あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

愛国の誇りと反日への怒り(自我に取り憑かれた人々(その2))

2018-04-19 13:18:04 | 思想
平昌オリンピックで、フィギュアスケートの羽生結弦選手、スピードスケートの高木菜那・美帆姉妹選手、小平奈緒選手、カーリング女子のLS北見チームなどが活躍し、日本中が沸き返った。なぜ、彼らの活躍が、日本人に感動を与えたのか。それは、言うまでもなく、彼らが皆日本人だったからである。日本人の活躍が、他の日本人の愛国心を満足させ、心を動かせ、感動となって心を揺り動かしたのである。日本人ならば、誰しも、日本という国に対して愛国心を持っている。それは、すばらしいことでも、ひどいことでもない。日本人とはそういうものなのである。もちろん、中国人は中国という国に対して、韓国人は韓国という国に対して、アメリカ人はアメリカという国に対して愛国心を持っている。つまり、世界の人々は自国に対して愛国心を持っているのである。なぜならば、現代において、人々は、国単位で暮らしているから、現代人は、愛国心を持たざるを得ないのである。現代の国単位の暮らしにおいて、自らの存在の保証をしてくれるものが自国であるから、現代人は自国に対して愛情を持ち、それに肩入れするのである。つまり、日本人とは日本国籍を有している者の自我の一つであり、日本とはその自我を保証してくれる国なのである。それ故に、日本人は、日本という国の発展を常に願っている。なぜならば、日本という国が発展すれば、日本人という自我に誇りを持てるからである。そして、日本という国の消滅を常に不安を抱いている。なぜならば、日本という国が消滅すれば、日本人という自我も消滅するからである。しかし、日本人は、日本という国に愛情を持っていても、必ずしも、日本という国にたいする理想像は一致しないのである。そして、それは当然のことなのである。なぜならば、人間は鋳型で作られるわけではないからである。ところが、自分と異なる考えを抱く者を反日と批判する者たちが存在するのである。日本人という自我に取り憑かれた者たちの大きな過ちである。反日という言葉は、戦前の売国奴、非国民という言葉に匹敵する。戦前、戦争に反対した人々は、右翼(政府・軍部・マスコミ・民間右翼)から、売国奴、非国民と非難された。しかし、戦争に反対した人々が正しかったのである。日本人という自我に取り憑かれた戦前の右翼も、大きな過ちを犯したのである。また、在特会は、在日韓国・朝鮮人は反日だから日本から出て行けと叫んでいるが、その幼児性には驚かざるを得ない。住めば都というように、在日韓国・朝鮮人といえども、日本に住んでいる限り、日本になじんで暮らしているのである。愛郷心が無いはずがないのである。しかし、この在特会の動きを、自民党・産経新聞・読売新聞・日本会議は支持しているのである。なぜならば、在特会と同じく、自民党・産経新聞・読売新聞・日本会議も愛国心という自我に取り憑かれている右翼だからである。右翼は、どの国の人々にも愛国心があることを考慮しない。戦前(政府・軍部・マスコミ・民間右翼)の右翼は、日本を戦争に導き、日本という国に対して消滅の危機をもたらすという大きな過ちを犯した。しかし、戦後の右翼(自民党・産経新聞・読売新聞・在特会・日本会議)もまた、戦前を反省せず、同じ過ちを犯そうとしている。

覚悟なき野党の政治家(自我に取り憑かれた人々(その1))

2018-04-06 20:22:25 | 思想
野党の政治家に覚悟がない限り、自民党・公明党連立政権がどれだけ悪政を行おうと、政権を奪えないばかりか、支持すら得られない。野党の敵は、自民党・公明党だけではないのである。自民党・公明党政権の背後には、アメリカ一辺倒・自民党追随の保守主義の官僚たちとマスコミ(産経新聞、読売新聞、週刊新潮)が存在するのである。むしろ、この官僚たちとマスコミが恐怖なのである。野党議員に対しては、アメリカ一辺倒・自民党追随の保守主義の官僚たちとマスコミ(産経新聞、読売新聞、週刊新潮)は徹底的に攻撃する。そのとき、野党議員は、自らの評判を気にするあまり、普段の自らの主張の声を潜めるか、彼らに迎合しようとする。なぜならば、現在の立場はもちろんのこと次の選挙にも当選し、ずっと国会議員でいたいがためである。これが、国会議員という自我に取り憑かれた人々の醜態なのである。そうすると、多くの国民は、野党議員を見限る。そこに、不安定な人間を見るからである。多くの国民は、善意ある(民主主義思考の)不安定な国会議員や政権よりも、悪意あっても(非民主主義思考の)安定的な国会議員や政権を選ぶものなのである。しかし、言うまでもなく、最も良いのは、善意ある(民主主義思考の)安定的な国会議員や政権である。しかし、国会議員という自我に取り憑かれた人々は、アメリカ一辺倒・自民党追随の保守主義の官僚たちとマスコミ(産経新聞、読売新聞、週刊新潮)に抗することはできないのである。その端的な例を民主党政権に見ることができる。民主党政権は、アメリカ一辺倒・自民党追随の保守主義の官僚たちとマスコミ(産経新聞、読売新聞、週刊新潮)によって、潰された。民主党政権は、当初、鳩山由紀夫総理大臣、菅直人副総理兼財務大臣、小沢一郎幹事長の三人が中心となって運営された。この三人のうちで、最も骨太なのは、小沢一郎だった。官僚たちからみて、小沢一郎だけが籠絡できないように思われた。そこで、真っ先に狙われた。小沢一郎は、アメリカ一辺倒ではなかった。小沢一郎は、自らを名誉団長とする、民主党議員143名と一般参加者など483名で構成する小沢訪中団を結成し、2009年12月10日から12月13日まで中国を訪問し、民主党と中国共産党と協議を重ね、日本と中国の融和を図った。それが、アメリカ一辺倒の官僚たちに不快感と警戒感をもたらした。さらに、小沢一郎は、政治主導で公務員制度改革をし、検察庁を改造する計画を立てていた。それに怒りを覚えた検察庁特別捜査部が、小沢一郎の秘書を偽装献金疑惑で逮捕した。偽装献金疑惑とは、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」が土地を購入した際に、政治資金収支報告書に嘘を記載したとされた事件だった。小沢一郎は、秘書が逮捕されると、幹事長から降りてしまった。ここで、小沢一郎の民主党での政治力としての終焉を迎え、政治家としての実質的な力を失った。ちなみに、秘書三人は、逮捕、起訴され、2011年、検察審査会の起訴議決で強制起訴されたが、一審、二審とも無罪になった。しかし、官僚たちや検察庁の役人たちは、それで十分だった。小沢一郎の政治生命を絶つことが目的だからだ。鳩山由紀夫も、2009年9月16日から総理大臣の地位にあったが、官僚たちの裏切りとだましによって、2010年6月8日、その座を追われた。2009年の衆議院議員選挙(政権交代)前、鳩山由紀夫民主党代表は、アメリカ軍の普天間基地の移転先を、「最低でも県外」と発言していた。鳩山由紀夫は総理大臣に就任すると、鹿児島県・徳之島への移設を検討した。しかし、外務省や防衛省の官僚が、米軍の基準としての文書を示し、鹿児島県・徳之島への移設は不可能だとした。その文書には、「米軍のヘリコプター部隊と訓練場の距離を65カイリ(約120キロ)以内でなければならない」と記されていた。その文書を信用した鳩山由紀夫は、鹿児島県・徳之島への移設を断念した。そして、2010年5月23日、普天間基地の移設先を名護市の辺野古周辺と初めて明言した。その理由として、アメリカの海兵隊が抑止力になるということを掲げた。完全に官僚に敗北したのである。そのために、公約違反を糾弾され、2010年6月8日、総理大臣の座から降りた。また、鳩山由紀夫総理大臣は、外交政策でも、「日本と価値観の異なる国に対して互いの立場を認め合いながら、共存共存していく」という趣旨の下で友愛外交を唱え、東アジア共同体構想を打ち出し、中国共産党や韓国とも交誼を結ぶことを主張した。言うまでもなく、鳩山由紀夫の外交政策は、官僚たちの怒りを買い、早晩、足を引っ張られる運命にあった。鳩山由紀夫政権の後に、菅直人政権が発足した。菅直人は、2010年6月8日から2011年9月2日まで、総理大臣の地位にあった。菅直人は、消費税率アップ、TPP参加を打ち出したが、何ら前進しなかった。なぜならば、これらの二政策は、官僚の指示の下に打ち出され、自らの本意ではなかったからだ。また、2011年3月11日の東日本大震災以降脱原発を掲げたが、官僚たちに無視され、具体策を講じることはできなかった。菅直人政権の後に、野田佳彦政権が発足した。野田佳彦は、2011年9月2日から2012年12月26日まで、総理大臣の地位にあった。野田佳彦は、離党者が出る中、消費税関連法を成立させた。財務省の官僚の指示によるものだった。しかし、民主党政権の足を引っ張ったのは、官僚ではなかった。産経新聞、読売新聞、週刊新潮などが、官僚からリークを受け、また、自らの取材によって、私的なことでも公的なことでも、総理大臣や民主党議員を一方的に攻撃し、国民と民主党の離反に成功した。鳩山由紀夫総理大臣、菅直人総理大臣、野田佳彦総理大臣の三人は、いずれも、アメリカ一辺倒・自民党追随の保守主義の官僚たちとマスコミ(産経新聞、読売新聞、週刊新潮)に抗してまで、自らの意志を貫こうとはしなかった。なぜならば、総理大臣の椅子から離れたくなかったからである。総理大臣という自我にこだわったために、保守官僚や保守マスコミの餌食となり、多くの国民の期待を裏切ってしまったのである。多くの国民が期待したのは、アメリカ軍の普天間基地の県外移設できれば国外へ、消費税率をアップさせない、原発廃止、TPPの不参加、税金の無駄遣いの中止、公共事業より福祉対策、所得格差の是正だったからである。彼らもそれを知っていながら、総理大臣の座にいつまでもいたいという総理大臣の自我が、アメリカ一辺倒・自民党追随の保守主義の官僚たちとマスコミ(産経新聞、読売新聞、週刊新潮)の軍門に屈し、国民を裏切ってしまったのである。