もしや、つれあいが即身成仏か!? と思った一瞬があった。きのうの早朝のこと・・・
夫婦ともに齢を重ね、フトンの上だけは自分ひとりの世界でありたいと思うようになった、夫婦ともに。
わたしが目覚めたのは午前5時、そっとつれあいの部屋を開けると、電気スタンドが点いていた。
ふとんに座るつれあい、身じろぎもしない、メガネをかけ、本を読んでいる気配。だが、動かない。
電気スタンドの光の影になって表情は見えない。
息をしているのか?生きているのか?一瞬不安がよぎる。丹前は羽織っているようだが、小さな体は小さく見える。
即身成仏のようになってしまったか?心が凍った。
ベッドに近づいた・・・。ほのかに体温を感じる。ありがたい。
そっとメガネをはずす。
本を読むうちに睡魔が襲い、体を横にするまもなく、眠ってしまったのか?
つれあいは、いったい何時間、座ったままの姿勢で眠っていたのだろうか?
広げたままの本を片付け、そっと声をかける。「フトンに入ったら!」
素直におとなしく、目をつむったまま布団にもぐりこんだ。
驚いたぞー。
察するに、1時か2時まで本を読んでいたのだろう、それから眠気がきて、そのまま寝入ったか?
とすれば。座ったままの姿勢で数時間は過ごしたのではないか。
さいわい、昨日の夜は冷え込みはひどくなかった。体が冷えることもなかったか。
湯殿山だったか、即身成仏した僧の話が書かれた小説『月山』を思い出す。
つれあいは少し枯れてきたなあ。
わたしは即身成仏はできない。まだ、体に肉も油もついている、心にもまだたくさんの荷物が乗っている。
つれあいがまだ幼いころのこと。
つれあいの祖母が針仕事をしている途中、突然、机に突っ伏したのを目撃した体験。脳卒中であった。
数日前、つれあいがそんなことを私に語ったことも、意識の底にあったかもしれない。
だから、即身成仏なんてことをイメージしたのかなあ。
まだ午前5時、世の中は静か。
年が明ければ、つれあいもわたしと同い年の満79歳になる。確実に三途の川は近づいている。
ブログをここまで書き終えて、さあ寝るか・・・つれあいの部屋にはまだ灯りが。
なんと、きょうブログに書いたそのままの“即身仏”がまた座っている?????
まるで、「二宮金次郎に負けませんワ!」と言っているよう。
「おい、寝なさい!」少しイカリをあらわに、メガネをはずし、本を閉じた。
“即身仏”、“二宮金次郎さん”は、黙ってフトンにもぐった。
午前1時!!!