映画 『あなたへ』 を観た。
わたしのつれあいが言うようなことを、映画の中で健さんの奥さんがいう。九州平戸の薄香湾に自分の骨を撒いてほしいという遺言。
律儀な健さんは一人富山から長崎へ車で向かう。道中の出会い、山頭火について自称元中学教師が語るエピソードなど・・・「旅と放浪の違いを考えたことがありますか?」、ビートタケシが健さんに教えを垂れる。
『鉄道員(ポッポヤ)』の降旗康男監督と映画俳優高倉健。
さて、現実のわたしらのこと。つれあいがそのうちに書くであろう遺言ー「私はお墓に入るのはイヤ、遺骨はハワイのあのブルーの海と白銀のアルプスの山、そしてみどりの阿蘇の草原に散骨してほしい!」
私は半分は両親の墓に、半分は目の前の海へ。アサリをだいぶ食べたから、少しはアサリ餌になれば本望。
だが待てよ、ハワイの海もアルプスの山、阿蘇の草原は骨を撒くのを許してくれるかなあ?
お宮詣りに行きたい、とつれあいが言う。
そうだな、5月末から3カ月とちょっとの間に、半月板損傷と手術、腸閉塞と、痛みと苦しみを伴う傷病で入院した。さいわい、大事に至らずどうにか落ち着いたが、治癒と平穏を感謝したいという気持ちは私にもある。
きょうは混雑もなく、静かに頭を垂れ、今後つつがない日々を送ることができるよう祈った。
おまいりが済んだらお昼になった。「腹が減った!」と不思議なことにつれあいが言う。「鰻を食おうか!」、車を置いてうなぎ屋へ行くと、なんと水曜日は定休。
二人で、ハンバーグを食べた。「あんまり食うな!食べ残してもいいゾ」。ところが、ゆっくりではあったが、みんな平らげた。「ウマカッタ・・・」。嬉しいような、ちょっと心配も。
夕方、雨が降った。涼しい。
台風15号は黄海へ。
台風のしっぽの風と雨が北部九州をわずかにかすめている。
昼前、最大風速22m、14時過ぎ雨が降って気温は30℃から28℃に急降下。涼しくなった。
つれあいへのお見舞い、その返事の電話やメール、聞くともなしにきいていると・・・
「いまは、執行猶予つきの退所?!まだ体調は本調子ではない。あんまり食事がのどを通らない。
腸閉塞になった原因はどう考えても亭主にある。大食い、早食い、肉食性、いつもハラ減った!と叫ぶ。やむを得ず亭主の食事に付き合った結果、胃も腸もくたびれ果て、そこに暑さの衝撃が加わり、小腸と大腸がもがき苦しんだ」と、いうわけ。
そうだなあ、半月板損傷の手術、退院から1カ月弱で、今度は腸閉塞、何がいけなかったか?私もいろいろ考えた。その遠因は〝亭主在宅症候群〟だと・・・トホホ。
なるべく、顔も見せないように、胃腸が苦悶しないようにショックを与えないように努めてはいるが、狭い箱家の中、食材を買いに行くのも私であるから顔をあわせないわけにはいかない。
自分の食事は自分でなんとかしてきたが、料理は私の味ではダメ、自分でやるというから、それならお願いしますと、いつのまにか、私はまた元のぐうたら亭主に戻ってしまった。
女王卑弥呼の召使のつもりではいるが、女王様から、「耳が遠い!」と叱られている。「耳が遠い人間と話すのはつらい。イライラする」そうだ。コマッタ。
夕方、小さな虹が博多湾上にかかった。