国重要文化財『白水溜池・堰堤』(平成11年指定)を見学。後藤良治氏に話を聞いた。
白いカーテンのような文様を造りながら水は流れる。
阿蘇外輪山の裾野、水があれば田んぼを作ることができる。溜池を作り、田を潤す水を作ろう。話を伺うと、実に江戸時代から明治m、大正、昭和と連綿と苦闘が続けられてきたそうだ。
幾多の苦難のものがたりの末に、昭和13年に完成。当時はセメントも貴重品の時代、地盤がもろく工事にはたいへんな苦労があった。農民は私財と労力を奉仕、設計は大分県土木技師小野安夫、いまなお、びくとも揺るがない。
堰堤の幅は87m、高さ14m、この付近で産出する阿蘇凝灰岩をレンガのように切り、積んだ。農業用水を取水した残りの水は堰堤を乗り越え自然に流下する。ときには洪水も襲う。そんなとき、水勢を弱め、堰堤を壊す力が働かないよう、堰堤は放物線を描き、山側の両端には階段状に石が積まれている。
堰堤を越えた水は切石にそって落下、白い泡となり水の筋を作り、幅80m余りの堰堤一面真っ白なカーテンの形状となる。地元の人たちが作った看板に『日本一美しいダム』というのがあった。この看板だけはホンモノ!とおじいは言いたい。
きのう、失敗が三つ。一つはこの道だと思い、マイクロバスで入ったところ、県道には違いないが、マイカーすら離合する場所がないという狭い道に案内してしまった。幸い、10数キロ余の道に対向車は1台のみ、民家もあるところで難なく離合できた。もし、トラックと出会ったら悲劇だった。
その2.白水堰堤に入る新しい道と駐車場が出来ている。かつての道は何度も行ったので知っていたが、はじめての道で慎重に道を探したつもりが間違った。このあたりは南に祖母山(1764m)の巨大な山塊が聳え、東に阿蘇、北にくじゅうが見える。台地と深い峡谷が入り組み、複雑な地形が続き、道路もまた右に左にあるいはイナヅマ形に走っていて、方向感覚がわからなくなる不思議な場所なのだ。
その3.お話を聞いた富士緒井路土地改良区(溜池、堰堤、水路などを管理する)の後藤理事長、後藤大二郎事務局長はダムの近くに事務所があると、なんとなく思い込んでしまっていたが、いただいた地図を帰宅してゆっくり調べると、ダムの水を田んぼに引いて、水を利用している地域は白水堰堤から直線距離でおよそ15キロあまり、竹田市の岡城址よりもなお、下流になる緒方町一帯で、事務所も緒方町にあることを知った。オハズカシイ、後藤理事長さんには大変ご無理をしていただいた。
※ 溜池か、ダムか?
河川法によれば、堤防の高さが15m以上のものをダム、それ以下のものを溜池と呼ぶ。白水溜池は堤高が14.1mであり、溜池となっている。