きのうのこと、食卓に呉汁が並んだ。
「嬉しいな!」と私はつれあいに感謝する。滋味に満ちたこの味わい・・・
腹の底から温かさがわきあがる。
「呉汁は母がよく作ってくれた」
つれあいも言う。
「父が呉汁が好きで、母がしばしば作ったわ」
呉汁は大豆を一晩水につけ、柔らかになった豆を昔はすり鉢でつぶした。
今はミキサーやフードプロセッサーでいとも簡単に呉汁ができるが、私の子どものころは、
すり鉢とすりこ木だけ、私はすり鉢を懸命に押さえる、母がすりこ木で豆をつぶす。
呉汁の匂いが一瞬の間に70数年むかしの世界へと私たちを運ぶ。
雑煮、正月料理、そしてこの呉汁は懐かしい、嬉しい我が家の味だ。このほか、のっぺ汁や
いきなり団子、私にとって忘れられないのはノビル(野蒜)のぐるぐる。
子どもたちにはどんな味が我が家の味として残っているだろうか?
呉汁は郷里の味かと思っていたが、Netで見ると、全国津々浦々で食べられているそうだ。
こんなうまい汁は食べなきゃあソンソン。
写真はいずれ載っけます。
呉汁を食べるとき、青いネギを浮かす、母は言った「ちょっとノビルを摘んできて!」
熊本は寒の最中でも、畦や道端にノビルが生えていた。
ノビルのニンニクにも似た匂いと辛みが呉汁によく合った。
そろそろ野面で青草が伸びるころ。菜の花の蕾も姿を見せる。