あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

人類が存在する限り、戦争は無くならない。(自我その152)

2019-07-08 16:55:44 | 思想
人間は、いついかなる時でも、何らかの構造体に属し、その構造体で、あるポジションを得、それを自我として活動している。人間は構造体の外では活動できず、ポジションを持たずには活動できない。構造体とは、人間の組織・集合体である。自我とは、構造体における、ある役割を担った自分のポジションである。構造体・ポジション無くして自我は存在せず、自我無くして自己は存在しない。さて、構造体には、二人から成るカップルという小さな構造体もあれば、十三億人以上から成る中国という大きな構造体もある。具体的には、構造体と自我の関係は、次のようになる。カップルという構造体は、恋人という自我の人から成り、仲間という構造体は、友人という自我の人から成り、家族という構造体は父・母・息子・娘などという自我の人から成り、学校という構造体は、校長・教諭・生徒などという自我の人から成り、クラスという構造体は、クラスメートという自我の人から成り、会社という構造体は、社長・課長・社員などという自我の人から成り、店という構造体は、店長・店員・客などという自我の人から成り、日本という構造体は、日本人という自我の人から成り、韓国という構造体は、韓国人という自我の人から成り、アメリカという構造体は、アメリカ人という自我の人から成り、中国という構造体は、中国人という自我の人から成る。さて、人間は、常に、自我として、ある構造体に所属して、活動しているのであるが、自我を動かすものは何か。それは、自我自身、若しくは、自我が所属している構造体が、他者から評価されたい、認められたいという思いである。自我が他者から評価されたり、自我が所属している構造体が他者から認められたりすると、大きな満足感・喜びを覚えるからである。人間は、自我の働きや構造体の存在が、他者から、好評価・高評価を受けたり、認められたりすると、気持ちが高揚するのである。逆に、自我の働きや構造体の存在が、他者から、悪評価・低評価を受けたり、認められなかったりすると、気持ちが沈み込むのである。当然のごとく、自我は、自我の働きや構造体の存在が、他者から、好評価・高評価を受けたり、認められたりすることを目的として、行動するようになる。他者からの評価が、絶対的なものになってくるのである。来年、日本で、オリンピックが開催される。多くの日本人は、そのことを喜んでいる。なぜ、多くの日本人は、オリンピックで利益を上げられるわけでもなく、オリンピック競技に出場するわけでもないのに、喜んでいるのか。それは、世界中の人々に、自分が所属している日本という国が認められたと思ったからである。日本人という自我を持った自分が所属している日本という構造体の存在が、世界中の人々から、認められたと思ったからである。また、オリンピック球技が始まると、ほとんどの日本人は、日本人チームや日本人選手を応援する。なぜ、ほとんどの日本人は、自分が活躍できるわけでもなく、表彰される栄誉に与れる可能性も無いのに、日本人チームや日本人選手を応援するのか。それは、彼らも、自分と同じく、日本人という自我を持ち、日本という構造体に所属しているからである。彼らが、表彰されれば、日本という構造体が、世界中の人から、認められると思うからである。そして、現在も、日本政府は、尖閣諸島、竹島の領有権をめぐって、中国政府、韓国政府と争っている。ほとんどの日本人、中国人、韓国人は、自国政府を後押ししている。なぜ、日本政府・日本人、中国政府・中国人、韓国政府・韓国人は、無人島で経済的価値も無い尖閣諸島や竹島の領有権をめぐって、争うのか。それは、その島々や島を失うと、自らが所属している日本、中国、韓国という国の構造体の存在を、世界中の人々から、疎んじられると思うからである。現在、尖閣諸島や竹島の領有権争いは小康状態にある。しかし、いつ再燃するか予断を許さない。そして、それが、戦争に突入する可能性は常にはらんでいる。尖閣諸島や竹島の領有権争いは、自分が属している国という構造体の存在を、世界中の人々から、認められたい、疎んじられたくないという思いが原因だから、解決が付かないのである。これが、愛国心の正体なのである。オリンピック招致の喜びも、自国のチームや選手の応援も、領土争いも、皆、自分が所属している国という構造体を世界中の人々から認めれたい疎んじられたくないという愛国心から、発しているのである。愛国心は、どの国民にも、自我として、存在するから、国同士の戦争は、地球のどの地域でも起こる可能性はあるのである。また、現在、世界の至る地域で、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教などという宗教を信仰する自我を持った人たちが、キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒などという構造体の存在を、世界中の人々から認めてもらおうと思い、戦争している。さらに、アメリカでは、白人という自我を持った人々が、アメリカを白人だけの構造体にしようとして、有色人種を差別し、時には、黒人を虐殺する。ヒットラーは、ゲルマン民族という自我を持ち、その優越性を主張し、ドイツをゲルマン民族だけの構造体にしようとして、ユダヤ人やロマを虐殺したのである。このように、国、国民、宗教、教徒、人種、民族などという構造体・自我が戦争の原因になっているのである。しかし、これらの構造体・自我が、人間を動かし、行動の指針にもなっているのである。つまり、人類が存在する限り、戦争は無くならないのである。