クラスメートとおばあと3人でドライブに出る。
筑後平野の真ん中、麦畑の向こうに教会の塔が見えてきた。太刀洗町の今村カトリック教会。思わず車を停めた。
朝、この塔から鐘の音が響くという。いま、信徒960人余のみなさんが祈りを捧げる現役の教会である。
この教会(国・重文に去年指定された)の設計施工者は鉄川与助。五島や平戸など隠れキリシタン集落の教会をおよそ50棟を作りあげた。今村教会は彼が手がけた教会のなかで最も大きい教会。彼はド・ロ神父に西洋建築の手ほどきを受けたという。その教会群が今年1月、世界遺産への登録が決まった。世界遺産の中核の作品となっている。その意味で、この教会も価値あるものと認められたことになる。
筑後川の中流域、今でこそ豊かな穀倉地帯だが、中世のころまで水利が悪く、農民が難儀をしたところだという。この地域にいつキリシタン信仰が根付いたのか定かでないが、1560年ころにはキリシタン集団が生まれたらしい。1587年、秀吉のキリシタン禁令、1638年、家康のキリシタン禁令、島原の乱以降、弾圧は続いた。しかし、信徒たちは隠れて信仰を守った。
1865年、大浦天主堂でのプチジャン神父の隠れキリシタンとの出会い。1867年(慶応3年)、今村での信徒発見。1881年、木造の教会堂建設。1913年(大正2年)、現、今村教会堂が竣工した。
菜の花が道端や川の土手に今を盛りと咲いている。
菜の花を摘む。3人でせっせと摘んだ。
筑後川の河川敷や土手は、どこまで行っても、
満開の菜の花で黄色に染まっていた。
風は冷たかったが、日射しは暖か、空は抜けるように碧かった。