花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

かつらと桂│桂の字をふくむ生薬

2015-01-26 | 漢方の世界


医院駐車場入口にはカツラの樹とクローバーのコーナーを設けている。カツラはカツラ属、かつら科の落葉高木で、カツラとヒロハカツラの2種がある。葉は幅の広い卵円形で、緑の葉は匂わないが、黄色い落ち葉となり乾燥した後に特有の香がでてくる。当院の庭は、シンボルツリーのムサシノケヤキと共に四季を通じて庄造園に管理して頂き、年毎に一層自然の移り変わりを感じることが出来る空間になっている。大寒を迎え立春に近づく時節、紅梅や白梅のつぼみも日一日と膨らんできている。必ずや、冬来たりなば春遠からじ。



漢字の「桂」であるが、日本ではこのカツラを指すが、中国での植物名としての「桂」の語義は新華字典で、肉桂、月桂樹、桂花樹(木犀)の三種が挙げられている。これらの植物の薬効は以下の通りである。なお中薬大辞典には「桂」の字を含む16種類もの生薬が記載されている。

肉桂(シンナモモム・カッシア Cinnamommum cassia Blume)
クスノキ属、くすのき科の常緑高木である。樹皮が、中国名「肉桂」、日本名「桂皮」の生薬になる。中薬の分類では温裏薬に属し、効能は補火助陽・散寒止痛・温経通脈であり、腎脾の陽気を補い、寒邪を散じ血脈を通じる働きを持つ。「桂枝」は肉桂の若枝から得られる生薬で、解表薬に属し、効能は発汗解肌・温通軽脈・助陽化気であり、体表に作用して風寒の邪を除く、血行を促進、陽気を高めよく巡らせる働きを持つ。
月桂樹(Laurus nobilis L.)
ゲッケイジュ属、くすのき科の常緑高木である。「月桂葉」はその名の通り月桂樹の葉である。薬というよりは煮込み料理の香辛料として使う方が知られているが、効能は健胃理気であり、胃の機能を整え、気を巡らせる働きを持つ。
木犀(Osmanthus fragrans)
モクセイ属、もくせい科の常緑小高木である。「桂花」は木犀の花を基原とする生薬で、効能は温肺化飲・散寒止痛として、肺中の寒飲を温めて除き、寒邪を散じて痛みを取る働きがある。