平成の総理「第2部」 安倍晋三氏の評価
紘一郎雑記張
昨日より続き
逆に、政権の失点として閣僚の失言を指摘する向きもあるだろう。だが、こうした閣僚は、安倍内閣以前の自民党政権でも主要閣僚や党三役を経験した人物が多かったが、その際は失言など皆無だった。安倍氏が負うべきは、人を見る目がなかったという意味の任命責任よりも、任命の結果責任の方だろう。
また、安倍氏の業績は「衆参両院の多数派がねじれていなかったから」という反論もあるかもしれない。だが、同じようにねじれの制約がなかった鳩山内閣が成果らしい成果もないまま、普天間問題で迷走した揚げ句、自縄自縛に陥ったことは記憶に新しい。
また、衆参ねじれ下にあった福田氏、麻生太郎氏、菅氏の各政権も参院での否決覚悟で、信念に基づく政治行動を取ったとは言い難い。法案が参院で否決されても局面を打開できることは、小泉氏が郵政民営化で証明してくれたではないか。
小生と
安倍氏は22日、産経新聞のインタビューで在任中に靖国神社に参拝しなかったことについて「それ以来、首相の参拝が途絶えたことでは禍根を残してしまった。春の例大祭か夏(終戦記念日)に参拝すべきだった」と述べた。
また、「参拝する、しないは言わない」とする“あいまい戦術”をとった理由として「(小泉前政権時代に首脳交流が滞った)日中関係を安定的な関係に戻し、拉致問題や日本の国連安全保障理事会常任理事国入りへの支持を得るためだった」と明かした。
この発言からも明らなように、安倍氏が首相就任前から靖国参拝を一つの「外交カード」と位置付け、対中交渉に臨んだことが分かる。靖国のカード化には賛否もあるだろうが、確実に言えることは鳩山政権や、中国漁船衝突事件での周章狼狽ぶりで対外戦略の無策を露呈した菅政権を経験した現在から振り返る時、安倍内閣の挫折は日本の政治にとって極めて惜しまれる事態だったということだ。
タイミングの悪い退陣表明もあって、安倍氏の再登板に対する待望論が広がるには、もうしばらく時間が必要になるのかもしれない。だが、日本の政局は閉塞(へいそく)感が強まる一方だ。今後、保守再編が加速するようだと安倍氏復権が予想以上に早まる可能性もある。高岡昭一氏のメールより)