Upon Reflection The Music Of Thad Jones / Hank Jones
サドメルのオーケストラの初期のピアノというと普通であればローランドハナが思い浮かぶ。アレンジなどには参加していなかったが、演奏においてはオーケストラ全体の特徴を築いていく中でハナのピアノの役割はかなり重要だったと思う。リリカルな曲から、ファンキーな曲まで、ハナのピアノはオーケストラの中に入っても実に小気味良い演奏を聴かせてくれた。このハナがサドメル初代のピアニストかというと実は違う。
初ライブである”Opening Night”でも、初のスタジオ録音でもピアノの席に座っていたのはサドジョーンズの長兄ハンクジョーンズであった。歌伴からオーケストラまでオールマイティーのハンクジョーンズの参加は、新しくバンドを立ち上げ、サウンド作りを担った弟サドにとってひとつの安心材料であったろう。
しかし、オーケストラが無事に立ち上がるとハンクはオーケストラを去った。そして、ハンク自身はスタジオワークから自己のトリオの演奏に軸足を移していった。有名なロンカーター、トニーウィリアムスとのGreat Jazz Trioは’70年代以降のハンクのプレーの象徴のようなものであった。このトリオは日本でも人気があり、メンバーは代わってもハンクのトリオの演奏は2008年に亡くなる直前、つい最近まで来日して生で演奏を聴くことができた。
弟のサドが亡くなったのは1986年であったが、その死を悼んでサドの残した曲の特集アルバムを作ったのがこのアルバムだ。作曲家としてのサドを讃えてのSong Bookであるが、曲自体はハンクの為に書かれた曲から、オーケストラでも演奏された曲まで色々な曲が取り上げられている。トリオには、末弟のエルビンも参加している。エルビンのピアノトリオでの演奏というのもオーバーシーズの印象が強いので傾聴に値する。
ピアノトリオによる、サドジョーンズのSongbook集というと、トミーフラナガンの同じ企画アルバム"Let's"があるので、どうしても比較してみたくなる。どちらもサドの曲というものの、共通しているのはサドの曲でポピュラーな“Mean What You Say”と、”A Child Is Born”だけ。
選曲の仕方にも違いがあったようだ。
フラナガンのピアノはいつもどおり流暢で流れるようなプレーを聴かせてくれる。一方のハンクは伴奏役で名を馳せたハンクらしく、主役であることを少し躊躇するようなプレーで、それを支えるエルビンとのコンビネーションも素晴らしい。サドの曲はどれもメロディーが美しい。2人のピアノの個性がその美しいメロディーを料理していき甲乙付けがたいが、自分の好みから言えばフラナガンに軍配をあがるかもしれない。
いずれにしても、あの世に早々に逝ってしまったサドは、自分の書き残した曲を、兄弟たちをはじめとして皆でいつまでも演奏してくれているのをさぞかし喜んでいることだろう。
1. Thad's Pad Jones 7:25
2. Ah, Henry Jones 8:10
3. The Summary Jones 6:00
4. Little Rascal on a Rock Jones 6:18
5. Upon Reflection Jones 11:27
6. Lady Luck Jones 8:04
7. Mean What You Say Jones 8:21
8. Kids Are Pretty People Jones 6:36
9. Ray-El Jones 7:22
10. A Child Is Born Jones 4:33
Hank Jones Arranger, Piano
George Mraz Bass
Elvin Jones Drums
Jean-Philippe Allard Producer
Rudy Van Gelder Engineer
Maureen Sickler Assistant Engineer
Recorded on February 25 & 26 1993 at Van Gelder Recording Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
サドメルのオーケストラの初期のピアノというと普通であればローランドハナが思い浮かぶ。アレンジなどには参加していなかったが、演奏においてはオーケストラ全体の特徴を築いていく中でハナのピアノの役割はかなり重要だったと思う。リリカルな曲から、ファンキーな曲まで、ハナのピアノはオーケストラの中に入っても実に小気味良い演奏を聴かせてくれた。このハナがサドメル初代のピアニストかというと実は違う。
初ライブである”Opening Night”でも、初のスタジオ録音でもピアノの席に座っていたのはサドジョーンズの長兄ハンクジョーンズであった。歌伴からオーケストラまでオールマイティーのハンクジョーンズの参加は、新しくバンドを立ち上げ、サウンド作りを担った弟サドにとってひとつの安心材料であったろう。
しかし、オーケストラが無事に立ち上がるとハンクはオーケストラを去った。そして、ハンク自身はスタジオワークから自己のトリオの演奏に軸足を移していった。有名なロンカーター、トニーウィリアムスとのGreat Jazz Trioは’70年代以降のハンクのプレーの象徴のようなものであった。このトリオは日本でも人気があり、メンバーは代わってもハンクのトリオの演奏は2008年に亡くなる直前、つい最近まで来日して生で演奏を聴くことができた。
弟のサドが亡くなったのは1986年であったが、その死を悼んでサドの残した曲の特集アルバムを作ったのがこのアルバムだ。作曲家としてのサドを讃えてのSong Bookであるが、曲自体はハンクの為に書かれた曲から、オーケストラでも演奏された曲まで色々な曲が取り上げられている。トリオには、末弟のエルビンも参加している。エルビンのピアノトリオでの演奏というのもオーバーシーズの印象が強いので傾聴に値する。
ピアノトリオによる、サドジョーンズのSongbook集というと、トミーフラナガンの同じ企画アルバム"Let's"があるので、どうしても比較してみたくなる。どちらもサドの曲というものの、共通しているのはサドの曲でポピュラーな“Mean What You Say”と、”A Child Is Born”だけ。
選曲の仕方にも違いがあったようだ。
フラナガンのピアノはいつもどおり流暢で流れるようなプレーを聴かせてくれる。一方のハンクは伴奏役で名を馳せたハンクらしく、主役であることを少し躊躇するようなプレーで、それを支えるエルビンとのコンビネーションも素晴らしい。サドの曲はどれもメロディーが美しい。2人のピアノの個性がその美しいメロディーを料理していき甲乙付けがたいが、自分の好みから言えばフラナガンに軍配をあがるかもしれない。
いずれにしても、あの世に早々に逝ってしまったサドは、自分の書き残した曲を、兄弟たちをはじめとして皆でいつまでも演奏してくれているのをさぞかし喜んでいることだろう。
1. Thad's Pad Jones 7:25
2. Ah, Henry Jones 8:10
3. The Summary Jones 6:00
4. Little Rascal on a Rock Jones 6:18
5. Upon Reflection Jones 11:27
6. Lady Luck Jones 8:04
7. Mean What You Say Jones 8:21
8. Kids Are Pretty People Jones 6:36
9. Ray-El Jones 7:22
10. A Child Is Born Jones 4:33
Hank Jones Arranger, Piano
George Mraz Bass
Elvin Jones Drums
Jean-Philippe Allard Producer
Rudy Van Gelder Engineer
Maureen Sickler Assistant Engineer
Recorded on February 25 & 26 1993 at Van Gelder Recording Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
Upon Reflection: Music of Thad Jones | |
Hank Jones | |
Universal I.S. |