『戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない…』 ユネスコ憲章前文の一部
この言葉をはじめて聞いたとき、私の全身を電流が流れたような衝撃が走ったことを思い出す。昭和42年、私は30歳。この時が、竹藤寛氏との出会いであった。
昭和32年、仙台市で仙台ユネスコ協力会が生まれた。その後、全国各地にユネスコ協力会が生まれ、福岡ユネスコ協力会が翌年、昭和23年に産声を上げた。戦後の荒廃した日本の再建と、早く国際社会で貢献をしたいという願う人たちにとって、ユネスコ憲章は闇の向こうに輝く一つの灯火となっていた。昭和26年、日本はユネスコに加盟、また、昭和32年、国際連合に加盟した。
ユネスコ精神に共鳴した有志が集い、自主的にユネスコの理念を具体化するために、文化活動、国際交流活動をこの地で続けた。
福岡ユネスコ協会の60年の歩みは福岡地域の戦後史の一部となっている。
敗戦から3年、まだ焼け跡が残る福岡のまちで、有志が集い、日本がユネスコに加盟できるようにと運動をはじめた。福岡ユネスコ協力会、昭和23年7月3日の創立。やがて、日本はユネスコへの加盟が認められ、福岡ユネスコ協会と改称した。
左は創立50周年記念国際文化セミナーのプログラムから「開催によせて」
キーワードで60年を紹介する。
*小さな民間団体:60年前と同じいまも小さな団体。
*自主自立:日本ユネスコ連盟にも加盟せず、独立独歩の歩みを続けてきた。
*支えたのは:地元企業、会員、会友、自治体、財団、基金、内外の日本研究者の支援と協力が60年の活動を支えた。
*“タケフジさ~ん”:事務局長60年、事務局を支えた一人の男、竹藤寛氏の存在。
*大きな国際会議:セミナー、シンポジウムを延べ32回開催。
*国際交流の舞台:内外の日本研究者800余人をお招きし国際交流を行った。
*日本語:会議用語(official Language;Japanese)
*地域活動:古都大宰府保存、平尾台環境保護への提言など地域への積極的提言を積み上げてきた。
*60年間の記録:会誌43号と報告書を横に並べると100センチを超える。小さな活字がビッシリと並ぶ。論文、講演、発表と討議など膨大な記録!
*感謝されているもの:「海外日本研究機関要覧」、竹藤寛著「青木繁、坂本繁二郎とその友」などの出版。
福岡ユネスコ協会は創立60年記念国際文化セミナーを10月12日(金)、福岡市天神ビルで開催する。
「日本の文化と心」をテーマに午前10時から午後5時まで講演と発表・討議が行なわれる。会議用語はすべて日本語。
いまセミナーの聴講希望者を募集している。
基調講演:哲学者、鶴見俊輔氏、『日本文化の現在』
基調講演:万葉集の研究で知られる中西進氏、『しなやかな日本知』
発表と討議:
東京工業大学教授、劉岸偉氏、『「日本の文化と心」を考えるヒントー新渡戸稲造から南原繁へー
九州産業大学教授、クリストファー・スピルマン氏、『「革新右翼」満川亀太郎と人種差別との戦い』
国際基督教大学教授、ツベタナ・クリステワ氏、『心のしるしー古代日本文学における「心」の意味を問うてー』
国際日本文化研究センター教授、稲賀繁美氏、『お稽古ごとの海外文化交流:武術の場合を中心に』
議長:九州大学名誉教授、清水孝純氏。
聴講を希望される方、お問い合わせは、福岡ユネスコ協会へお電話をください。092-715-8768
参加費(資料代を含む)一般1,500円、学生1,000円。定員になりしだい締め切ります。