趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『舟を編む』 三浦 しをん

2012年01月07日 | 
今年第一冊目の本のレビューは、三浦しをんさんの新刊です。
辞書編纂の物語です。



題名の『舟を編む』の舟とは、辞書のこと。
言葉という大海原を航海するための舟なのです。
その舟作り=辞書編纂=舟を編むとなるわけです。

このように書くと、何だかとてもとっつきにくく
お堅いイメージが浮かんでしまいそうですよね。
辞書編集部なんてものもそりゃああるよな、と気付かされるほど
あんまりメジャーな分野ではありませんし。

ですから、ふ~んてな感じで読み始めたのです。

読み始めて、すぐにその文のリズムの良さに惹かれます。
辞書編集部ということで、言葉に対するこだわりが随所に表れて、
古風な言い回しや、今では目にすることも無いような言葉やセンテンスが
とても面白いのです。

登場人物も、変人ぶりが際立って面白いし、
愛すべき人々が泣いたり笑ったりと、
三浦しをんさんの真骨頂を見せられたように思いました。

そして何より、それぞれの人物達が自分のテリトリーの中で
懸命にもがいたり、成長していく姿がとても気持ちがいいのです。

今回読みながら、自分の辞書好きに気が付きました。
子どもの頃から辞書を引くのが大好きでした。
主人公がやったという言葉を次々引きまくるというのを、ずいぶんやりました。

そんなこと、すっかり忘れていましたが、
なんだか感慨深くて、昔の辞書を引っ張り出したくなりました。
私はもっぱら‘新解さん’愛用してましたが・・・。

今愛用しているのは、電子辞書です。
便利すぎて、紙の辞書からすっかり遠ざかってしまいました。
辞書作りに欠かせない、あの紙質のくだりも興味深かったです。

でも・・・・一番はいい所は、恋を描いているところ。
言葉に敏感になって、言葉に深みが増していく・・・・。
とても面白かったです!!


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