あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

日本、滅びの国へ(その2)「似非右翼の幼児性」

2017-02-07 18:13:43 | 思想
日本人ならば、誰しも、日本に対する愛情、つまり、愛国心を抱いている。愛国心を大仰に語る人が、時々、見受けられるが、そんな大げさなものではない。誰しも、国家間の競争が激烈を極めている近代社会において、自らの存在が不安だから、自らはある特定の国に属しているという自我を持つことによって、その不安から免れようとしているのである。だから、愛国心とは、ある特定の国に属し、その国の人間だという自我を持っている者の普通の感情である。アメリカ人ならばアメリカに愛国心を抱き、中国人ならば中国に対して愛国心を抱き、韓国人ならば韓国に対して愛国心を抱き、ロシア人ならばロシアに対して愛国心を抱いているのは当然のことである。。トランプ大統領が、「アメリカ第一に考える」と言ったのは、完全なる愛国心の発露である。つまり、愛国心とは、エゴなのである。だから、愛国心を無反省に追求すれば、国家間の戦争に帰結する。だから、トランプ大統領は危険なのである。無反省に言動する人間を子供と言う。トランプ大統領は、子供である。日本にも、「子供は正直だ」や「子供は風の子」などの慣用句がある。子供の言動、つまり、幼児性が評価されている。子供は、大人と違って、深謀遠慮なく、自分の心のままに発言し、寒い風の外で活発に遊ぶから、評価されているのである。だから、トランプも、大統領に成れたのである。トランプの幼児性、つまり、深謀遠慮のない、無反省の愛国心の発言が、アメリカ国民の深謀遠慮のない、無反省の愛国心を揺り動かしたのである。さて、自らをある特定の国に属し、その国の人間だという自我を持っている者、つまり、愛国心を抱いている者は、例外なく、理想の国のイメージ、つまり、国の理想像を持っている。だから、国の理想像が多々あるのは当然のことなのである。ところが、日本の似非右翼は、自らの理想像と異なった、国の理想像を持っている者たちに対して、「反日」、「非国民」、「売国奴」などと罵詈雑言を浴びせ、挙げ句の果てには、「日本から出て行け」とまで言う。彼らもまた、深謀遠慮のない、無反省の、幼児性の愛国心を抱いている者たちなのである。さらに、似非右翼は、アメリカの力を借りて、中国、韓国、北朝鮮、ロシアに対抗しようとしている。確かに、中国、韓国、北朝鮮、ロシアは、全て、傲慢、卑劣な国である。しかし、アメリカも、その例外ではない。傲慢、卑劣さにおいては、それらの国に、決して、劣っていない。似非右翼は、そのアメリカの力を頼ろうとしているのである。そして、米軍基地の反対運動の先頭に立っている沖縄県の翁長知事を罵倒するのである。「虎の威を借る狐」とは、「権勢を持つ者の力に頼って威張る小人物」のたとえとして使われる慣用句だが、似非右翼とは、アメリカという虎の威を借る狐である。右翼の風上にも置けない者たちである。真の右翼ならば、真の愛国心を持った右翼ならば、自らの命をかけて、どの国にも頼らずに、日本の独自性そして独立性を守るために、言動するはずである。似非右翼の言動の通りに、日本が進めば、日本は、世界で最も卑劣な国になる。アメリカという虎の威を借る狐だからだ。いや、実は、既に最も卑劣な国なっているのである。日本は、太平洋戦争の敗戦後、アメリカ軍によって占領されていたが、多くの国から、1951年9月、独立が承認されることとなった。しかし、それと同時に、日米安全保障条約を結び、実質的に、アメリカ軍によって占領が続くことになったのである。日米安全保障条約には、アメリカ軍は、日本のどこにでも基地を作ることができ、いつでも、どこでも、飛行機を飛ばすことができ、日本はアメリカ軍の所有物を捜査できず、アメリカ軍人の勤務時間内の犯罪はアメリカの方で裁くように規定されている。つまり、現在も、日本は、アメリカ軍に占領されているのである。政治家やマスコミは、例外なく、日米関係を同盟関係と呼んでいるが、決して、同盟関係ではない。主従関係である。日本は、アメリカの家来である。この主従関係を消滅させるにはどうすれば良いか。言うまでもなく、日米安全保障条約を廃棄して、真の同盟関係を築くべく、新たな平和条約を結ぶことである。そして、日本軍や日本人が、太平洋戦争中において、中国、韓国、北朝鮮などのアジア諸国において、行った犯罪を謝罪し、平和条約を結び、友好関係を築くべきである。いつまで、日本は、距離的に最も近い、中国、韓国、北朝鮮と喧嘩しているつもりなのだろうか。無人島の尖閣諸島や竹島を巡る攻防など、まるで子供の喧嘩である。従軍慰安婦は、軍隊が直接に関与したかどうかが問題ではない。日本が、朝鮮半島を占領し、そこの住民が日本軍の慰安婦として行ったことが問題なのである。些事に拘泥せず、きちんと、謝罪すべきである。南京大虐殺も、殺された人数が問題ではない。無抵抗の民間人が虐殺されているのは事実なのだから、きちんと、謝罪すべきなのである。特に、中国においては、ハルビンで、731部隊が、中国人・ロシア人などの捕虜・抗日運動家を使って、三千人以上の人体実験を行っていたのも事実であるから、言い訳は許されないのである。しかし、現在の日本の政治状況は、絶望的な状態にある。安倍政権は、特定秘密保護法、安保関連法(集団的自衛権)を成立させ、アメリカ軍から来た情報を隠し、アメリカ軍に自衛隊を差し出すことの権利を得て、ますます、アメリカ従属を深めている。官僚は、鳩山由起夫を裏切って政治生命を絶ち、小沢一郎を冤罪で起訴して政治権力を衰弱させて、アメリカからの独立を志向した政治家に反旗を翻し、戦後以来のアメリカ一辺倒を貫いている。日本会議という、旧生長の家の幹部たちや神道系の人たちは、自民党のほぼ全員の議員、日本維新の会の一部の議員、民進党の一部の議員とつるんで、日本国憲法を改正して、戦前の大日本帝国憲法や教育勅語の復活を画策している。産経新聞、読売新聞、週刊新潮などは、自民党の広報活動を積極的に行っているだけでなく、野党をおとしめ、野党議員の失脚を謀っている。民間の似非右翼は、ネットを使って、盛んに、日本を持ち上げ、中国、韓国、北朝鮮を非難し、在日韓国人、在日朝鮮人、在日中国人を誹謗中傷し、ことあるたびに、「日本から出て行け」と叫んでいる。似非右翼が、盛んに日本を持ち上げるので、愛国心につられて、一般大衆の中から、似非右翼の考えに賛同する者が増えている。戦前も、日本を持ち上げる書物が増えるのに呼応して、日中戦争・太平洋戦争に突き進んでいったのである。このような似非右翼の広がりをどのように止めたら良いだろうか。似非右翼の幼児的な思考を「反知性主義」と呼んで、批判している書物もある。しかし、似非右翼が「反知性主義」者ならば、書物を読まないだろうから、彼らには効果がないだろう。また、一般大衆も、似非右翼の言葉は、愛国心をくすぐるから、深謀遠慮なく、無反省に、それを受け入れる可能性が高い。残された道は、インド建国の父と言われながら暗殺されたガンジーと青春を駆け抜けて惨殺された日本の革命家三人の生き方である。ガンジーは、「自分の言動は、政治を変えることはできないかもしれない。しかし、自分が言動している限り、自分は政治によって変えさせられることはない。だから、自分は言動し続けるのだ。」という意味のことを言っている。そして、彼は、覚悟を持って、その言葉を実行し、インドをイギリスから独立させた。戦前の日本の革命家三人である、幸徳秋水、大杉栄、小林多喜二は、死を覚悟しつつ、天皇制に反対し、戦争反対を唱えた。幸徳秋水は、大逆事件という冤罪裁判で死刑になった。大杉栄は、関東大震災の際に、何もしていないのに、憲兵によって捕らえられえられ、すぐに殺された。小林多喜二は、共産党員として、非合法活動中に逮捕され、東京帝国大学卒業の特高警察によって、拷問・虐殺された。現在の似非右翼の台頭の中で、人間らしく生き抜くためには、ガンジーのような強い思い、幸徳秋水、大杉栄、小林多喜二のような死の覚悟を持って、似非右翼に抗する発言をし、行動するしかないように思われる。現在、国会では、共謀罪が審議中である。安倍晋三は、東京オリンピックの警護を理由にしているが、現在に法律でも、それには、十分に対応できる。安倍晋三の真の狙いは、戦前の治安維持法の復活である。戦前回帰を狙い、大日本帝国憲法をもくろんでいる安倍晋三には、当然の行動である。太平洋戦争を引き起こした東条内閣の閣僚だった、祖父の岸信介と同じ考えである。安倍晋三が、岸信介を尊敬しているのもうなずけることである。安倍晋三は、民主主義社会の破壊者である。国民は、まだ、そのことに気付かないのだろうか。秘密保護法、安保関連法、そして、今回は、共謀罪である。テレビ局や新聞社などのマスコミも、共謀罪に、ほとんど、触れない。マスコミは、似非右翼の安倍晋三が怖いのである。そして、アメリカのトランプ大統領のことばかり取り上げている。日本のトランプである安倍晋三のことを忘れている。いや、意識的に忘れようとしている。マルクスは、「国民は、同じような惨劇を二度経験しないと、その意味がわからない。」というような意味のことを言っているが、もう一度戦争、もう一度原発事故が起こらないと、似非右翼の深謀遠慮のなさ、無反省、幼児性に気付かないのだろうか。ニーチェは、「大衆は馬鹿だ。」と言っている。どうやら、ニーチェの言うとおりのようである。似非右翼に抗し、大衆になじまず、人間らしく生き抜くためには、ガンジーのような強い思い、幸徳秋水、大杉栄、小林多喜二のような死の覚悟を持って、現在の政治状況に抗する発言をし、行動するしかないように思われる。