蘇れ!「関西経済の技術力」
【竹田 徹氏】産経新聞社経済部担当部長
【第2部】2010年6月21日講演
アメリカのオバマ大統領による「グリーン・ニューディール政策」の
推進や、「電気自動車」や「再生可能エネルギー」に対する
世界的な需要の高まりを背景に、三洋電機 京セラ、三菱電機、
日立マクセル、カネカなども、相次いでグリーンベイにおける
「太陽電池」や「太陽光発電設備の製造体制」を増強しています。
又、「パナソニック」は「今年4月」に「大阪市住之江区」に
世界最大の「リチウムイオン電池工場」を完成させています
同社は「今年1月の経営方針発表」において「18年度」に
「太陽電池」などの「二次電池」で「3兆円以上」の売り上げ
達成するという「環境革新企業構想」を打ち出しました。
15年までに「1000億円」を投資し「リチウムイオン電池」で
世界的シェア4割以上を目指しています
同社の現在の売り上高が「約4兆円」なので、
いかに壮大な計画であるかがわかります。
「三洋電機」も今年「5月発表」の「3ヵ年中期計画」で、
総投資額の「6割」にあたる「1700億円」を「太陽電池」と
「二次電池」に集中させて「エネルギー関連事業」を
「強化する方針」を明らかにしました。
「グリーンベイ」では今後も「電池製造関連」の「投資」が
高い水準で行われていくと見られますが、気になるデーターもあります。
私たちは「日本」を「環境技術大国」と思い込んでいますが
実は、その「存在感」は年々、世界の中で薄らいできています。
先ほど、関西地区の「09年の製造量」は「太陽電池」で「約8%」、
「リチウムイオン電池で約23%」の世界シェアとお話しましたが
その前年は「太陽電池が12%」、「リチウムイオン電池」は31%あり
どちらも「シエア」を低下させています。
世界の需要が伸びる中で「シエア」を落している原因は
「韓国」や「中国」のメーカーの台頭なのです。
「アジア開発銀行」が資金を提供して「三菱商事」が「出資する企業」が
「事業主体」となって、「タイ」に大規模な「太陽光発電所」を
建設する計画がありますが、その工場で使われる「太陽電池」の
供給元は「シャープ」が本命でしたが、「中国メーカー」が破格の条件を
「タイ」に示しあわや「中国」に変更になりかけましたが
「シャープ」は慌てて、その条件より「低い条件」を示し
最終的に受注いたしましたが、「日本企業」は「海外」でのそうした
壮烈な「価格競争」に巻き込まれています。
かって日本メーカーは「太陽電池」で世界を凌駕し「03年」には
「シャープ」と「京セラ」で世界の「1位・2位」を独占し
「三菱電機」「三洋電機」も「トップ10」に入っていました。
それが「政府」の「補助金制度」が打ち切られてから、
「上位の座」を「海外メーカー」に明け渡すようになりました。
「09年」のランキングを見ると「シャープ・3位」「京セラ・7位」
「三洋電機」は「13位」までに落ちています。
最近は政府による「助成金制度」が復活したり、「家庭」で「発電」された
「電力」を「電力会社」が買い取る制度がスタートしたりした事で
「太陽電池」の「国内市場」は、又、伸びてきています。
しかし、その結果「日本の有力メーカー」は「国内市場」に
依存する傾向を強めているようです。
「シャープ」「京セラ」「三洋電機」とも「国内」での売り上げが
「全生産量」の半分以上を占めるようになり、このまま推移して
「国内市場中心」では、いずれ頭打ち状態となることは予測でき
各メーカーとも「国際競争力」をいかにつけるかが厳しく問われています
続いて来年より激化する「大阪百貨店戦争・生き残りゲーム」に
ついてお話します。
続きは「第3部」にて投稿予定