました」
そこで、土に還る樹木葬を検討しているというわけですが、どうして骨壺に水が入っていたら親不孝なのかわかりません。

品川区の樹木葬霊園では、13年間は鼻の下の土に眠り、その後10年は骨壺で安置され、合祀墓に移される。

家族タイプは4人分190万円から、夫婦タイプは2人分140万円から。
管理費はそれぞれ年間1万5千円と1万円。

都立霊園でも樹木葬の墓地が造られており、価格は安い。

樹木墓地は、木の周囲に一体ずつ遺骨を埋葬する。
樹林墓地は、共同埋葬のスタイル。

 3 散骨

海洋散骨には3つのスタイルがある。
①委託型
散骨を行う会社に委託する。
5万円前後。

②合同型

複数の家族が同乗して散骨を行う。
10万~15万円くらい。

③プライベート型

一つの家族が船を借りて散骨を行う。
20万~30万円。
ハワイやグアムで散骨するのは、30万~40万円。

散骨を希望する理由

「自然に還りたい」
「墓参りをしなくてもいい」
「低コストである」

 4 納骨堂

納骨堂は、主に4タイプある。
①機械タイプ
自動車の立体駐車場というイメージ。

②仏壇タイプ

二段に分かれていて、上段に位牌、下段に遺骨を納める。

③ロッカータイプ

銀行の貸金庫のように、遺骨がロッカーに納められている。

④墓石タイプ

墓地を室内に作ったスタイルで、室内墓地ともいわれる。

新宿にある立体駐車場のような機械タイプの納骨堂では、一基90万円、管理費は年間1万5000円。


都営霊園にも納骨堂がある。

建物内にカロートというスペースがあり、一か所に3人まで納めることができ、納骨してから20年間経ったら、合祀墓に移される。
青山霊園が60万1000円、谷中霊園が47万2000円で、管理料はない。

島田裕巳『0葬』に、2010年の調査によると、墓がある人は62.7%、ない人は35.6%で、2003年には、墓がある人73.2%で、ない人23.9%だったから、7年で墓がない人が10%も増えている、とあります。


樹木葬、散骨、納骨堂と、いろんなタイプの埋葬が生まれたのは、少子化と、人口の都市集中によって、墓地を代々継承するシステムが崩れ始めたからだと、神舘和典氏は説明します。


新宿の納骨堂には神舘和典氏の知人(40代の女性)の母親のお骨が入っている。

母親が他界して、父親が自分と妻の分を購入したが、墓参りに訪れても、そこに母親の遺骨があるとは感じないという。

(姉は)墓地にお参りしていた頃は、石に向かって手を合わせるときだけでなく、空を見上げた時にも、母が見守ってくれている気持ちになったそうです。私も同じでした。
ただ、矛盾するようですが、自分が入るお墓だったら、私自身は納骨堂を選ぶかもしれません。父がそう考えたように、自分の子どもに負担をかけたくないからです。母は、生前、子どもたちにお墓参りの負担すらかけたくなかったらしく、私の骨は海に撒いてもらいたいわ、と話していました。


負担とは何かというと、金と時間と労力でしょう。

親は自分が死んだ後も子どもに手間をかけさせたくなく、しかし子どもは手間をかけてでも親を想いたいのだ。

この神舘和典氏の言葉、すごく深いと思いました。

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河合弘之『原発訴訟が社会を変える』

2017年04月16日 | 
原発事故、国・東電に過失 前橋地裁 避難者への賠償命令
東京電力福島第一原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら百三十七人が国と東電に計約十五億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁は十七日、「東電は巨大津波を予見しており、事故は防げた」と判断、東電と安全規制を怠った国の賠償責任を認め、うち六十二人について計三千八百五十五万円の支払いを命じた。(略)
 原道子裁判長は、政府が二〇〇二年、「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が三十年以内に20%程度の確率で発生する」とした長期評価を発表した数カ月後には、国と東電は巨大津波の予見は可能で、東電は長期評価に基づき津波の高さを試算した〇八年には実際に予見していたと指摘。
 さらに、配電盤を高台に設置するなどの措置は容易で、こうした措置を取っていれば事故は発生しなかったとし、安全より経済的合理性を優先させたことなど「特に非難に値する事実がある」と述べた。
 国については〇七年八月に東電の自発的な津波対策が難しい状況を認識しており、規制権限に基づき対策を取らせるべきだったのに怠ったとして「著しく合理性を欠き、違法だ」とした。(東京新聞2017年3月18日)

しかし、3月28日、大阪高裁は関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認める決定を出し、運転差し止めを認めた大津地裁の仮処分決定をくつがえしました。

河合弘之弁護士は『日本と原発』という映画を作っていまが、映画で視覚的に訴えるだけでなく、じっくりと考えてもらうために『原発訴訟が社会を変える』を刊行したそうです。
本の中からいくつかご紹介。

・利益共同体
政府はなぜ原発を止めないのかというと、利益共同体が関係している。
電力会社は原発の建設や機材をメーカーや商社に発注する。
企業には下請け業者があり、多くの労働者が働いている。
電力会社は安全キャンペーンの広報活動を重視しており、テレビや新聞等のメディアは広告収入を得ている。
原発を受け入れた地方自治体は、電力会社からの補助金や寄付が贈られ、国からも助成金が支払われる。
メガバンクは電力会社やメディアに融資することで、原子力ムラの金融部門として機能している。
大学の学者は、電力会社から研究費や学生の就職斡旋を受ける。
官僚は、電力会社に有利な規制や指導を行う見返りとして、関連企業への天下りが用意されている。
政治家や政党には、政治資金が提供され、選挙の協力を受ける。
原子力ムラは日本の経済と政治のおよそ6割を支配するほどの利権構造である。

・自己完結型永久エネルギー構想
ウランを軽水炉で燃やし、使用済み燃料を再処理してプルトニウム燃料ができ、高速増殖炉で燃やすと、また使用済み燃料が出て、また再処理してというふに、永久に核燃料ができる。
この自己完結型永久エネルギー構想は完全につぶれているが、これをあきらめると、原発をする正当理由がない。
原発は石炭や石油と同じ、いずれなくなってしまうものということになってしまう。

・技術の進歩
「科学・技術というのは、まず発明発見がある、そしてそれが実用化される。しかし、どこかで事故や失敗が起きる。その原因を究明し検証する。それに基づいて改善をして進歩していく。その繰り返しで科学や技術が進歩してきたんだと。だから、たった一回の原発事故で諦めちゃいけないんだ」という主張がある。
これは航空機や自動車といった一般論の場合と、原発を混同する間違えた理論だ。
原発の場合、被害が無限定、場所的にも、時間的にも無限定で、不可逆な損害である。
そして、種の死をもたらす。
別の言葉で言えば、人類全体を滅ぼすかもしれない危険がある。
他方、航空機や自動車の場合は、どんなに被害が大きくても個の死にしかならない。

・地震と原発
マグニチュード4以上の地震が起きた地点と原発の所在地を示す世界地図が『原発訴訟が社会を変える』に載っています。
ネットでも同じ地図があります。
https://sites.google.com/site/hamaokareport/earth
マグニチュード4以上の地震が起きた地点にある原発は、台湾、フィリピン、パキスタンなどに若干ありますが、大量に所有しているのは日本だけです。

・想定外
2008年9月10日頃に作成された「福島第一原子力発電所津波評価の概要」という文書に「今後の予定」として次の記載がある。

ただし、地震及び津波に関する学識経験者のこれまでの見解及び推本の知見を完全に否定することが難しいことを考慮すると、現状より大きな津波高を評価せざるを得ないと想定され、津波対策は不可避。

ちゃんと想定されていたわけです。

2015年4月22日、九州電力川内原発の運転差し止めの仮処分申請を鹿児島地裁は却下し、2017年4月6日、福岡高裁宮崎支部も仮処分申し立てを却下しました。
鹿児島地裁では、広範囲に壊滅的被害をもたらす火山の「破局的噴火」をどう評価するかについても争われた。
半径160km圏内にある大型カルデラ火山が5つあり、そのうち3つの火山について、噴火に伴う火砕流が原発の立地する場所にまで達していた可能性を、九州電力も認めている。
九州電力は、巨大噴火を予知した場合は原子炉を止め、5年かけてすべての核燃料を原発の敷地から運び出すとしている。
この対策は、5年後の巨大噴火を予知した場合を前提としている。
噴火の予知に成功した例は少ないし、予知できたのは噴火の数日前のことである。
噴火を予知することに成功したとしても、核燃料を運び出すのに5年もかかっていては間に合わない。
おまけに、核燃料の避難が間に合わなかった時のことは、何も想定されていない。
ところが、原子力規制委員会は、九州電力の「火山噴火対策」を十分であると認め、川内原発の再稼働を許可した。

ちなみに原発の憲法とされる「原子炉立地審査指針」にはこう書かれている。

大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと、また、災害を拡大するような事象も少ないこと。


原発は事故の危険性だけではありません。
東芝は原発子会社の損失によって倒産の危機に瀕しています。
費用の面でも割に合わないのに、原発を推進しようとする人たちの考えが理解できません。

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「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(2)

2017年04月11日 | あやしい教え・考え

 安倍昭恵氏と西田亮介氏との対談「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」に、こんなやりとりがあります。

安倍:新しいイノベーションが生まれているし、可能性として、日本はとてもポテンシャルが高いと私は思っています。その日本の精神性が世界をリードしていかないと「地球が終わる」って、本当に信じているんです。
西田:地球が終わるんですか?
安倍:本当に色んなところに、私も主人と行かせてもらっていますが、経済や環境問題にしても、テロや戦争だったりしても、どこの国も安定してないじゃないですか。先進国で比較的安定しているのは、日本しかないと思っているんです。
日本人って、元々が善悪で言うと、すごく「善」だと、私は思っているんですね。
新幹線のお掃除みたいなものであっても、あれは日本人にとっては「まぁ、すごいね」というぐらいだけど、もう観光名所になるくらい、世界からするとすごいことで。
何故外国人がすごいと思うかっていうと、あの素早いお掃除がすごいのではなくて、瞬間的にキレイにできるぐらいしか汚さない日本人のマナーの良さに驚くっていうところもあるっていう。日本って、私はやっぱりすごい国だと、本当に思っていて。
西田:まぁ、そうですね。ただ、大抵どの国にも「すごいところ」と「すごくよくないところ」があるような気もします。
安倍:千何百年ごとに世界の文化の中心が廻ってくる。そういうことを考えても、これからは日本の時代なんですね。
西田:う~ん。


森岡正博『生命観を問いなおす』に「エコ・ナショナリズムとは、自国や自民族の文化や伝統や価値観などを世界に広めてゆくことで、環境問題が解決するというふうに考える思想のことです」とありますが、安倍昭恵氏の環境問題への関心はそういうところにあるようです。

「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」という日本中心主義、日本至上主義の考えは、平田篤胤と似ていると思います。
平田篤胤は『霊能真柱』で、地の中心に日本は位置しており、しかも「皇国の在処は、図の如く大地の頂上也」だから、天に一番近い高い所にあると主張しています。
「万の外国どもは、皇国と比べては、こよなく劣りて卑かるべき」
なぜかというと、日本はイザナギとイザナミが産んだ国だが、その際にはね飛んだ潮が固まってできたのが外国だからです。
八紘一宇、五族協和というのは、いろんな国や民族が平等ということではなく、あくまで日本をリーダーとして、他の国・民族は日本に従うという、日本中心主義です。

辛抱しきれなくなったのか、聞き役のはずの西田亮介氏がニートについて意見を述べます。

西田:ぼくは、政治の研究の他に、若年無業者の研究やっています。いわゆる「ニート」の問題ですね。
若年世代にも今、年間60万人くらい若年無業者がいるんですけど、なかなか大変ですよ。日本の失業率は極めて低くて、失業率は下がっているにも関わらず、若年無業者の数は横ばいなんです。
つまり、子供の人口が減っていることを考え合わせると、比率としては増していることになります。第一次安倍内閣の時に、若者再挑戦のための施策というのは本格的に整備され始めたのですが、やはりその後なかなか、手薄な状態が続いています。
安倍:でも、なんかこう夢を持てない世の中よりは、夢があったほうがいいじゃないですか。
西田:う~ん。「夢」の問題でしょうか。経済や政策の問題じゃないでしょうか。
安倍:私はもう、東京じゃなくて、地方がかっこいいって時代にしたいと思っています。色んなニートの人達とも話しをしたりすることもありますが、なぜニートになるかも考えなくてはいけないと思います。
西田:主にケガと病気ですね。よく「怠けた結果の自己責任だ」などと非難されがちですが、内閣府の統計などを見ると、主たる原因はケガと病気なんですよ。
だから、就労経験を持っている人が大半なんですよね。ブラック企業などに入って働けなくなって…みたいなケースもありますし。
安倍:でもそれで、ケガや病気が治ったりすれば、また気持ちが盛り上がってきて、働けばいいわけじゃないですか。
西田:まさにそれを許さない、復職したい人の気持を受け入れていない/受け入れられていないのが今の社会の在り方ということですね。

2人の話がかみ合っていないのは、安倍昭恵氏が今の日本の現実を見ておらず、夢(すべては心の持ちようというニューエイジ的妄想)の世界にはまっているからだと思います。

では、ご主人の安倍晋三氏はどうなのでしょうか。

安倍:主人自身も特別な宗教があるわけじゃないんですけど、毎晩声を上げて、祈る言葉を唱えているような人なんですね。
西田:何をお祈りされているんですか?
安倍:感謝の言葉を。
西田:それは誰に対してですか?
安倍:神様なのか、先祖なのか、分からないですけど。何か自分の力ではないものに支えてもらっていることに対しての感謝を。
西田:どこに向かって?虚空に向かってなんですかね?
安倍:分からないです。多分、自分に言い聞かせているのかもしれないけど、よく分からないです。

ネットで調べると、安倍晋三氏は「神立の水」を愛飲しているそうです。
「神立の水」は慧光塾という経営者向けのコンサルタント会社と関係があり、慧光塾の内実は宗教だとのことです。

安倍晋三氏と安倍昭恵氏は、スピリチュアル・カルトとナショナリズム・神道原理主義が基盤にあるという点では似たもの夫婦だと思います。

テロ特措法どころではない安倍首相 霊視で組閣 「四人の神」 慧光塾

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「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(1)

2017年04月08日 | あやしい教え・考え

何年か前、ある会で安倍昭恵氏が挨拶をされるのを聴く機会がありました。
挨拶の途中、言い間違いをしたことに気づいた安倍昭恵氏は、「ごめんなさい。間違えました」と謝りました。
それで私は、この人は誠実な人だなと好感を持ったわけです。

安倍昭恵氏は、貧困、差別、LGBT、女性、子供、難民、原発、平和といった人権問題や社会問題に関わり、発言しているところに共感を持てます。
しかし、その一方で、『歴史通』で「アッキーのスマイル対談」を連載していたり、森友学園問題をめぐる発言や行動にはうなずけないものがあります。

毎日新聞にこんなことが書かれてありました。

強い自然志向でリベラル色をにじませる半面、神道や伝統を礼賛し、教育勅語を唱和させる籠池氏の塚本幼稚園(大阪市)に心を寄せる。昭恵氏の行動原理は分かりにくい。
 昭恵氏から指名を受けてインタビューをしたことのある東京工業大の西田亮介准教授(社会学)は「イデオロギーや思想は感じられなかったが、直感的でスピリチュアルなものへの共感が強く、サブカル的、オカルト的なところがある不思議な人だった」と振り返る。「本人に悪意はなく、ありのままに生きているのだろうが、ある程度の政治的影響力があることを考えれば脇が甘かったと言えるだろう」と話した。(毎日新聞2017年3月24日


そこで、社会学者・西田亮介氏による安倍昭恵氏へのインタビュー(対談)である、BLOGOS編集部「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(2016年11月9日)を読んでみたら、安倍昭恵という人が何となくわかった気がしました。

「ある程度の政治的影響力がある」ということ。
松井三郎氏(京都大学名誉教授)が「アフリカにおける勿体ない実践成功例」という講演で、ケニアでエコサントイレを作ろうとして外務省と交渉したけどダメだったことを話しています。

外務省の役人はなかなか理解してくれなくてですね、えいやとばかりに、安倍夫人のところに、首相官邸に行きました。安倍夫人が会ってくれまして聞いてくれましたよ。あの人はすごいですね。その晩に首相と話をしてですね、首相からすぐ連絡が入ってですね、ぐるぐるっとまわって、今年予算がつきました。8000万円もらいましてですね。今年2つの村に入りましたけれども。あのご夫婦のホットラインはすごいですね。

エコサントイレの必要性は認めますが、鶴の一声で助成金を出す力が自分にはあることを安倍昭恵氏はどのように考えているのか。
森友学園にも「夫婦のホットライン」が使われたと思われても仕方ない。
すべて善意だとは思いますが。

「直感的」ということについて。

西田:まず、なぜぼくに興味をお持ちになられたのかということを伺いたいと思います。
安倍:「直感的にお会いしたいと思いました」っていうそれだけで。ほぼ直感で生きているので。
西田:「ほぼ」というのは、どういうことですか?
安倍:「深く考えないで」というか。何をするか考える時にも、「じゃぁ、これ!」みたいな感じで生きているので。

なるほど、と納得しました。
何も考えていないわけです。


安倍昭恵氏は自分の直感に自信を持っているようですが、直感の根拠は何かというと、「スピリチュアルなものへの共感」であり、「オカルト的」なものだという点がトホホです。

西田:麻や大麻には結構関心をお持ちになっていたんですか?
安倍:そうですね。
安倍:麻は、日本にとって伝統的でとても大事な、それこそ、神様と繋がっているもの。
谷崎:しめ縄でもそうですし、神道の儀式に必ず必要なもの。
安倍:なぜあれをずっと使っているかって、それなりに「波動の高い植物」だからだと、私は思うんです。
その神社の神事で使われている麻のほとんどが「中国産」になってしまっていて、ビニールでできたものあるんですね。それは大きな問題で、日本の根幹の神道の中で使われる麻は「国産」であるべきなんです。

どういう意味で「波動の高い植物」と言ってるのかということがありますが、物理学の用語としてではなく、スピリチュアルでの「波動」ということでしょう。
そして、「日本の根幹の神道」という発言から、安倍昭恵氏が神道原理主義者であることをうかがわせます。

森岡正博『生命観を問いなおす』によると、スピリチュアルとナショナリズムとエコロジーは重なり合っています。
安倍昭恵氏の中ではそれらは矛盾なく共存しているんだと思います。

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