まばゆいばかりの真紅の果物、小さなサクランボ。山形で40年近く、野菜果物を産直する全有連も躍動する初夏一番の果物です。昨年はこのサクランボが空前の不作に見舞われました。全有連のフォトニュースでは昨年の天候の異常を「果樹だより」で刻々と告げていました。
二年前の冬、「果樹だより」では、雪も比較的少なく翌3月23日にはもうサクランボのつぼみが動き出していると報じています。一方、一昨年の同じ時期には枝折れした果樹をどう復活させるか、と心配しています。そして昨年の4月10日と17日、28日と、園地を襲った「遅霜」が米沢から天童、東根までのサクランボベルト地帯を席巻したのです。まれにみる被害でした。
一時、阿部さんは今後の果樹経営に不安を感じ「もうやめようか」と口にし始めました。
12月の年末まで待ってもらっている資材の支払いや、生活費をどう工面するか悩んでいました。年老いた母と勤めに出ている娘との3人暮らし。「毎年、天候に左右され、精いっぱい努力してもどうにもならないこともある」。思い悩む日々でした。
さしあたり、年末の生活費はりんごの売上げなどでやりくりし、資材の支払いも知人の応援で済ませようやく落ち着き、もう一度再起をかけようと決めました。「勤めに出ると、母親の面倒を見ることもできないし、農業なら合間を見て世話もできる」と。
米山が36年前天童に来て果樹を栽培している父の善藏さんと知り合い、全有連の山形地区の世話人にもなってくれた知友、親子二代の生産者です。
天候異変の中厳しい経営ですが、お父さんをしのぐ腕を持つ義明さんには頑張ってほしいのです。
正念場の春です。
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