紘一郎雑記張
満天下に示された砂上の楼閣
菅義偉官房長官が記者会見でこう語った。
翁長雄志知事ら「オール沖縄」と称する勢力が擁立した新人候補が、
安倍晋三政権が支援した現職に大差で敗れた。
沖縄メディアが内外に発信してきた「オール沖縄」が、
実は、砂上の楼閣だったことが満天下に示された。
保守、革新を問わず県民が結集しているという意味だ。
しかし、それはウソであり、幻だった・・・
実態は保守から革新にくら替えした候補と、共産、社民などの
革新候補が立て続けに勝利しただけの話だった。
翁長知 事は前者の典型である。
知事就任から1年。
スイスの国連人権理事会で辺野古移設反対を訴えたり、
移設工事の中止を求めて国を提訴したりと、精力的に「反基地の闘士」の
イメージをふりまく翁長知事だが、尖閣諸島に迫る中国の脅威に対しては、
いまだに口を閉ざし続けている。「沖縄を平和の緩衝地帯に」と、
非武装化を連想させる主張さえ始めた。
安全保障に対する信念を持つ「保守」の姿ではない。
言っていることはしょせん革新・リベラルだ」と指摘する。
県紙をはじめとする反基地派が「オール沖縄」の根拠として使う数字が
「県民の8割は辺野古に反対」という世論調査の結果だ。
長年の平和教育もあって、軍事基地に対しては反射的な嫌悪感を抱く。
「基地の県内移設に賛成か、反対か」と単純な二者択一で質問されれば、
左右の思想を問わず「反対」が圧倒的多数になるのは当然だ。
普天間飛行場を抱える宜野湾市民の危険性除去や、
中国に対する抑止力維持の観点から改めて問い直せば、
より柔軟な姿勢に転じる県民が増えるはずだ。
宜野湾市長選の結果はその典型例である。
「サイレント・マジョリティー(静かな多数派)の存在を感じた。
基地の整理縮小に関して、有権者が自分の本音を
なかなか表せない環境もあると聞いている」と分析した。
沖縄のサイレント・マジョリティーが声を上げ始めたときが
「オール沖縄」の終焉(しゅうえん)だろう。