趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『誰かの木琴』 井上荒野

2012年01月19日 | 
井上荒野さんの新刊読みました~
井上さんも、このところ続けて本を出されていますね。
新作が出ると迷わず手に取ってしまう作家ですが、
一筋縄ではいかない、というか、
予定調和と対極をゆく、というか
毎回違う側面を見せてくれるのが楽しみであります。



帯に‘ストーカー’の文字が・・・。
井上さんで、ストーカーときたら、
不穏な雰囲気全開で、どろどろ泥沼を想像していたのです。
ですから、こわごわ手に取る、という感じでした。

確かに主人公の小夜子は、普通の主婦という感じだし、
取り立てるような特別感は無いのです。
夫婦仲も悪くなさそうだし、一人娘も思春期真っ只中で、
どこにも見られるような3人家族の平凡な生活なのです。

それが、どうしてストーカーへと突き進んでいくのか???

読みながら、これは決して特別な事ではないのだと感じていました。
最初の曲がり角、またいだハードルはけして高くはないから。
ふ~ん・・・・・・・。

長い物語ではないので、あっという間に読めてしまいますが、
お陰で何度も読み返してしまいました。
自分の中で、納得しない何かを探していたのです。

そして、ようやく見つけることができました。
寂しさ、というものを本当に自覚するというのは難しいのかもしれません。
「寂しい」と声に出す事ができる人間は、もしかしたら
小夜子よりも幸せなのかもしれないと、そんな風に思いました。。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (時折)
2012-02-03 15:06:40
こんにちは。
本当にとってもしみじみとした味わいがありましたね。
>寂しさ、というものを本当に自覚するというのは難しいのかもしれません。
なるほど、寂しさ、ですか。小夜子さん、確かにも言葉にならない寂しさを生きていた感じ、しますね。
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こんばんは。 (Poke)
2012-02-03 18:26:08
時折さん、TB&コメントありがとうございます。

心に残る物語でした。
記事を書くのにもどう表現していいのか随分迷った記憶があります。
読後時間が経った今、小夜子だけでなく、
その夫も心に空洞があるような、空虚な寂しさを感じています。。
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