三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

A・R・ホックッシールド『壁の向こうの住人たち』(5)

2023年06月28日 | 

A・R・ホックッシールド『壁の向こうの住人たち』に、トランプ登場までの舞台装置は3つの要素が重なったとあります。

ホックッシールドが話を聞いたほぼ全員がこのように語った。
①1980年以来、経済基盤が不安定になっているのを感じ、再分配という考え方が出てくるのを覚悟していた。

ティーパーティーの支持者は税金への嫌悪感を持っている。
連邦政府は自分たちから取り上げ、貧しい者に再分配する。
高すぎる税金は生活保護受給者、楽な仕事をしている公務員に無駄に使われていると不満に思っている。
貧困層(移民、難民、働こうとしない怠け者)のために税金を使われたくない。
オバマケアは社会主義だとして反対し、保険料が増えたと抗議する。

マイク・シャフはこのように連邦政府への怒りを述べます。

大きな政府には反対だ。この国の政府は大きすぎるし、強欲すぎて、無能すぎる。まるで既製品みたいで、もう自分たちのものだとは思えない。われわれは昔のアーメリーズ農園みたいな地域のコミュニティに戻るべきなんだ。


左派の怒りの発火点は、社会階層の上部(最富裕層)にあるが、右派の場合は中間層と貧困層の間にある。
リベラルはこうしたことをわかっていない。

②文化的に疎外されていることも感じていた。
自分は仕事や生き方に誇りを持つ善良な人間であり、家族を愛し、真面目に働き、国に忠誠を誓っている。
ところが、人工妊娠中絶や同性結婚、ジェンダーの役割、人種、銃、南部連合の旗をめぐる自分たちの考え方が、どれもこれも全国メディアで時代遅れと嘲笑された。

マドンナ・マッシー「リベラル派はこう思っているのよ。聖書を信じている南部人は無知で時代遅れで、教養のない貧しい白人ばかりだ、みんな負け犬だって。わたしたちのことを、人種や性や性的指向で人を差別するような人間だと思ってるのよ。それからたぶん、でぶばかりだってね」

名誉を失ったと感じた彼らは名誉の回復を願っている。

③集団としての規模が小さくなってきたような気もしていた。
白人は自分たちが包囲された少数派のように不安を感じるようになった。

横田増生『トランプ信者潜入一年』によると、白人が少なくなりつつあります。
2018年で、アメリカの全人口に占める白人の割合は60.5%、ヒスパニック系18.3%、黒人12.5%。
2045年には全人口に占める白人の割合が49.7%、ヒスパニック系24.6%、黒人13.1%となり、その後も白人の割合は減り続けると予測されている。

マドンナ・マッシー「私たちのような白人のキリスト教徒がどんどん減ってきているのよ」

白人のキリスト教徒が減って少数派になった。
多数派の地位を失えば、白人文化や伝統が崩れかねないという恐怖感がある。

共和党は白人中心の党。
トランプが2016年の大統領選挙で得た票のうち、88%までが白人票で占められている。
ヒスパニック系は6%、アジア系が含まれるその他は4%、黒人票は10%に満たない。
トランプの支援者集会でも聴衆はほぼ白人。
白人文化の守護神としてトランプが白人の支持を集めている。

労働者階級の白人が不安に思う気持ちはわかります。
移民が仕事を奪っている。
長年働いてきたのに突然解雇されることもある。
移民が仕事を奪い、英語を話す人が減っている。
自分たちの生活を守りたいだけだ。

でも、なぜトランプなんでしょうか。
貧困層のことなど考えていないのに。
ましてQアノンを信じるなんて、私には理解できません。

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A・R・ホックッシールド『壁の向こうの住人たち』(4)

2023年06月23日 | 

A・R・ホックッシールドが『壁の向こうの住人たち』で明らかにしたかったのは、ティーパーティーの支持者には中小企業の経営者や従業員が多いのに、金持ちや大企業を優遇する共和党を支持し、政府の貧困者支援に反対するのはなぜかということです。

ティーパーティーの支持者は3つのルートを通じて連邦政府ぎらいになる。
①信仰
彼らは政府が境界を縮小したと感じている。
②税金への嫌悪感
あまりに高すぎ、累進的すぎると思っている。
税金がまちがった人、とりわけ昼間はのらくらしていて、夜はパーティー三昧の生活保護受給者と、楽な仕事をしている公務員に流れている。
③名誉を失ったショック

キリスト教の信仰について。
ハロルドとアネットのアレノ夫妻が住む地域では、工場の廃液に汚染された川の魚は死に、川の水を飲んだ家畜が大量死し、人間も次々とガンになって死んだ。
ハロルドの兄弟10人とその夫や妻は全員ガンになった。

インタビューの時点でも川の水はひどいにおいがしている。

アネット「わたしたちは企業に反対しているわけではないのよ。工場が次々にできたときにはうれしかったわ。働き口が増えたんだもの。でもこの何十年かのあいだに、企業はバイユー(川)を浄化する対策をいっさいしてこなかったし、わたしたちが引っ越せるような補償もしてくれなかった」


アレノ夫妻も共和党支持者で、2012年の大統領選ではミット・ロムニーに投票した。

ハロルド「むろん、彼は実業界の大物だよ。環境浄化なんかしないさ。
共和党は大企業の味方なんだ。この土地で起きている問題を解決して、わたしたちを助けてやろうなんて気持ちはみじんもない」

ロムニーは汚れた川をきれいにするよう国に働きかけてはくれないだろうが、人工妊娠中絶の権利に反対しており、そちらのほうが重要な問題だと考える。

ハロルド「もし魂の救いが得られれば、天国へ行ける。天国は永遠だ。そこへ行けばもう、環境のことを悩まなくなる。それがいちばんたいせつなことだ」


共和党員は神と家族を大切に考える。

アネット「わたしたちはそこが気に入っているのよ」
ハロルド「わたしたちは、聖書をちゃんと尊重する候補者に投票するんだ。わたしたちは、清く正しく生きる人間になろうとしている。だから指導者にもそういう生き方をしてほしい」

つまり優先順位があって、環境保護よりも仕事、さらには信仰が優先されるわけです。

横田増生『トランプ信者潜入一年』でも、トランプの支援者集会でクリス・ケセラーは「クリスチャンだから、中絶反対は大切な政策だ」と言っています。
選挙の投票において、人工中絶に賛成か反対かが大きな決め手になるわけです。

ホックッシールドは娘が14歳で妊娠した女性に話を聞いています。

赤ちゃんを育てて「正しいおこないをした」ことは誇りに思い、この気持ちはリベラル派にはわからないだろうと思う。


中絶に反対するのは、カトリックとキリスト教福音派ですが、カトリックの約半数は中絶に反対していないそうです。
https://president.jp/articles/-/60854?page=2

ティーパーティー支持者はキリスト教福音派が多い。
有権者の26%を占める白人福音派のうち、2016年の大統領選挙では、その8割以上がトランプに投票している。

福音派の信者でも、白人と黒人とでは考えに違いがあるようです。
ミシガン共和党のボランティアをしている横田増生さんをトランプ支持者と思った民主党支持者の黒人男性ダリル(40歳)はこんなことを言っています。

「なぜ多くの白人はトランプに投票するのかな」
―宗教的な支援があると思うが・・・。
「白人福音派のことを言っているんだね。けれど、教会に通う黒人だってたくさんいるだろう。僕もその1人だ」


バイデンが大統領就任演説をした日、ワシントンDCでキリスト教福音派中絶反対のデモをしていた。
福音派のリーダーと言い合いをしていた黒人女性のサラナ・リード(39歳)。

私自身もキリスト教徒よ。宗派は南部パブテスト派。けれどこの人達が唱えているのは、聖書の教えなんかじゃないわ。白人至上主義者の教義なのよ。キリスト教徒の本質って、他人に優しくすることや、苦しいときに分け与えることでしょう。


ホックッシールドによると、教会、特に福音派の教会は環境の汚染防止について関わっていないし、牧師もそのことには触れない。
また、多くの人は、環境汚染、公害、貧困、教育水準の低さなどを変えるのは教会の役目ではないと考えている。
信仰と環境保全は矛盾しないと思うのですが。

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A・R・ホックッシールド『壁の向こうの住人たち』(3)

2023年06月15日 | 

A・R・ホックッシールド『壁の向こうの住人たち』に、1984年に作成された、企業が自社工場の建設を歓迎しない近隣住民にどう対応するかという、コンサルタント会社の報告書が引用されています。

カリフォルニア州廃棄物管理評議会がコンサルタント会社に「住民にとって望ましくない土地利用にあまり抵抗を示さない地域を見つけ出すよう依頼した。
最良策は、すでに抵抗を感じている住民の気持ちを変えようとすることではない、抵抗しそうにない住民を見つけ出すことだと指摘している。

抵抗する可能性が最も低い住民特性
・南部か中西部の小さな町に古くから暮らしている。
・学歴は高卒まで。
・カトリック。
・社会問題に関心がなく、直接行動に訴える文化を持たない。
・採鉱、農耕、牧畜に従事。
・共和党を支持。
・自由市場を擁護。

環境を汚染する企業への規制に反対するのはなぜでしょうか。
企業の戦略、州民の連邦政府に対する不満ということもありますが、ポイントはカトリック(キリスト教福音派では?)と共和党支持(自由市場)だと思います。

小さな政府とは何か、なぜ小さな政府を望むのか、横田増生『トランプ信者潜入一年』の説明がわかりやすかったです。
『トランプ信者潜入一年』は、2020年大統領選挙でトランプ支援集会に参加し、共和党選挙事務所でボランティアをして、トランプ支持者の生の声を聞いた本です。

民主党を支持する理由は、大きな政府が貧富の格差を縮めるべきだという考えがある。
共和党を支持する最大の理由は、小さな政府がある。

小さな政府を掲げる共和党の伝統的手法は、規制を緩和して税率を引き下げることだ。
政府はできるだけ経済に関与せず、税金による富の再配分にも重きを置かず、市場の自由競争に任せる。
共和党支持者の多くは、移民の流入や妊娠中絶に反対し、銃規制の緩和を求める。

2020年は新型コロナウイルス感染症が拡大した一年でもありました。
ミシガン州が新型コロナウイルスの感染防止のために自宅待機命令を出しているにもかかわらず、カール・マンキーは理髪店の営業を再開した。

アメリカ人の精神の核として、強烈な独立心があるんだ。誰にも頼らずに生きてきた開拓者精神が今もアメリカ人には残っている。

カール・マンキーの意見は理解できます。
しかし、トランプ支持者のこんな発言はどうでしょうか。

2020年1月9日、オハイオ州での集会に行く。
徹夜をしてでもトランプ支援集会に参加して、トランプを見たいという熱狂的な鉄板支持者が大勢いる。
トランプの話術は聴衆の心をつかみ、飽きさせることがない。

オータム・レンズ(39歳)に話を聞く。

18歳から約20年間、私はずっと福祉のお世話になってきたの。去年の春、工場の仕事を見つけるまではね。10月からは、ここから歩いて数分のスターバックスで働いているの。どっちが好きかって? そりゃ、スターバックスよ。だって、私はコーヒーが大好きだし、そのコーヒーのお店で働くんだから。これもトランプ大統領のおかげで景気が上向いたからだ、と感謝しているわ。

福祉に頼るほど困窮している人は、社会的弱者の味方の旗を鮮明に掲げてきた民主党を支持する傾向が強い。
福祉のお世話になったオータム・レンズはなぜ共和党支持なのだろう。

最近、再婚するまで、私1人で子ども5人を育てる間、どうしても福祉に頼る必要があったわ。でも、自分の生活費は自分で稼ぎたいじゃない。それがアメリカって国でしょう。自分のことは自分で面倒みるっていうことが。

誰かに頼るということは、アメリカでは弱さや甘えとして見下されがちである。
しかし、自分や子供たちが福祉によって生活してきたなら、社会的弱者の視点から誰に投票するか決めたらいいと思うのですが。

デービッド・カーペンター(53歳)は平日はエネルギー関連会社で働き、日曜日はキリスト教福音派の教会で牧師を務めている。

僕はオバマが掲げた保険制度には反対だった。保険は一人ひとりが自由に選ぶべきだと思っている。トランプはそれを元に戻そうとしているだろう。僕自身、去年1月に前立腺ガンの手術を受けたけれど、会社の保険があったので7000ドルの支払いだけで済んだ。保険がなければ、40万ドルかかっただろうね。

アメリカでは病気にかかったために毎年何万人もが破産する。
アメリカの保険制度には改革が必要だという証左と、日本人からすると考える。
しかし、カーペンターは違います。

どういった健康保険に入るのかは、個人的な問題だ。それを政府のお仕着せで、みんなが同じ制度に入ることには強く反対するよ。


これも驚きです。
保険に入ることができない貧困層はどうすべきだと考えているのでしょうか。
もっとも、アメリカでは民主党支持者も含め、国民皆保険に否定的な意見をもつ人は少なくないそうです。

ウィスコンシン州の集会でクリス・ケセラー(34歳)の話を聞く。

「オバマ政権では、高すぎる税金と、多くの規制やオバマケアなど、そのすべてが社会主義的な政策だった」
―高い税率と経済成長は両立するのでは。
「僕は小さな政府を支持する自由至上主義者(リバタリアン)だから、アメリカがスウェーデンのようになるのには同意できない。自分たちの決定権は、自分たちの手にあったほうがいいと考えるからだ。政府の意向が大きくなるということは、それだけ国民の権利が小さくなることを意味する。僕は、国民の権利が最大になり、政府の介入は最小限に抑えるべきだと思っているんだ」


新型コロナのワクチン接種やマスクに反対する人がアメリカでは少なくありません。

トランプの支援者のうちマスクをしている人はほとんどなく、社会的距離に注意を払っている様子もなかった。


新型コロナウイルス感染症を軽く考えているんでしょうし、感染の危険よりも個人の自由な選択のほうが大切だと考えているのかもしれません。
これは環境保護のための企業への規制に反対するのと同じです。
環境汚染をあまり気にしないことと共通するように思います。

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A・R・ホックッシールド『壁の向こうの住人たち』(2)

2023年06月04日 | 

A・R・ホックッシールド『壁の向こうの住人たち』を読んで、ルイジアナ州はアメリカの開発途上国ではないかと思いました。

共和党支持者の多い州(赤い州)では、民主党支持者の強い青い州に比べて平均寿命が5年も短い。
赤い州は低所得者や十代の母親の数が多く、離婚、肥満、トラウマ関連死、低体重児の出生数も多いうえ、就学率が低い。

ルイジアナ州はアメリカで2番目に貧しい州で、1979年に貧困ラインに満たない所得で暮らしている人の割合は19%、2014年でも18%と変わらない。
1990年から2008年にかけて、高校を出ていない年配の白人男性の平均寿命が3年短くなっている。
2015年の報告によると、ルイジアナ州は8年生の読解力が50州のうちの48位、8年生の算数は49位だった。
高校を卒業した州民は8割。
大学院の学位か専門職の学位を取得した人は7%。
児童福祉の充実度は49位で、これは人種とは関係ない。
銃の規制がゆるく、銃撃による死亡率がアメリカで最も高く、全国平均の2倍。
アメリカは人口に占める収監者の比率が世界で2番目に高いが、ルイジアナ州は州人口に占める収監者の割合が最も高く、しかも圧倒的に黒人受刑者が多い。

仕事を増やすために、州は石油会社などの誘致に努め、税制で優遇するなどしている。
ボビー・ジンダル州知事は企業を誘致して雇用を増やそうとし、法人税を削減し、産業界に16億ドルを与え、企業に10年間の免税をした。
ところが、石油産業がルイジアナ州にもたらす財政面の利益は減少した。

法人税を引き下げたため、2008年の税収7億300万ドルが2012年には2億9000万ドルに落ち込んだ。
石油に関わる鉱産税が州の歳入に占める割合は1982年に42%、いまは14%に減っている。
新規の企業は最初の十年間は非課税とされているので、社名を替えればさらに十年間の免税措置を受けられる。
しかも、企業の利益は海外や州外の本社に出ていく。

16億ドルの州予算を削減し、州立病院の民営化、公共セクターの職員3万人(看護師、看護助手、医療技術者、公立学校教師など)の解雇などをした。
高等教育の予算は8億ドル、44%も削減したので、公立大学に給付されていた助成金は大幅に減らされ、多くの授業科目や教育プログラムが廃止された。

石油関連の雇用は州全体の10%以下で、3.3%という推計値もある。
というのも、低い賃金で働く外国人労働者に雇用が奪われるから。
そして、自動化オートメーション化が進んでいるから、少人数のエンジニアと化学者、オペレーターがいればいい。

労働者の90%は平均賃金が1980年以降、横ばいのまま。
高卒の男性の実質賃金は、1970年に比べて40%減少している。

しかも、環境が悪化した。
青い州よりも赤い州のほうが高レベルの公害に苦しんでいる。

2012年、ルイジアナ州は、水、空気、土の中に、州民ひとりあたりおよそ14kgの有毒物質を排出した(アメリカ全体では約5kg)。
2013年、州別有毒物質の排出量ではルイジアナ州は6位、他州からの有害廃棄物引き受け量では3位にランキングされている。

海底油田での原油流出、化学工場での有害物質漏出、工場の爆発、掘削事故による陥没、大気汚染などが起きている。
工場廃液によって河川が汚れたために魚が食べられない地域がある。
水俣病のようなことが起きているわけです。

環境を浄化するつもりはないジンダル州知事は公害防止に使うべき予算を削減した。
デイヴィッド・ヴィッター上院議員は環境保護庁廃止案に賛成票を投じ、海と五大湖の生態系を守ることを目的とした国立海洋保全基金の設立に反対した。
開発途上国に多国籍企業が工場を作って環境破壊しているのと同じことが、アメリカでも貧困州で行われているようです。

ところが、全国的に見て、有害廃棄物にさらされるリスクの高い人ほど、それを心配していない、
1992年から2008年までにおこなわれた5回の大統領選挙で、共和党候補が勝利した22の州では、一般に、政府は経済活動に対する規制を緩和すべきだと考えられている。

深刻な公害に苦しむ人々が公害を撒き散らす企業を規制することに反対し、企業の自由な経済活動を擁護する共和党を支持している。
2010年のデータでは、有害物質による汚染が深刻な郡に暮らす人ほど、アメリカ人は環境汚染を心配しすぎていると考え、国は十分すぎるほどの対策をとっていると信じる傾向が顕著だった。

気まぐれな気象に最も翻弄されているルイジアナ州民が、声高に気候変動の影響を否定する。
税金が企業誘致に使われても文句を言わず、雇用創出と税収増のためと受け入れる。
貧しい州ほど規制がゆるやかな傾向にあり、住民がより汚染の進んだ環境で生活している。

しかし、厳しい規制を設けて環境保護に取り組んでいる州ほど多くの就職口がある。
世界の経済大国を対象にした2016年の調査でも、厳しい環境政策は、国際市場における競争力を損なうどころか、むしろ強めることがわかっている。

管理市場(政府の規制)と非管理市場(規制の撤廃を求める)のどちらかを選択するかという問題ではなく、独占企業に有利な法律に規制された市場と、中小企業に有利な法律に規制された市場のどちらを選ぶかという問題である。

環境問題は自分の健康に関わることなのに、どうして政府や企業に抗議しないのかと不思議です。

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